要点
2009年の誕生以来、ビットコイン価格は政治的、経済的、規制上の出来事に反応する形で激しく変動し、波乱に満ちた道のりを歩んできました。
2011年初頭には0.30ドルだったのが2025年には史上最高値となる111,980ドルとなり、14年足らずで37,000,000%以上の驚異的な上昇を記録しています。
2020年を起点とすると、最安値3,880ドルから2025年の最高値111,980ドルまで、ビットコインは2,700%以上上昇しました。
2011年から2025年までの年間平均成長率は、約142%に達しています。2025年6月10日時点で、ビットコインの時価総額は約2.18兆ドルとなり、暗号資産市場ドミナンス(市場占有率)は約64%となっています。
はじめに
ビットコイン(BTC)は2009年以降、その価値の大幅な上昇で世界中の注目を集めています。しかし、その道のりは決して平坦ではなく、価格の下落や長期にわたる弱気相場も経験しています。
そのボラティリティにもかかわらず、これまでのところビットコインはあらゆる従来型資産を上回るパフォーマンスを示しています。ビットコインの価格変動の背景には複数の要因が絡み合っており、さまざまな手法や視点で分析できます。
ビットコインの価格推移の分析方法について
データに触れる前に、ビットコインの価格推移の分析方法を見てみましょう。主な手法には、テクニカル分析、ファンダメンタル分析、センチメント分析の3つがあります。それぞれに長所と短所があり、組み合わせることでより全体像を把握できるようになります。
1. テクニカル分析(TA)
テクニカル分析は、過去の価格や取引量のデータを用いて将来の市場動向を予測する手法です。例えば、過去50日間の価格の平均を取って50日単純移動平均(SMA)を作成します。このSMAを資産の価格チャートにプロットし、そこから分析します。例えば、ビットコインの取引が数週間にわたり50日SMAの下の価格帯で続いていたところ、価格がSMAを上抜けた場合、トレンド回復の兆しと見なされるなどがあります。
2. ファンダメンタル分析(FA)
ファンダメンタル分析は、企業や暗号資産プロジェクトの本質的価値を示すデータを用いる手法です。このタイプのリサーチでは、外部および内部の要因を調査し、資産の実際の価値を評価します。例えば、プロジェクトの収益性、日次アクティブユーザー数、ビットコインの1日あたりの取引数などを調べ、ネットワークの人気度や長期的な可能性を測定します。
3. センチメント分析(SA)
センチメント分析は、市場センチメントデータを用い、トレンドや価格の動きを予測する手法です。市場センチメントとして具体的には、企業や資産に対する投資家の感情やムードが挙げられます。通常、市場のセンチメントは強気(ブル)か弱気(ベア)に分類されます。例えば、Google検索でのビットコイン購入に関する語句の急増は、ポジティブな市場センチメントの表れと見なされます。
初期のビットコイン取引
2009年、ビットコインはニッチで流動性の低い資産でした。取引はBitcoinTalkなどのフォーラム上で、分散型資産としての価値を見出したユーザー間で相対取引(OTC)にて行われていました。現在のような投機的な動きは、ほとんど見られませんでした。
サトシ・ナカモトは2009年1月3日に最初のブロックをマイニングしました。当時は、1ブロックあたりのマイニング報酬は50ビットコインでした。9日後、サトシは初のビットコインのトランザクションとしてHal Finney(ハル・フィニー)氏に10 BTCを送信しました。
2010年5月22日、ビットコインの価格は0.01ドル未満のままでした。同日、Laszlo Hanyecz(ラスロ・ハニエツ)氏が10,000 BTCでピザ2枚を購入し史上初の商業取引が成立し、ビットコインコミュニティにとって画期的な出来事となりました。
2011年に価格が0.30ドルに上昇すると、ネットワークのユーザー数も増加していきました。規制されていない小さな産業であったビットコインで、決済取引と市場での取引がますます盛んになっていきました。暗号資産取引所やダークウェブ市場がその場となりました。これらの市場や取引所がハッキングされたり閉鎖されたりすると、しばしばビットコイン価格に大きな影響が及びました。ハッキングされた取引所の中には、大量のBitcoinを保有していたところもあり、市場の信頼低下と大きな価格ショックを引き起こしました。
ビットコイン価格の決定要因
簡単に言えば、価格は需給のバランスにより決定されます。しかし、現在のビットコインは、初期の頃よりも従来型資産に近い性質を持つようになりました。小売、金融、政治分野での採用増加により、市場センチメントや価格変動に影響を与える要因が増えています。
需要と供給
ビットコインの供給は2100万枚に限定されており、半減期と呼ばれるイベントによって希少性が生まれます。この希少性に加え、小売・金融・政治での採用拡大が長期的な需要を押し上げています。
例えば、Michael Saylor(マイケル・セイラー)氏の戦略や他の多くの企業がビットコイント財務戦略を模索しています。受動的に保有する企業もあれば、BTCの保有分を利用して、ビットコインの価格に連動する転換社債や利回り生成型金融商品などビットコイン価格に連動したイノベーティブな資産を作り出す企業もあります。
規制監督要件
現在、規制の内容も初期と比べより普及した状態になっています。各国政府が暗号資産やブロックチェーン技術を理解するにつれ、規制の影響力が増しています。規制の強化と緩和があれば、ともに価格に影響が及びます。
マクロ経済
世界経済の情勢も、ビットコイン価格に影響を与える要因のひとつとなります。金融政策、財政政策、マネーサプライ、金利など、すべて市場センチメントに影響を与えます。地域の経済状況も重要な役割を果たす場合があります。また、ハイパーインフレに苦しむ国の人々が、価値の保存手段やインフレヘッジとしてビットコインに注目する例もあります。
生産コスト(マイニング)
マイニングのコスト(主に電気代と専用ハードウェアの費用)は、ビットコイン価格を形成する基準となります。マイナーは、半減期後にブロック報酬が減少する中で、生産コストを上回る価格を必要とします。電力コストが上昇したり、マイニング効率が向上することで、価格の下限水準に影響し、これが市場価格に波及することもあります。
ビットコインの価格推移
2009年以来、ビットコインの価格は大きなボラティリティにさらされてきました。その上振れ下振れにもかかわらず、当初よりはるかに高い価格を維持しています。
2011年初頭には0.30ドルだったのが2025年には史上最高値となる111,980ドルとなり、14年足らずで37,000,000%以上の驚異的な上昇を記録しています。
2020年を起点とすると、最安値3,880ドルから2025年の最高値111,980ドルまで、ビットコインは2,700%以上上昇しました。
2011年から2025年までの年間平均成長率は、約142%に達しています。2025年6月10日時点で、ビットコインの時価総額は約2.18兆ドルとなり、暗号資産市場ドミナンス(市場占有率)は約64%となっています。
2016年以降の総収益:ビットコイン対ゴールド対NASDAQ100
ビットコインは、NASDAQ 100やゴールドと比較して圧倒的に高い収益を示しています。ただし、ビットコインはボラティリティも高く、年間の損失率はゴールドや従来型資産よりも大きいことがわかります。
長期分析
長期的には、小さな出来事は価格への影響が小さくなっています。そのため、ビットコインの全体的な上昇傾向を紐解くには、別の他の方法に目を向けるのが良いでしょう。以下、その分析モデルの例を挙げます。
ストック・トゥ・フロー(Stock-to-Flow)モデル
ストック・トゥ・フローは、ビットコインの限られた供給量を価格の指標として用いるモデルです。基本的に、ビットコインの性質は、金やダイヤモンドに似ていると言えます。これらの資産は、その希少性により時間と共に価格が上昇してきました。投資家は、この性質を価値の保存手段として利用しています。
全世界での流通供給量(ストック)を年間発行量(フロー)で割った比率を使うと、ビットコインの経時的な価格変化をモデル化できます。マイナーが生成(発行)する新規ビットコインの量と時期は、既に分かっています。つまり、マイニング報酬は減少傾向にあるため、ストック・トゥ・フロー比率は上昇していくのです。
ストック・トゥー・フローは、Bitcoinの価格推移をモデル化する際に、これまでその精度の高さから人気を博しています。下の図は、365日SMAとBitcoinの過去の価格データ、そして未来への予測を示したものです。
メトカーフの法則
メトカーフ法則は一般的なコンピュータの原理で、Bitcoinネットワークにも適用されます。ネットワークの価値は、接続されているユーザー数の二乗に比例します。これは具体的にどういうことなのでしょうか? 分かりやすい例として、電話回線があります。携帯電話を所有する人が増えれば増えるほど、ネットワークの価値は指数関数的に高まっていきます。
ビットコインでは、アクティブなウォレットアドレス数やブロックチェーン上の公開情報から、メトカーフ値を計算できます。このメトカーフ値と価格を比較すると、かなりの相関関係が見られます。2020年のTimothy Peterson(ティモシー・ピーターソン)氏によるグラフでは、この傾向を推計して将来の価格を予測できます。当時、ビットコインのメトカーフの価値は、約5年先となる2025年までに10万ドルを超える可能性があると予測されていました。
まとめ
ビットコインの価格推移を説明する理論が数多く存在する中、その予測内容が何であれ、ビットコインの驚異的な価値上昇はデジタル通貨の劇的な認知の上昇を物語っています。無数に存在する暗号資産の中で、ビットコインは約65%の市場ドミナンスを誇り、時価総額は約2.18兆ドルに達しています。
この巨大な成長には、暗号資産のファンダメンタル、市場のセンチメント、経済的な出来事が複合的に関連しています。過去のフォーマンスは将来の結果を保証するものではないものの、16年の歴史の中で資産としてのビットコインは劇的な成熟を見せてきたと言えます。
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