初心者向け暗号資産取引ガイド

初心者向け暗号資産取引ガイド

初心者
公開済 Jun 22, 2020更新済 Jul 10, 2025
13m

要点

  • 暗号資産取引とは、利益を得るためにデジタル資産を売買することである。

  • 暗号資産取引には、信頼できる取引所の選択、アカウントの作成、取引ペアや注文タイプなどの重要な取引概念を理解する必要がある。

  • 一般的な取引戦略には、デイトレード、スイングトレード、スキャルピング、長期投資(ホドル)がある。

  • トレーダーは、テクニカル分析とファンダメンタル分析で投資判断している。長期的な成功には、適切な計画と分散投資によるリスク管理が不可欠となる。

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はじめに

暗号資産は、時折取引を行う個人投資家から金融機関に至るまで、世界中で何百万人ものトレーダーや投資家を惹きつけています。一方で、初心者にとっては、専門用語や取引戦略、そして変動の激しい市場は手に負えないように感じるかもしれません。

初めての購入を検討している方でも、単にもっと詳しく知りたいだけの方でも、本ガイドでは暗号資産取引の基本をわかりやすく解説しています。暗号資産取引の始め方、基本用語、さまざまな取引戦略、そしてリスク管理の方法について、順を追って理解できます。

暗号資産取引とは

暗号資産取引とは、利益を得ることを目指し、取引所でデジタル資産を売買することを指します。従来の市場とは異なり、暗号資産市場は24時間365日稼働しており、トレーダーに柔軟な取引機会が提供される一方、常に価格変動にさらされるリスクも伴います。

暗号資産は数千種類が存在する中、その中で特にビットコインイーサリアムなど有名な銘柄は多くの方がご存じでしょう。実際は、これらはブロックチェーンネットワークの名称であり、取引される暗号資産はそれぞれビットコイン(BTC)やイーサ(ETH)と呼ばれています。

仕組み

暗号資産の取引方法には、価格の上昇を予想して買う「ロング」と、価格の下落を予想して売る「ショート」があります。資産を長期間保有する投資家もいれば、戦略やリスク許容度に応じて素早くポジションを売買するトレーダーもいます(これらの戦略については後ほど詳しく説明します)。

暗号資産は、法定通貨(USD、EURなど)や他の暗号資産と取引できます。どこの取引所でどの資産を取引するかによって、取引内容に大きな違いが出てきます。

暗号資産取引を始める前に

1. 基本を学ぶ

取引を始める前に、まずは基本をしっかり学ぶことが大切です。バイナンスアカデミーの取引関連記事学習コースは、学習を始めるうえで最適なコンテンツとなっています。

2. 暗号資産取引所を選ぶ

信頼性が高く、セキュリティの優れた暗号資産取引所を選んでください。実績があり、評判が良く、強固なセキュリティ体制と速やかなカスタマーサポート対応を備えていることが理想です。もしお住まいの地域でバイナンスが利用可能であれば、この条件をすべてクリアしたうえでスタートできます。

初心者向け暗号資産取引ガイド:バイナンスのユーザーインターフェース(UI)

初心者には、まず中央集権型取引所を利用することから始めることをおすすめします。分散型取引所(DEX)の利用は、取引に慣れてきた時点で検討すると良いでしょう。

3. アカウントを作成する

取引所を選んだら、次はアカウントを開設します。通常は、手続きとしてメールアドレスの登録、パスワードの設定、利用規約への同意が必要となります。

初心者向け暗号資産取引ガイド:アカウントの作成方法

多くの取引所では、セキュリティ強化と法令遵守のために本人確認(KYC)が求められます。アカウント設定を完了するには、政府発行の身分証明書や住所証明書など、本人確認に必要な書類を提出する必要があります。

暗号資産取引の始め方

1. 取引アカウントに資金を入金する

アカウントを作成したら、法定通貨をアカウントに入金できるようになります。ほとんどの中央集権型取引所では、銀行振込や送金、その他一般的な方法で法定通貨を入金できます。プラットフォームや地域によっては、クレジットカードで暗号資産を購入できる場合もあります。

暗号資産取引の始め方

すでに暗号資産を所有している場合、これを取引所のアカウントに入庫できます。ただし、暗号資産は必ず対応するアドレスに送信してください。例えば、ビットコインはビットコインのアドレスへ、イーサリアムはイーサリアムのアドレスへ送信する必要があります。誤ったアドレスに送金すると、資産が永久に失われます。

2. 取引ペアを選ぶ

暗号資産は、ペアで取引されます(例:BTC/USDT、ETH/BTC)。取引ペアは、どの資産同士で交換されるかを示しています。例えば、BTC/USDTペアでは、ビットコイン(BTC)とテザー(USDT、米ドル連動型ステーブルコイン)が取引されています。

取引ペアを選ぶ

暗号資産と法定通貨の取引ペアは、BTC/EURなど、暗号資産と従来の法定通貨の組み合わせとなっています。例えば、1 BTCの現在価格が92,175ユーロの場合、チャート上のBTC/EUR取引ペアの成行価格が92,175ユーロと表示されます。

つまり、1 BTCを購入するには92,175ユーロが必要で、0.5 BTCならその半分の金額が必要になります。なお、ビットコインは5ユーロ相当から購入可能です。

バイナンスBTC EUR 取引ペア

暗号資産同士の取引ペアは、ETH/BTCのように異なる2つの暗号資産で構成されます。執筆時点では、イーサ(ETH)は1 ETHあたり0.02285 BTCで取引されています。

バイナンスETH BTC 取引ペア

3. オーダーブックを確認する

オーダーブックとは、トレーダーが発注した買い注文と売り注文をリアルタイムで表示する一覧です。これは、さまざまな価格帯での特定の取引ペアの需給状況を一目で把握できます。

買い注文(ビッド)は、買い方の注文を高い順に並べています。売り注文(アスク)は、売り方の注文を低い順に並べています。

バイナンスのオーダーブック

4. 注文種別を選択する

成行注文

バイナンス注文種別

成行注文は最も簡単な注文方法で、利用可能な最良価格で即座に売買注文を発注します。約定まで時間をかけたくない場合に最も速く売買できる方法です。

例えば、現在のビットコインの最高買い注文(ビッド)が100,000ドル、最低売り注文(アスク)が100,100ドルだとします。BTCの買い成行注文を発注すると、最も低い売り注文(アスク)である100,100ドルで約定しますBTCの売り成行注文を発注すると、最も高い買い注文(ビッド)である100,000ドルで約定します。

指値注文

バイナンスでの指値注文

指値注文とは、特定の価格またはそれより有利な価格で発注する注文です。成行注文に比べて約定まで時間がかかることがありますが、自分が希望する価格を正確に設定できます。

例えば、ビットコインの取引価格が100,000ドルの時点において98,000ドル以下で買いたい場合、98,000ドルの買い指値注文を発注できます。価格が98,000ドル以下に下がれば、指値注文は通常約定し、希望する価格でビットコインを購入できます。しかし、価格が指値価格まで下がらなければ、注文は約定しません。

6. 取引戦略を立てる

自分のトレーディングスタイルや戦略を検討してください。トレーダーはそれぞれ個性があるため、他人の戦略を真似するよりも、自分自身の取引システムを作った上でそれを改善していく方が一般的に良い結果につながります。これにより、長期的により安定した取引成果をあげられます。

どの戦略を選ぶにしても、リスク管理を徹底し、失敗から学ぶことが重要です。取引内容や意思決定の過程を記録するトレーディングジャーナル(日記)を付けると効果的です。

人気の取引戦略

暗号資産取引にはさまざまな戦略があり、それぞれにリスクとメリットがあります。ここでは、特に人気のある取引手法をいくつか取り上げます。

デイトレード。

デイトレードは、同じ取引日内でポジションの売買を完結させる戦略です。デイトレードでは、一般的に取引する資産を特定する際にテクニカル分析を頻繁に使います。この取引スタイルで利益を上げることは不可能ではないものの、難易度が高く、万人向きではありません。一般的にデイトレードはスイングトレードや長期のホドル(HODL)に比べてストレスや時間的な負担が大きいため、初心者にはおすすめできません

スイングトレード。

スイングトレードでは、数日から数か月にわたる市場のトレンドを利用して利益を狙うため、保有期間が比較的長くなります。スイングトレードは、デイトレードのようなストレスや時間的な負担が少なく、主に初心者に向いている取引手法とされています。

スキャルピング。

スキャルピングは、これまでに紹介した取引手法の中で最も短い時間軸で行われる取引スタイルです。小さな価格変動を狙って取引を行い、数分(場合によっては数秒)以内にポジションを売買します。デイトレードの一種であるスキャルピングは、初心者にはおすすめできません。

多くの場合、スキャルピングはテクニカル分析を用いて価格の動きを予測し、ビッド・アスク・スプレッド(買値と売値の差)や、一時的に価格が本来の価値からずれている市場のズレ(非効率性)を利用して利益を狙います。短い取引時間のため、スキャルピングの利益幅は通常非常に小さなものです。そのため、スキャルピングでは一般的に、より大規模な数量や何十回もの取引を繰り返して利益を蓄積させていきます。

ホドル

ホドルは厳密には積極的な取引戦略ではなく、長期投資家(ホドラー)が暗号資産市場分野全体の成長を見込んで行う戦略です。多くの場合、購入した暗号資産を数か月または数年にわたり保有し続けます。

「買って忘れる」戦略であり、ホドルは最もストレスの少ない選択肢の一つです。特定の資産の長期的な可能性を信じ、短期的な価格変動に耐え切れる人には理想的といえます。この戦略は忍耐力を要しますが、特にビットコイン保有者にとっては時間をかけて大きなリターンをもたらす可能性があります。

テクニカル分析(TA)

テクニカル分析とは、価格チャートを読み解き、パターンを認識し、さまざまなインジケーターを活用して将来の価格変動を予測する手法です。

ローソク足チャート

ローソク足チャートは、特定の時間軸における資産の価格を視覚的に表現したもので、一定の時間間隔での価格変動幅を表す複数のローソク足から構成されています。

例えば、1時間チャートでは、1時間を表すローソク足が表示されています。1日チャートでは、それぞれが1日の期間を表すローソク足が表示され、以下のようになります。

ビットコインの日足チャート

ローソク足は、始値(Open)、高値(High)、安値(Low)、終値(Close)の4つのデータポイント(まとめてOHLC値と呼ばれます)で構成されます。始値(1)と終値(4)はその時間軸内の開始時と終了時に記録された価格で、高値(2)と安値(3)はそれぞれその時間軸内で記録された最も高い価格と最も低い価格を指します。

ローソク足の実体

サポートと抵抗線

サポートとは、価格がを打つ水準で、買いの需要が大きく入りやすく価格を押し上げる価格帯を指します。

レジスタンスとは、価格が天井に達する水準で、大きな売りの供給が入りやすく価格が押し下げられる価格帯を指します。

サポートと抵抗線

テクニカル分析インジケーター

トレーダーは、資産の価格変動の分析にテクニカルインジケーターを活用します。パターンを明らかにし、現在の市場状況に応じた取引プランの作成に役立つツールです。

代表的なテクニカル分析インジケーターには、トレンドライン、移動平均線、ボリンジャーバンド一目均衡表フィボナッチ・リトレースメントなどがあり、サポートやレジスタンスレベルの把握に用いられます。

ファンダメンタルズ分析(FA)

ファンダメンタル分析は、投資家やトレーダーが資産や事業の本質的価値を見極めるために用いる手法です。暗号資産取引においては、プロジェクトの技術、チーム、普及状況、そしてプロジェクト全体の実現可能性の調査が該当します。

暗号資産取引におけるファンダメンタル分析(FA)は、技術、ユースケース、開発チーム、トークノミクス、採用状況を分析し、暗号資産の価値を評価します。

暗号資産取引におけるファンダメンタル分析(FA)には、以下のようなものがあります。

  • オンチェーンデータ(例:アクティブアドレス数、トランザクション量など)

  • プロジェクトのロードマップや最新ニュース

  • コミュニティおよび開発者の活動状況

暗号資産取引におけるリスク管理

リスク管理とは、投資に関連する財務的リスクを特定し、可能な限り最小限に抑えることを指します。ここでは、いくつかの代表的な戦略を紹介します。

1. 損失を限定する

損失の許容範囲内でのみ取引するようにしてください。注文時に詳細を設定すれば、効果的に利益を確定または損失を回避できます。例えば、ストップロス注文を使えば、取引が不利に進んだ際に損失を限定できます。テイクプロフィット注文を使えば、取引がうまくいった際に利益を確実に確保できます。

2. 出口戦略を立てる

最悪の事態に備えて計画を立てることは、常に重要になります。出口戦略を持つことは、リスク管理の基本的な方法の一つと言えます。市場参加者はブルマーケット(強気相場)の熱狂に流されがちですが、事前にポジションを手仕舞う計画を立てることで、利益を確定し、事態が悪化した場合でも大きな損失を回避できます。

具体的な方法の一つとして、指値注文を活用し、利益を確定したり許容範囲での損失額の上限を限定したりする方法があります。一般的なルールとして、一度出口計画を立てたら、それを厳守することが大切です。取引はしっかりと計画した上で、計画通りに実行するようにしてください。

3. 分散投資

分散投資は、ポートフォリオを多様化することで、全体のリスクを効果的に軽減できる手法の一つです。さまざまな資産を適切なポジションで持ち、ポートフォリオのバランスを常に調整することで、特定の資産に集中し過ぎないようにします。これにより、大きな損が発生する可能性を最小限に抑えられます。

4. ヘッジ

少し経験が必要ですが、ヘッジ戦略も検討に値します。ヘッジとは、保有しているポジションに対して逆の動きをする資産でポジションを取る手法です。発生し得る損失の相殺を目的とした戦略です。

例えば、100,000ドル相当のビットコインを保有しており、価格下落のリスクをヘッジしたいとします。この場合、数週間後にBTCを100,000ドルで売る権利を得られるプットオプションをプレミアム(費用)を支払って購入できます。

ビットコインの価格が80,000ドルに下落した場合、オプションの権利を行使して100,000ドルで売ることができるため、損失を大幅に減らせます。価格が下落しなかった場合は、支払ったプレミアム分が損失となりますが、保有中のロングポジションの上昇による利益は確保できます。

まとめ

市場は予測が困難で、特に暗号資産市場のボラティリティは非常に大きくなります。しかし、学習を継続すれば、より優れた暗号資産トレーダーになれるはずです。

トレードを続けるうえで、リスク管理を最優先に考えることを忘れないでください。暗号資産関連の最新動向に常に注目し、スキルを磨き、必要に応じて柔軟に戦略を調整してください。

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