要点
スイングトレードは、トレーダーが数日から数週間ポジションを保有し、大きな価格変動を狙う取引手法である。スキャルピングよりも時間はかかるが、長期投資よりも積極的な取引スタイルである。
スイングトレーダーは、テクニカル分析とニュースベースの戦略設定を組み合わせて使用する。価格変動の初動でエントリーし、そのトレンドが終了する前に決済することを目指す。
スイングトレードは、一日中市場・チャートを監視し続けることはできないものの短期的な取引機会を求めるトレーダーに適した戦略である。
特にボラティリティの高い暗号資産市場では、リスク管理、忍耐力、明確な戦略設定が成功の鍵となる。
はじめに
スキャルピングを短距離走に例えるなら、スイングトレードは中距離走になります。スキャルピングほどペースは速くなく、数日から数週間の短期〜中期の価格変動に焦点を当てます。
スイングトレードは、市場に積極的に関わりたいものの一日中画面の前にいられないトレーダーに人気がある手法です。小さな価格変動を追いかけるのではなく、時間をかけて大きな動きを狙います。
もし積極的な取引に興味があり、スキャルピングよりも少し余裕のある取引を望む初心者であれば、スイングトレードは良い選択となります。
スイングトレードの仕組み
スイングトレーダーは、短期的なトレンドから利益を狙います。短期とは、数日から数週間にかけて発生することもあるトレンドを指します。この期間は、取引する資産や市場状況によって異なります。
例えば、ビットコインがレジスタンスゾーンを突破して上昇トレンドに入った場合、スイングトレーダーは買いポジションを取り、勢いが鈍るまで数日間保有します。動きの初期にエントリーし、価格が反転する前か直後に決済することを狙います。
スキャルピング取引のように1分足や5分足などの短い時間軸のチャートを見ながら頻繁に注文するのではなく、スイングトレードでは通常、日足や4時間足チャートを使い、テクニカル指標や時にはプロジェクトの大きなアップデートやマクロ経済イベントなどのファンダメンタルズも考慮します。
スイングトレーダーは常に画面を見続けているわけではないので、通常、以下の戦略設定を行います。
スイングトレードとデイトレードの違い
スイングトレードとデイトレードの主な違いは、ポジションの保有期間となっています。スイングトレーダーは数日から数週間ポジションを保有しますが、デイトレーダーは同じ日のうちに全ての取引を完結させます。中には数分単位で取引を行う場合もあります。
デイトレードでは常に画面を見ながら素早い判断が求められますが、スイングトレードは分析や対応に時間的余裕があります。スイングトレーダーは4時間足や日足チャートを重視する一方、デイトレーダーは1分〜30分足チャートを使い、1日に多くの取引を行います。
初心者にとってはスイングトレードの方が管理しやすく、ストレスが少ないうえ、取引回数が少なく済み、計画に時間をかけられます。デイトレードも可能ですが、より多くの時間、集中力、経験が必要になります。
一般的なスイングトレード戦略
1. トレンドフォロー
この戦略では、強い上昇トレンドや下降トレンドを見極め、その方向に沿ってエントリーします。例えば、ビットコインが高値・安値を切り上げている場合、押し目買いをしてトレンドに乗るなどの戦略が考えられます。
2. サポート・レジスタンスでの反発狙い
はっきりとわかるサポートやレジスタンスゾーンでは価格が反発すると想定されるため、これを狙います。例えば、ソラナが主要なサポートで反発し、強気のローソク足パターンを示したら、ロングポジションを取り、次のレジスタンス直前に利益確定目標を設定します。
3. 移動平均線のクロスオーバー
短期移動平均線(例:9日EMA)が長期移動平均線(例:20日EMA)を上抜けると、新たなスイングトレンドの始まりとなることがあります。多くの場合、これらのクロスオーバーポイント(突き抜け、交差)は、取引エントリーのシグナルとして使われます。
4. レンジからのブレイクアウト
スイングトレーダーは、狭い価格レンジからのブレイクアウトを狙うことがよくあります。資産価格が横ばいで推移していて、強い取引量を伴いレジスタンスを上回った場合、数日にわたるトレンドの始まりである可能性があります。
スイングトレードに必要なツール
スイングトレードでは超高速取引(HFT)ツールを必要としませんが、適切な戦略設定が重要です。
チャート分析:TradingViewなどのツールで、4時間足や日足のトレンドや指標を追跡。
暗号資産取引所:流動性が高く信頼性・安全性のある取引所(例:バイナンス)を選択。
ニュースフィード:価格に影響を与えるプロジェクトの最新情報やマクロ要因の影響を把握するための主要ニュースソースやX(旧Twitter)などの情報媒体。
リスク管理:必ずストップロス注文を使い、リスクリワード比率(理想は1対3以上)を適切に設定すること。
スイングトレードのメリットとデメリット
長所
スキャルピングより時間的負担が少ない。1日中画面を見続ける必要がない。
1回の取引あたりの潜在的利益が大きい。より大きな価格変動を狙う。
取引回数が少ないため、手数料が抑えられ、分析に時間をかけられる。
パートタイムトレーダーや本業を持つ人に適した柔軟なスケジュールで取り組める。
短所
夜間や週末のリスク。価格が予期せず大きく動く可能性がある。
忍耐力が必要。取引結果が出るまで数日かかる場合がある。
感情の影響を受けやすい。早めに決済したくなったり、押し目でパニック売りしてしまう感情の揺れと直面することになる。
ボラティリティの大きさ。トレンドの中でも市場が急反転することがある。特に暗号資産市場はボラティリティが高い傾向にある。
スイングトレードは初心者向けか?
スイングトレードは、特にチャートや指標の基本をすでに学んでいる場合、初心者にとって最も取り組みやすい戦略の一つと言えます。
取引をじっくりと組み立て、戦略設定を精査でき、エントリーやイグジットの計画を立てる時間が持てます。スキャルピングのように秒単位で決断を迫られることはありません。一方で、市場に関わり続けることができ、定期的に取引するチャンスも得られます。
ここで、初心者向けのヒントをいくつか紹介します。
まずは少額から始めて、数日にわたる取引の流れに慣れる。
残高を保護するため、明確なストップロスレベルを設定する。
ジャーナルをつけて、全ての取引を記録する。取引中に何がうまくいったのか、何がうまくいかなかったのか、どのように感じたのかを追跡する。
BTC、ETH、SOLなど、時価総額が大きく他の暗号資産よりもボラティリティが比較的低いコインに絞って取引する。
まとめ
暗号資産のスイングトレードは、積極的な取引と柔軟性、忍耐力を組み合わせたバランスの取れた戦略です。1日中取引する必要はなく、短期的な値動きに集中できます。テクニカル分析を活用、暗号資産のニュースを常にチェック、そして冷静な判断を保つことで、戦略設定を見極めたうえで暗号資産市場のトレンドに乗ることができます。
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