2段階認証(2FA)とは
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2段階認証(2FA)とは

2段階認証(2FA)とは

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公開済 Sep 18, 2023更新済 Nov 23, 2023
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概要

  • 2段階認証(2FA)とは、アカウントやシステムにアクセスする際、ユーザーに2つの異なる認証方法を要求するセキュリティの仕組みです。

  • 通常、この「段階」とは、ユーザーが保管しているもの(パスワード)とユーザーが取得できるるもの(スマートフォンが生成するワンタイムコード)で構成され、不正アクセスに対する保護レイヤーとして機能します。

  • 2段階認証の種類には、SMSベースのコード、認証アプリ、ハードウェアトークン(YubiKey)、生体認証(指紋認証や顔認証など)、メールで送信されるコードなどがあります。

  • 2段階認証は、暗号資産など金融や投資におけるアカウント保護に特に重要になります。

はじめに  

私たちの生活がオンライン領域とますます密接に絡み合っている今日、強固なオンラインセキュリティはこれ以上になく重要です。住所、電話番号、IDデータからクレジットカード情報まで、常に機密データを多数のオンラインプラットフォームで共有しています。

しかし、主な防御手段は一般的にユーザー名とパスワードとなります。ところが、これらはハッキングやデータ漏洩に対して脆弱であることが何度も証明されています。2段階認証(2FA)は、こうした危険から身を守る強力な手段となります。

2段階認証(2FA)は、従来のパスワード認証の枠を超え、ユーザーのオンラインプレゼンスを守る強固な第二の壁として、さらなるセキュリティレイヤーとなる重要な安全対策です。

2段階認証は、オンライン上で潜在的に悪意をもつ勢力から私たちを守る盾として機能します。

2段階認証(2FA)とは

2段階認証は、システムへのアクセスを許可する際、ユーザー本人であることの認証を目的とした多層的なセキュリティの仕組みです。従来のユーザー名とパスワードの組み合わせとは異なり、2FAでは、ユーザーに2つの異なる形式の本人証明の提示を要求することで、保護策の追加レイヤーとなります。

1. ユーザーが保管しているもの

典型的にはパスワードが該当し、ユーザーだけが知っているべき秘密情報です。ユーザーのデジタルIDの門番であり、最初の防衛ラインとして機能するものです。

2. ユーザーが取得できるもの

2つ目の要素は、正当なユーザーだけが取得できる外部からの要素となります。物理的な端末(スマートフォンやYubiKey、RSA SecurIDトークン、Titan Security Keyなどのハードウェアトークン)や、認証アプリが生成するワンタイムコード、あるいは生体認証データ(指紋認証や顔認証など)が該当します。

2段階認証は、これら2つの要素を組み合わせ、不正アクセスに対する強固な防御を実現することがその特徴となっています。たとえ他社が悪意を持ってパスワードを入手したとしても、システムに侵入するためには2つ目の要素が必要となります。

この2つのアプローチにより、攻撃者にとってのハードルが大幅に引き上げられ、セキュリティを侵害するのがかなり困難になります。

2段階認証が必要とされる理由

パスワードは長年にわたり、普く使われてきた認証方法であるものの、その限界は昭と言えます。パスワードは、ブルートフォース攻撃(アタッカーがアクセスできるようになるまで体系的に様々なパスワードの組み合わせを試す攻撃)など、様々な攻撃に対し脆弱なのです。

さらに、安全性が弱いパスワードや推測されやすいパスワードが使用されることが多く、セキュリティが一層損なわれています。データ漏洩の増加や、漏洩したパスワードが複数のオンラインサービスで共有されるようになったことも、パスワードの安全性を低下させています。

最近の事例では、Ethereumの共同創設者であるVitalik ButerinのX(旧Twitter)アカウントがハッキングされ、悪質なフィッシングリンクが投稿されました。その結果、多くの人々の暗号資産ウォレットから$700,000近くが盗まれました。

ハッキングの詳細はまだ公表されていませんが、アクセスセキュリティの重要性が浮き彫りになった出来事となりました。攻撃者の手から完全に免れることはできないものの、2段階認証によって権限を持たない人間によるアカウントアクセスへの難易度を大幅に高められます。

2段階認証の使用例

最も一般的な2段階認証の用途には、以下のようなものがあります。

1. メールアカウント

Gmail、Outlook、Yahooなどの主要なメールプロバイダーでは、メールアカウントへの不正アクセスを保護する2FA選択を提供しています。

2. ソーシャルメディア

Facebook、X(旧Twitter)、Instagramなどのプラットフォームは、プロフィールを保護するために2段階認証を有効にすることをユーザーに推奨しています。

3. 金融サービス

銀行や金融機関は、オンラインバンキングに2段階認証を導入し、トランザクションの安全性を確保しています。

4. Eコマース

AmazonやeBayなどのオンラインショッピングサイトでは、決済情報の保護のため2段階認証を提供しています。

5. 職場とビジネス

多くの企業では、機密性の高い企業データやアカウントの保護に2段階認証の使用を義務付けています。

2段階認証は、ますますどこにでもある不可欠な機能となっており、オンライン上のさまざまなやり取りのセキュリティを強化しています。

各種2段階認証の長所と短所

2段階認証(2FA)には様々な種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

1. SMSベース

SMSベースの2段階認証では、パスワードを入力すると、登録した携帯電話にテキストメッセージでワンタイムコードが送信されます。

この方法のメリットは、ほとんどの人がテキストメッセージを受信できる携帯電話を持っているため、アクセシブルであることでしょう。また、他のハードウェアやアプリを必要とせず、簡単に扱えます。

ただし、電話番号を乗っ取り、SMSメッセージを傍受するSIMスワッピング攻撃に弱いデメリットがあります。また、この種類の2段階認証は携帯電話ネットワークに依存しており、ネットワークの通信状態が悪い地域ではSMSの受信の遅れや失敗の可能性があります。

2. 認証アプリ

Google認証アプリやAuthyなどの認証アプリは、インターネット接続を必要とせず、利用期限付きのワンタイムパスワード(OTP)を生成します。

メリットには、インターネット接続がないオフラインでのアクセスや、1つのアプリで複数のアカウントのOTPを生成できるマルチアカウントに対応していることが挙げられます。

デメリットは、SMSベースの2段階認証とは違い、設定が必要になるためやや複雑に感じられる可能性がある事でしょう。また、アプリをインストールする必要があり、スマートフォンや他の端末に依存することになります。

3. ハードウェアトークン

ハードウェアトークンとは、OTPを生成する物理的な端末のことです。一般的なものとして、YubiKey、RSA SecurIDトークン、Titan Security Keyなどが挙げられます。

これらのハードウェアトークンは通常、コンパクトかつ持ち運び可能で、キーホルダーやUSBメモリーのような端末に似た形状をしています。認証に使用するには、常に携帯する必要があります。

メリットは、オフラインで使用でき、オンライン経由での攻撃を受けないため、安全性が高いことと言えます。トークンのバッテリー寿命は、数年と長いものが多くなっています。

ただし、端末を購入する必要があり、初期費用がかかります。さらに、これらの端末を紛失したり破損した場合、代替品を購入する必要があります。

4. 生体認証

4. 生体認証2段階認証は、指紋や顔認識などの固有の身体的特徴を使用して本人認証を行うものです。

メリットには、高い精度と使いやすさがあり、コードを覚える必要がなく便利な点です。

潜在的なデメリットには、悪用を防ぐために生体認証データを保存するものであるため、プライバシーに関する懸念が生まれます。生体認証システムは、時折エラーを起こすこともあります。

5. メールによる2段階認証

メールによる2段階認証では、登録したメールアドレスにワンタイムコードが送信されます。この方法はほとんどのユーザーになじみがあるもので、追加のアプリや端末を必要としません。しかし、メール漏洩の影響を受けやすく、結果的に2段階認証の安全性が低下する可能性があります。また、メールの配信が遅れることもあります。

適切な2段階認証方式の選び方

2段階認証方式を選ぶ際、必要なセキュリティレベル、ユーザーの利便性、特定のユースケースなどの要素を考慮する必要があります。

金融口座や暗号資産取引所アカウントなどの高いセキュリティ要件が求められる状況では、ハードウェアトークンや認証アプリが適していると言えるでしょう。

アクセスしやすさが重要な場合、SMSベースやメールベースの2段階認証が適していると言えます。生体認証は、センサーを内蔵した端末では優れた効果を持つものの、プライバシーとデータの保護を優先する必要が出てきます。

2段階認証の手順説明書

様々なプラットフォームでの2段階認証(2FA)を設定手順を説明します。プラットフォームによって手順は異なるものの、典型的には同じ手順となります。

1. 2段階認証方法の選択

プラットフォームや好みに応じ、SMSベース、認証アプリ、ハードウェアトークンなど、自分に合った2段階認証方式を選びます。認証アプリやハードウェアトークンを使用する場合、まず該当の端末を購入してインストールする必要があります。

2. アカウント設定で2段階認証を有効化

2段階認証を有効にしたいプラットフォームまたはサービスにログインし、アカウント設定またはセキュリティ設定に移動します。ここで、2段階認証の設定を有効にします。

3. バックアップ方法の選択

多くのプラットフォームは、メインの2段階認証にアクセスできなくなった場合に備え、バックアップのアクセス方法を提供しています。バックアップコードや2次的な認証アプリなどのバックアップ方法を選択できます。

4. 指示に従い、セットアップを認証

選択した2段階認証方式のセットアップ手順に従います。通常、認証アプリではQRコードのスキャン、SMSベースの2段階認証では電話番号との連携、またはハードウェアトークンの登録を行います。選択した2段階認証で提供される認証コードを入力し、設定手続きを完了します。

5. バックアップコードの保管

バックアップコードを受け取った場合、安全でアクセス可能な場所(できればオフライン)で保管します。印刷したり、メモに取ったり、鍵のかかる引き出しなどに保管するようにしましょう。あるいは、パスワードマネージャーを利用して安全性を保ったうえで保管することもできます。これらのコードは、メインの2段階認証が利用できない時に使用します。

2段階認証を設定したら、典型的に起こりやすいミスに気をつけながら、バックアップコードを安全に保管し、2段階認証を効果的に使用するようにしましょう。

2段階認証を効果的に使用するヒント

2段階認証の設定は、アカウントを安全に保つための最初の一歩です。使用中は、常に最善とされる慣行を実践してください。

つまり、認証アプリの定期的なアップデート、他のオンラインアカウントへのセキュリティ脅威を防ぐためにすべての対象アカウントでの2段階認証の有効化、使いまわしせず強力なパスワードを使用し続けることなどが該当します。

また、典型的に起こりやすいミスや落とし穴にも、慎重に対応してください。OTPは誰とも共有しない、フィッシング詐欺に注意する、受け取ったリクエストの真偽を常に認証する、などが該当します。

2段階認証に使用している端末を紛失した場合、直ちにアクセスを取り消し、すべてのアカウントで2段階認証設定を更新する必要があります。

まとめ 

この記事の最も重要なポイントは、2段階認証はもはや検討を考えるべき対象ではなく、必須アイテムだということになります。

セキュリティ侵害が後を絶たず、日々目撃される損失の大きさを見れば、アカウントを2段階認証(2FA)で保護することを強く決意させるのに十分だと思われるはずです。暗号資産関連などの金融および投資アカウントの保護には、このことが特に重要になります。

今すぐコンピュータまたは携帯電話で、もしくはハードウェアトークンを購入し、2段階認証を設定してください。デジタル環境での安全性管理および貴重な資産の保護にとって、強調してもしきれない重要な実践となります。

すでに2段階認証を設定している場合でも、オンラインでの安全確保は非常に流動的なプロセスであることを忘れないでください。新しいテクノロジーや新手の攻撃は、これからも出現し続けます。安全性を維持するため、常に情報を入手し、警戒する必要があるのです。

参考文献


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