オプション取引とは
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オプション取引とは

オプション取引とは

中級者
更新済 Feb 18, 2025
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要点

  • オプション取引は、暗号資産や株式などの資産を特定の価格で売買する権利(義務ではない)をトレーダーや投資家に提供するものである。

  • オプション取引では、そのほとんどの取引活動はオプションの権利を行使して原資産を取引するのではなくオプション契約の売買をめぐるものであり、利益はここから発生する。

  • アメリカンオプションは満期になるまでの間にいつでも権利を行使できるが、ヨーロピアンオプションは満期日または権利行使日にのみ権利を行使できる。

  • オプション取引においては、コール、プット、プレミアム、満期日、権利行使価格を理解することが重要である。

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はじめに

オプション取引では、特定の期日までに原資産を特定の価格で売買する権利が与えられます。オプション(選択肢)という語の意味が重要で、資産自体の売買は義務ではない点がオプション取引の特徴となっています。売買するのは権利(選択肢)であり、希望する場合にのみ実行することになります。

これをよりわかりやすくするために、自分で物語の展開を選択できる小説に例えて説明します。ある時点で、物語の筋が2つに分かれるポイントに到達し、オプションAまたはBを選択するかの重要な決断を迫られます。ここで読者は、すぐに選択せずにページにしおりを挟みます。そして先を読み、物語がどのように展開するのかを確認してから戻って決断を下します。

これはオプション取引の概念と似ています。トレーダーはすぐに資産を売買する必要はありません。代わりに、オプションを購入できます。これは、金融のしおりのようなもので、満期までにその資産を売買する権利(義務ではない)を得られます。そのために、「しおり」のコストとして、プレミアムを支払う必要があります。

他の読者にこの「しおり」を売却する場合と同じく、オプション契約は他のトレーダーに満期前に転売できます。このようにして、原資産を調節売買することはないものの、オプション価値の変動から利益を得られる可能性があります。

自分で選択できる冒険物語で予想外の展開が待ち受けているのと同じく、オプション取引にはリスクが伴います。したがって、オプション契約の仕組みの理解が重要になります。

オプション取引とは

オプション取引とは、オプション契約の売買を行うことです。実際の仕組みを理解するために、オプション取引の主な構成要素を以下に示します。

オプションとは

オプションとは、特定の期日つまり満期日までに、権利行使価格と呼ばれる特定の価格で資産を売買する権利(義務ではない)を付与する契約です。

例えば、住宅の購入を検討しているものの、まだ購入は決定していないとします。代わりに、住宅の売主とオプション契約の交渉を締結し、特定の期間内に合意した価格で住宅を購入する権利を獲得できるようなものです。この権利を獲得する上で、プレミアムと呼ばれる少額の権利金を支払う必要があります。

住宅の市場価値が上昇した場合、事前に合意済みの低い価格で住宅を購入する契約を履行できます。市場価値が下落した場合、契約を履行すると損失につながるため、契約を履行せずに済ますこともできます。この場合、権利金は失うことになります。

権利行使価格は固定されていますが、オプション自体の価値は固定されていません。オプションの価値は、住宅の市場価格、満期までの残り期間、市場の需要などの要因に基づいて変動します。住宅の市場価格が上昇した場合、オプションの価値も増加し、住宅は購入しなくともオプションを売却すれば利益を得られます。

コールオプションとは?

コールオプションは、原資産を満期日またはその前に権利行使価格で購入する権利を付与するものです。

資産の市場価値が上昇するほど、利益が増えます。したがって、特定の資産の価格が上昇すると予測する場合にコールオプションを購入できます。資産の価格が上昇した場合、オプションを行使し権利行使価格で資産を購入できます。その後、高値でその資産を売却し利益を得られます。

満期前にコールオプションの価値が上がれば、権利を行使せずに、オプションを売却することでも利益を得られます。この場合は、資産ではなくオプション契約自体を取引することになります。

プットオプションとは

プットオプションは、原資産を満期日またはその前に権利行使価格で売却する権利を付与するものです。

特定の資産の価格が下落すると予測する場合にプットオプションを購入できます。資産の価格が権利行使価格を下回った場合、オプションを行使し、権利行使価格より高値でその資産を売却できます。資産の市場価値が下落するほど、利益が増えます。これにより、より低い市場価格で資産を買い戻せます。

コールオプションと同様に、価値が上昇すればプットオプションも満期前に売却できます。これにより、権利を行使せずに利益を確保できます。この流れがコールオプションとプットオプションともに最も一般的なものとなります。

原資産

これまで、オプション取引では、原資産を売買する義務を負うことなく、原資産を売買する権利を付与する契約であることを説明しました。先程の例であれば、住宅が原資産となります。しかし、金融市場では、一般に次のような資産が含まれます。

  • 暗号資産:ビットコイン(BTC)ether(ETH)BNBTether(USDT)などの暗号資産のオプションを購入できます。

  • 株式:アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン(AMZN)などの企業の株式のオプションを購入できます。

  • 指数:S&P500やナスダック100などの株式市場の指数を対象としたオプションを購入できます。

  • 商品(コモディティ):金(ゴールド)、石油、その他の商品でオプションを購入できます。

満期前の取引

投資収益率を確保する上で、満期まで待つ必要はありません。実際に活発に取引されているのは、オプション契約自体です。

オプション契約の価値は、市場の状況や満期までの期間などの要因によって常に変化します。これは、オプション契約購入後、売却することにより、利益または損失が発生するということです。オプション取引の大部分は、必ずしも資産そのものを取引するわけではなく、その資産を売買する権利を取引するものです。

オプション契約

オプション取引について理解を深めたところで、実際のオプション契約の構成要素について取り上げます。

満期

満期日は、オプション契約が失効する特定の日付です。この日付を経過すると、オプション契約は無効となり、行使できなくなります。オプションの満期期間は、数週間から数年と様々な期間があります。

先ほど取り上げた住宅の購入例であれば、オプションの有効期限は購入から1か月間などと設定されます。つまり、権利行使価格で住宅を購入するか判断するまでに1か月間が用意されていることになります。

権利行使価格

権利行使価格とは、原資産を購入する権利(コールオプションの場合)、原資産を売却する権利(プットオプションの場合)に対して事前に設定された価格です。

そのため、住宅の売主との交渉で権利行使価格を30万ドルで合意した場合、オプションを行使する際にはこの合意価格で住宅を購入することになります。現在の住宅の市場価格に関係なく、指定期間内であれば、合意した権利行使価格で住宅を購入する権利が付与されます。

権利行使価格と原資産の現在の市場価格の関係によって、オプション契約の価値が決まります。

プレミアム

プレミアムとは、オプション契約の対価として支払われる価格です。これは、原資産を売買する権利を獲得するための費用で、義務を負うものではありません。

先ほど、これを権利金として比較しました。例えば、売主に住宅購入の権利金として、オプションに5,000ドルを支払ったとします。この金額は返金されません。このプレミアムにより、事前に設定された期間内であれば、現在の市場価格に関わらず、30万ドルで住宅を購入できることが保証されます。購入しない場合、この5,000ドルのプレミアムは失われます。

プレミアムの価格に影響を与える可能性がある主な要素には、以下のようなものがあります。

  • 原資産の現在の市場価格

  • 原資産の価格のボラティリティ

  • 権利行使価格

  • 満期までの期間

契約サイズ

通常、株式のオプション契約は、原資産の100株が基準となります。しかし、指数暗号資産に関連するオプションなど、オプションの種類によって、契約サイズが異なる場合があります。そのため、取引前に契約の詳細を十分に確認し、対象資産の契約数量を正確に把握することが重要になります。

重要な専門用語

オプション取引の際に、いくつかの重要な概念について理解する必要があります。

収益性に関する用語

イン・ザ・マネー(ITM)、アット・ザ・マネー(ATM)、アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)などの用語は、権利行使価格と原資産の現在の市場価格との関係を表しています。これらの用語は、オプションを行使すべきかの判断だけでなく、オプション契約自体の価値を判断する上で重要になります。

オプションの種類

ITM

ATM

OTM

コール

市場価格 > 権利行使価格

市場価格 = 権利行使価格

市場価格 < 権利行使価格

プット

市場価格 < 権利行使価格

市場価格 = 権利行使価格

市場価格 > 権利行使価格

ギリシャ指標(グリークス)

オプション取引におけるギリシャ指標は、さまざまな要因がオプション価格にどのような影響を与えるかを理解する上で有益なリスク指標です。

各ギリシャ指標は異なる感度を表しており、ここから潜在的なリスクを評価し、より情報に基づいた判断を下せます。5つの主要なギリシャ指標は、デルタ、ガンマ、シータ、ベガ、ローになります。

ギリシャ指標

定義

デルタ(Δ)

原資産が1ドル変動するごとにオプション価格がどれだけ変動するかを測定します。

ガンマ(Γ)

原資産が1ドル変動するごとにデルタがどれだけ変動するかを測定します。

シータ(θ)

時間の経過による減損、つまりオプションの満期が近づくにつれてオプション価格がどれだけ減少するかを測定します。

ベガ(ν)

市場のボラティリティに対する感度を示します。一般的にボラティリティが高いとオプション価格が上昇します。

ロー(ρ)

金利が1%変動した場合の価格変動を測定します。ローがプラス値であれば金利上昇に伴う価格上昇を意味し、マイナス値であれば価格下落を意味します。

アメリカンオプション / ヨーロピアンオプション

この記事では、主にアメリカ市場で利用されているアメリカンオプションを例にオプション取引について説明してきました。ただし、市場によってはヨーロピアンオプションも見られます。この2つのオプションの主な違いは、権利を行使できる時期になります。

  • アメリカンオプション:満期日以前であれば、権利をいつでも行使でき、より柔軟性が高まります。

  • ヨーロピアンオプション:こちらのオプションは、満期日にのみ権利を行使できます。

バイナンスのオプションについて

バイナンスの取引プラットフォームでは、ヨーロピアンスタイルのオプションのみを提供しています。つまり、バイナンスでのオプション取引は、満期時にのみ権利を行使できます。しかし、ほとんどのオプション取引での主眼は、権利の行使よりもオプション契約の売買となっています。この違いは主に契約の決済方法と決済時期によるものです。

バイナンスのオプションは、自動的に権利が行使されます。つまり、オプションの満期時にイン・ザ・マネー(権利行使価格が原資産価格より低い)の状態であれば、オプションの権利を行使するか否かに関わらず、利益を受け取ることになります。

また、オプション契約は現金決済され、オプションが行使された場合、原資産での引き渡しは実施されずに、現金での価値相当分が交換されます。これにより手続きが簡素化され、資産引き渡しの煩雑さを回避できます。

まとめ

オプション取引、特にアメリカンスタイルのオプションでは、満期日までに原資産を行使価格で売買する権利を得られます。これにより、即時で売買する必要性がなくなり、金融市場での取引において柔軟性を確保できます。

一方で、権利は行使することなく、オプション契約自体を取引できるため、オプション契約価値の変動から利益を確保することもできます。オプション取引は利益を生み出す可能性があるものの、オプション契約の主要な概念を理解してから取引するようにしてください。

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