変動損失の説明
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変動損失の説明

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6d ago
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概要

DeFiをこれまで利用してきていた人は、ほぼ確実に変動損失(impermanent loss)という用語を聞いたことがあるでしょう。変動損失は、プールに仮想通貨を入金したときと比較して、その仮想通貨の価格が変更した時に発生します。変化が大きければ大きいほど、損失は大きくなります。

つまり、流動性を提供することで資産を失う可能性があるということでしょうか、そして、この損失はなぜ変動するのでしょうか、簡単に言うと、変動損失は自動マーケットメイカーと呼ばれる特殊な種類のマーケット固有の設計によるものです。流動性プールに流動性を提供することで利益を得られることもありますが、変動損失のコンセプトを念頭に置いておく必要があります。


イントロダクション

UniswapSushiswapPancakeswapのようなDeFiプロトコルの取引高や流動性はこの数か月で大きく増えました。これらの流動性プロトコルによって、誰でも資産を持っていたらマーケットメイカーとして取引手数料が貰えるようになりました。マーケットメイクの民主化によって、仮想通貨分野において、多くの手数料なしでの経済活動が実現しました。

それでは、これらのプラットフォームに流動性を提供したい場合に知っておくべきことはなんでしょうか。この記事では、最も重要なコンセプトの1つである変動損失について説明します。


変動損失とは?

仮想通貨を流動性プールに提供した時に、デポジットしたトークンの価格が入金時と比べて変動した時の損失を変動損失と呼びます。この場合の損失は、入金時と出金時におけるドル建てでの減少分のことを意味します。

比較的値動きの小さい資産によるプールは、変動損失のリスクは相対的に小さいです。例えば、ステーブルコインや同じコインの違うラップ版などは相対的に同じ価格帯に留まります。このような場合、流動性提供者(LP)の抱える変動損失のリスクは小さいです。

それでは、流動性提供者は損してしまうリスクを抱えているにも関わらず、なぜ流動性を提供するのでしょう。変動損失を取引手数料が上回る場合もあります。実際、変動損失のリスクが大きいUniswap上のプールでも、流動性提供者は取引手数料のおかげで利益を得ることができています。

Uniswapでは全ての取引で0.3%の手数料が発生し、これは直接流動性提供者に行きます。あるプールで多くの取引高がある場合、そのプールの変動損失のリスクが高くても流動性を提供したら利益を得られるでしょう。しかしながら、これはプロトコル、プール、入金される資産、さらに広い意味でのマーケットコンディションに左右されます。


変動損失の仕組み

それでは、流動性プロバイダーからは変動損失がどのように見えるかをここからは例を使って説明していきます。

アリスは1ETHと100DAIを流動性プールに入金したとします。この特定の自動マーケットメイカー(AMM)では、入金されたトークンペアは等価である必要があります。つまり、入金時には1ETHの価格は100DAIということです。これは、アリスはドル建てだと200ドルを入金したということになります。

アリスが入金した分以外に他のLPからの入金があり、そのプールには合計で10ETHと1,000DAIがあるとします。つまり、アリスのこのプールにおけるシェアは10%で、合計の流動性は10,000ということです。

その後、ETHの価格が上昇して、400DAIになったとしましょう。ETHの高騰中にアービトラージトレーダーは、レートが現在の価格を反映するまで、DAIをプールに追加し、ETHをプールから取り除きます。AMMには注文板がないことを思い出してください。プール内の資産の価格を決定するのはプール内におけるトレードペア同士のレートです。プールにおける流動性は一定(10,000)のままですが、資産のレートは変動します。

ETHの価格が400DAIになった場合、プールにおけるETHの枚数とDAIの枚数のレートは変わりました。アービトラージトレーダーによって、現在プールには5ETHと2,000DAIがあります。

ここで、アリスは自分の資金を出金することにしました。前述のとおり、彼女はこのプールのシェアの10%を占めています。その結果、彼女は0.5ETHと200DAI、つまり合計で400ドルを引き出せます。彼女が入金したトークンはドル建てで200ドルだったので、200ドル分の利益が出ているように見えます。っしかし、待ってください。もしも、彼女が1ETHと100DAIをそのままホールドしていたらどうなっていたでしょう。その場合、ドル建てでの合計価値は500ドルになっていました。

ここからわかる通り、流動性プールに入金するよりもただホールドしているだけの方がアリスは大きな利益を得ることができました。これを変動損失と呼んでいます。この場合、アリスが最初に入金した額が相対的に小さかったため、損失はそこまで大きくはないです。しかし、変動損失は非常に大きなものになり、時には元本割れする可能性もあることは覚えておいてください。

そうは言っても、アリスの例では流動性を提供するために彼女が稼いだであろう取引手数料を完全に無視しています。多くの場合、獲得した手数料は変動損失を上回るので、価格の変動があっても、流動性を提供することで最終的には利益を得ることができます。それでも、DeFiプロトコルに流動性を提供する前に、変動損失を理解することは非常に重要です。


変動損失の推定

変動損失はプール内の資産の価格が変動した時に発生することをここまでで学んできました。しかし、正確にはどれぐらいになるのでしょうか。変動損失はグラフで表すことができます。このグラフでは流動性提供によって得られる手数料は考慮されていないことにご注意ください。

変動損失チャート


以下は、このグラフが伝えているホールドすることと比較した時の損失についての概要です。

  • 1.25倍の価格変動 = 0.6%の損失
  • 1.50倍の価格変動 = 2.0%の損失
  • 1.75倍の価格変動 = 3.8%の損失
  • 2倍の価格変動 = 5.7%の損失
  • 3倍の価格変動 = 13.4%の損失
  • 4倍の価格変動 = 20.0%の損失
  • 5倍の価格変動 = 25.5%の損失

また、他にも理解しておかないといけない重要なことがあります。変動損失はどちらの方向に価格が変動しても発生するということです。変動損失に関係するのは、入金時の相対的な価格比だけです。これについて、より詳しく知りたい場合はpintailの記事をご覧ください。


AMMに流動性を提供するリスク

正直なところ、変動損失という名前は適切ではないです。このように呼ばれているのは、流動性プールからコインを出金しない限りは損失が実現しないからです。しかしながら、出金した時点で損失は完全に確定します。流動性を提供することによる手数料収入がこの損失を上回ることもあるでしょうが、それでも変動損失という名前はミスリードです。

AMMに資産を入金する時はいつも以上に注意をしてください。これまで説明してきたように、ある流動性プールは他の物と比べて変動損失のリスクが高いかもしれません。シンプルなルールとして、プールに入っている資産の値動きが激しいほど、変動損失のリスクは大きくなります。また、少額の入金から始める方が良いでしょう。そうすることで、より大きな金額を入金する前に、どのようなリターンを期待することができるのかについて、概算を得ることができます。  

最後のポイントは、より試行錯誤されていて、テストが行われた AMMを見つけるです。DeFiは、既存のAMMをフォークして、いくつかの小さな変更を追加することで、誰でも簡単に新しいプロジェクトを始めることができます。しかし、このような方法で始まったプロジェクトはバグの危険性が高く、入金した資金が永遠にAMMにロックされたままになってしまう可能性があります。流動性プールが異常に高いリターンを約束する場合、おそらくなんらかのトレードオフがあり、そのAMMに関連するリスクも高くなります。


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まとめ

変動損失はAMMに流動性を提供したい人は必ず理解しておくべきコンセプトの1つです。要するに、入金した資産の価格が入金してから変動したら、流動性提供者は変動損失のリスクを抱えることになります。

変動損失やスリッページについてまだ質問がある場合は、<0>Ask Academy という、バイナンスコミュニティが質問したり、それに回答したりする、Q&Aプラットフォームを確認してみてください。(翻訳 土田基也)