DeFiにおける流動性プールとは

DeFiにおける流動性プールとは

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公開済 Dec 14, 2020更新済 Sep 5, 2025
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要点

  • 流動性プールは、分散型取引所(DEX)やその他のDeFiアプリを支えるスマートコントラクトにロックされたトークンの集合体です。

  • 売り手と買い手をマッチングさせるのではなく、自動マーケットメイカー(AMM)によりこれらのプールされた資産と直接取引できます。

  • 流動性プロバイダー(LP)は手数料や報酬を得られる一方、インパーマネントロスやスマートコントラクトのバグなどのリスクも存在しています。

  • 流動性提供へのさらなるインセンティブとして、イールドファーミングや流動性マイニングなどの仕組みが用意されています。

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はじめに

分散型金融(DeFi)は、従来の仲介機関に依存せず、資産の取引や借り入れや収益獲得の方法を大きく変えました。このエコシステムの革新的な要素が、流動性プールです。

流動性プールは分散型取引所の基盤であり、多くのDeFiアプリケーションを支えています。この記事では、流動性プールの仕組みや重要性、利用時の注意点をわかりやすく解説します。

流動性プールとは?

流動性プールは、スマートコントラクトにロックされた暗号資産やトークンのプール(資産の集まり)で、分散型取引や貸付に対応し、その他の金融サービスに流動性を提供します。UniswapやPancakeSwapなどのDeFiプラットフォームは、従来のオーダーブックや中央集権的なマーケットメイカーに頼らず、流動性プールと自動マーケットメイカー(AMM)を組み合わせてトークンスワップを実現しています。

流動性プールでは、買い手と売り手を個別にマッチングさせる必要がありません。誰でもプール内の資産と取引でき、価格はプール内のトークン比率に応じて自動的に調整されます。

流動性プールの仕組みは?

流動性プロバイダー(LP)

プールへのトークンの供給者は流動性プロバイダー(LP)と呼ばれ、通常、例えばETHとUSDCなど、2種類の異なるトークンをペアで同じ価値分だけプールに預け入れます。その対価として、流動性プロバイダーはプールに対する自分の持ち分を表すLPトークンを受け取ります。

流動性プロバイダーは、プール内で行われる取引(スワップ)ごとに発生する手数料の一部を報酬として受け取ることができます。これにより、パッシブインカムを得られます。さらに、LPトークンは多くの場合、追加報酬を得るために他のプラットフォームでステーキングできます(イールドファーミングまたは流動性マイニングと呼ばれます)。

自動マーケットメーカー(AMM)

自動マーケットメーカー(AMM)は、プール内の価格を決定するスマートコントラクトです。よく使われる計算式の一つにUniswapのものがあります。

x * y = k

式のxとyはプール内のトークン残高、kは定数です。取引が行われるたびに残高が変動し、価格は自動的に調整されます。そのため、従来のオーダーブックに頼ることなく、流動性プールと直接取引できます。

流動性プールの利点

  • 誰でも参加可能:管理者は存在せず、誰もが流動性プロバイダーになれます。

  • いつでも利用可能:取引相手は必要なく、24時間365日流動性が確保されます。

  • 即時取引:取引相手によるオーダーのマッチングを待つ必要がありません。

  • インセンティブ:LPは手数料と場合によってボーナス報酬を獲得できます。

  • プロジェクトの参入障壁が低い:新規トークンは中央集権型取引所に依存せず、迅速に流動性プールを立ち上げられます。

DeFi流動性プール利用のリスク

流動性プールは、DeFiはブロックチェーン技術の革新的な応用事例となりました。一方で、流動性プールには一定のリスクが伴います。

インパーマネントロス

インパーマネントロスとは、トークンの価格比率が変動した際、流動性プールにトークンを預けた時点との差として発生する損失のことです。価格比率の変動が大きいほど、単にトークンを保有している場合と比べて損失が大きくなることがあります。これは、プールが自動的にトークンの比率を一定(価値ベースで均等に)に保つように調整するため、価格が上昇した方のトークンの数量が減ってしまうことが原因です。

スマートコントラクトの脆弱性

流動性プールはスマートコントラクトに依存しているため、バグや悪用によって資金が失われる可能性があります。監査済みで信頼できるプラットフォームを利用することでリスクを軽減できるものの、完全ではありません。

ラグプル(流動性引き上げ詐欺)と詐欺

詐欺師が偽のプールを設置し、流動性を集めた後に資金を持ち逃げすることがあります。トークンを預ける前に、必ずプロジェクトの正当性を十分に確認してください。また、投資リスクは損失許容範囲内にとどめてください。不安な場合は、大きなリスクを取る前に少額でテストすることから始めてください。

流動性プールの一般的な種類

  • 従来型プール:2種類のトークンで構成され、価値比率が50対50に保たれているプール(例:Uniswap v2)

  • ステーブルコインプールステーブルコインや、互いに価値が非常に近い資産(価値がほぼ連動している資産)のみで構成され、ユーザーにとってはスリッページが小さいだけでなく、LPにとってはインパーマネントロスのリスクも低いプール(例:Curve Finance)

  • マルチアセットプール:複数のトークンと比重をカスタマイズできるプール

  • シングルサイドプール:LPが単一のトークンを預けられ、インパーマネントロスのリスクが存在しないプール

  • 集中流動性プール:LPが特定の価格帯に流動性を提供し、資本効率を向上させるプール(例:Uniswap v3およびv4

流動性プールへの参加方法

1. プラットフォームを選択:自分の好みの資産やリスク許容度に応じて、UniswapやPancakeSwapなどの信頼できるDeFiプラットフォームを選択します。

2. ウォレットを接続MetaMaskなどの対応暗号資産ウォレットを使ってプラットフォームに接続します。Binance Walletを利用しBinance Alpha経由でDeFi流動性プールにアクセスすることも可能です。

3. プールを選択し、トークンを提供:プールから要求されるトークンを預け入れ、その対価としてLPトークンを受け取ります。

4. 報酬を獲得:取引手数料やステーキング報酬を受け取り、パッシブインカムを獲得します。

5. 流動性を引き出す:LPトークンを償還して資産と収益(あれば)を回収します。

まとめ

流動性プールはDeFiの基盤のひとつです。分散型取引やレンディング、イールド戦略を支え、一般ユーザーにもパッシブインカムを得る機会を提供します。しかし、いかなる投資にもリスクが伴います。インパーマネントロスやスマートコントラクトコードの脆弱性、ラグプル詐欺などのリスクも存在します。信頼できるプラットフォームを利用すること、最新の情報を常に把握すること、リスクの適切な管理を実践すれば、流動性プールはDeFiエコシステムに参加する有力な手段となり得ます。

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