ブロックチェーンのエコシステムは速いペースで拡大し、それを利用する人の数は日々増加しています。ブロックチェーンは主に仮想通貨のネットワークで利用されている技術ですが、革新的なソリューションとして、幅広い業界で活用することができます。
バイナンスアカデミーでは、ブロックチェーンのユースケースについて多くのコンテンツを用意しています。医療、ガバナンス、サプライチェーン、IoT、チャリティと、その活用事例は多岐に渡ります。
しかし、ブロックチェーン技術がゲーム業界をも変えようとしていることを知っていましたか?
現在のオンラインゲームの大部分が、中央集権的なモデルで運営されています。ゲームの運営者が独占的に管理するサーバーに、データが全て保存されているのです。
一般的にゲームのデータとは、アカウントの情報やサーバーの履歴です。サーバーの履歴には、ゲーム上の全ての出来事が記録され、価値あるコレクション、アイテム、ゲーム内通貨など、プレイヤーがゲームで集めたアセット(資産)も保存されています。
データベースは1つの企業が管理しているため、プレイヤーはアカウントやアイテムを本当に所有しているとは言えません。また、サーバーが中央集権的であるということは制約も多く、脆弱性を有します。例えば、以下のような内容です。
言い換えると、様々な権限がゲーム会社にあるのです。しかし、ブロックチェーン技術は、こういった問題を解決もしくは軽減することができます。
分散型データベースとして、ブロックチェーンのシステムは、あらゆるデジタルデータを検証・保護することができます。ゲームの履歴やアイテム、トークンといった全てのデータを守ります。ゲームにおける様々な権限を、ゲーム会社からプレイヤーに戻すことが主な目的です。
各プレイヤーが、自分のアカウントやアセットを完全に管理できるようになり、いつでも自由にアセットを交換することも可能になります。様々な方法を利用して、ブロックチェーンゲームを開発・運営できます。
ブロックチェーンの活用はゲーム業界にとってどのようなメリットがあるか、具体的に見ていきましょう。
前述したように、ブロックチェーンゲームでは、プレイヤーがゲーム内のアセットに対して永久に所有権を保持し、自身で管理を行えるようになります。一般的にアセットの作成には、ERC-721を初めとする代替不可能なノンファンジブルトークン(NFT)が利用されます。
アセットには、ゲーム内のカード、スキン、アイテムやキャラクターも含まれます。種類に関わらず、全てブロックチェーンのトークンに紐づけられ、分散型ネットワークで維持されます。
通常ゲームでは、ゲーム会社がドロップ率やゲームのエコシステムを管理する権限を持ちます。ゲーム内アイテムをロックしたりバインドしたりして、プレイヤーが交換できないようにすることもできます。
対照的にブロックチェーンゲームでは、非中央集権的なマーケットプレイスを作ることが可能です。プレーヤー同士が必ずしも信頼し合う必要はなく、同時に検閲耐性をもたらします。全プレイヤーがピアツーピアで、ゲーム内のアセットを自由に売買・交換できるのです。
ブロックチェーンとスマートコントラクトは、決済の手数料を下げ、金融取引の速度を向上させることができます。ピアツーピアのプレイヤー間取引だけでなく、プレイヤーと開発者のやりとりまで、あらゆる種類の決済を円滑に行うことが可能になります。
ゲーム内のデータやアイテムをブロックチェーンでトークン化することによって、異なるゲーム間でアセットの交換ができるようになります。これによってプレイヤーはデジタルアセットを再利用でき、様々なゲームで試すことも可能です。
ゲームのアイテムをトークン化し、同じブロックチェーン上にあるゲームであれば、プレイヤーはトークンを交換することができるのです。
使い方次第で、ブロックチェーンを利用すれば、オープンソースで透明性の高い分散型のゲームサーバーを構築することができます。この場合、ゲームの仕組みを変更するには、ブロックチェーンネットワークの参加者から多数の賛成を得なくてはいけません。
さらに、ブロックチェーンが分散型で単一障害点がないため、ハッキング等によるゲームの妨げを防ぐことができます。
ゲームが中央集権化されたサーバーで運営されている場合、開発者はいつでもプロジェクトを中止したり、ゲームのサービスを終了したりすることができます。ブロックチェーンを利用すれば、たとえ開発者がサービスを中止しても、プレイヤーはゲームを継続することができます。
ブロックチェーンネットワークが稼働し続けている限り、ゲームを継続できるのです。新たな開発者が引き継いで、プロジェクトを改善していく場合もあるでしょう。
確かにブロックチェーン技術は、ゲームの世界に新たな可能性をもたらしましたが、解決しなくてはならない重大な課題が残されています。以下がその一例です。
しかしながら、課題を克服するための手段は数多く開発されています。例えばスケーラビリティの問題に取り組むために、イーサリアムのプラズマ(Plasma)やライトニングネットワーク、またその他のレイヤー2のソリューションを実験利用している開発チームはたくさんあります。
従来のゲーム市場と比較すると、ブロックチェーンゲームの市場はまだ新しく、比較的小規模です。しかしブロックチェーンネットワーク上に構築されたdApps(分散型アプリケーション)やゲームの数は増加しています。
非中央集権的なアプリやゲームの大部分が、イーサリアムのブロックチェーンを利用しています(例:Enjin、Loom)。一方で、EOS、TRON、 ONT、 NEO、 VeChain、IOSTといった他のネットワークを利用したプロジェクトも増加しています。以下は、ブロックチェーンゲームの例です。
ブロックチェーン技術が、ゲーム業界おいて大きな可能性を秘めていることは明らかです。プレイヤーや開発者に重大なメリットをもたらし、特に非中央集権性、透明性、互換性の面で改善が期待されています。
開発者が課題を解決することができれば、ブロックチェーンはゲームの世界を変え、全く新しいエンターテイメントを生むことができるでしょう。そうすれば、プレイヤーはもっと自由にゲームを楽しむことができるようになります。