オーダーブックの概要とその仕組み
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オーダーブックの概要とその仕組み

オーダーブックの概要とその仕組み

初心者
更新済 Oct 24, 2024
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要点

  • オーダーブックはその時点の売買注文(BID価格とASK価格)を表示するもので、指定の取引ペアに関する市場での需給の力学を示しています。

  • 流動性が高い市場では、オーダーブックは絶え間なく更新され、取引が実行されると、対応する注文がオーダブックから即座に消え去ります。このため、オーダーブックは市場での活動を追跡するための動的なツールとなっています。

  • オーダーブックは、潜在的に存在し得るサポート(支持)レベルおよびレジスタンス(抵抗)レベルの特定と市場のデプスの特定にも役立ちます。一方、買いの壁と売りの壁が見えることで需給に関する誤った印象につながる可能性があるため、正確性の高い市場分析を行うためには、オーダーブックだけでなく他のツールと併せて判断する必要があります。

オーダーブックCTAバナー

オーダーブックとは

オーダーブックは、株式、コモディティ、暗号資産などの特定の資産に関するすべての売買注文をまとめたリアルタイムのリストと捉えることができます。オーダーブックでは、購入者が希望する金額(BID価格)と売却者が希望する金額(ASK価格)のスナップショットを確認でき、市場での需給の状態を見極め易くなります。

バイナンスアプリでは、オーダーブックは取引チャートの下にあり、以下の通り表示しています。

バイナンスアプリでのオーダーブックのUI

バイナンスウェブサイトでは、オーダーブックは取引インターフェースの左側または右側に表示されます(現物取引と証拠金取引の場合は左側、先物取引の場合は右側)。以下の通りに表示しています。

バイナンスウェブサイトでのオーダーブックのUI

オーダーブックの仕組み

流動性の高い市場では、オーダーブックはリアルタイムかつ絶え間なく更新されます。新規の売買注文が入ると、該当する注文がリストに追加されます。続いて取引が発生すると、対象の注文がオーダーブックから削除されます。まとめると、オーダーブックとは、購入者と販売者の間における進行中の交渉を意味する未決済注文が表示される場所を指しています。

市場で購入する場合、注文は支払える最大価格に基づき追加されます。市場で売却する場合、注文は許容できる最少価格に基づき追加されます。

オーダーブックの主な構成要素

  • 買い注文(BID価格):購入者の購入希望金額を指します。BID価格は通常、高い順にリストされます。

オーダーブックのBID価格

  • 売り注文(ASK価格):売却者の受取希望金額を指します。ASK価格は通常、高い順にリストされます。

オーダーブックのASK価格

  • 価格と数量:注文ごとに、オーダーブックにはトレーダーの売買希望価格および数量が表示されます。

オーダーブックの価格と数量

  • スプレッド:最大BID価格(買値)と最小ASK価格(売値)の差を意味します。スプレッドが小さい場合、市場の流動性が高いと判断できます。

  • 注文のマッチング:売買注文が揃った場合、マッチングエンジンにより取引が約定します。つまり、購入者が売却者の売値での支払いに同意した場合(または売却者が購入者の買値での支払いに同意した場合)、取引が成立します。

オーダーブックの視覚化:デプスチャート

大抵のトレーダーは、オーダーブックを視覚的に表現したデプスチャートを使用しています。同チャート内のX軸はプライスポイントを示し、Y軸は各価格での売買注文の数量を示しています。

バイナンスでは、インターフェースの右上隅からデプスチャートを表示できます。また、デプスチャートを用いて、特定の市場における現在のビッド・アスク・スプレッドを確認することもできます。

バイナンスウェブサイトでのオーダーブックのデプスチャート

デプスチャートには、BID価格(緑色の買い注文)とASK価格(赤色の売り注文)の2種類の曲線が表示されます。トレーダーはこの曲線の分析により、相場反転の可能性や、価格がそれ以上変動するのを妨げる可能性のある「買いの壁」または「売りの壁」を特定できます。

トレーダーにおけるオーダーブックの活用方法

オーダーブックにより、市場の流動性と動向に関する興味深い洞察がもたらされます。トレーダーにおけるオーダーブックの活用方法の一例は、以下の通りです。

  • サポートレベルとレジスタンスレベルの特定:一定の価格での大規模な買い注文(買いの壁)は、強いサポートレベルを示している可能性がある一方、大規模な売り注文(売りの壁)は、一定の価格でのレジスタンスレベルを示している可能性があります。

  • 流動性に関する分析:注文数が多く流動性が高いオーダーブックでは、価格の大幅な上下を心配せずに売買注文を簡単に行えます。

  • 市場のデプス:トレーダーは、潜在的な市場動向を予測するために、どの価格帯で注文が「待っている」かに注目することが多くなっています。例えば、一定価格での大量の買い注文が存在する場合、このレベルがサポートレベルとなる可能性が高いと判断できます。

オーダーブックの市場のデプスと売りの壁

一方、注文は簡単に実行・削除できます。買いの壁と売りの壁は時折、意図的に需給に関する誤った印象を与えるために用いられるケースがあります。このため、オーダーブックに過度に依存することはお勧めしません。オーダーブックにより幾分洞察がもたらされるものの、これが確実であるとは言えません。

オーダーブック上の注文種別

  1. 成行注文:成行注文は、利用可能な最良価格で直ちに約定します。例えば、購入者が成行注文を送信した場合、オーダーブック上の最小ASK価格とマッチングされます。

  2. 指値注文指値注文では、トレーダーは売買希望価格を指定できます。指値注文は、市場価格が指定済みの指値価格に到達した場合にのみ実行されるため確実に実行価格が制御されるものの、取引が約定する保証はありません。

  3. 逆指値注文:条件付き注文である逆指値注文では、資産価格が指定価格を超えた場合に資産の売買が実行され、成行注文または指値注文がトリガーされます。逆指値注文は損失を最小化するために用いられることが多く、リスク管理に非常に役立ちます。

まとめ

まとめると、オーダーブックは金融市場における需給の理解に役立つツールとなっています。株式、コモディティ、暗号資産のいずれの取引を行う場合でも、オーダーブックの見方の理解により、より良い取引決定を下せるようになります。

繰り返しますが、注文とはすぐに作成・削除できるものです。買いの壁と売りの壁は時折、意図的に需給に関する誤った印象を与えるために用いられるケースがあることを覚えておいてください。リスクを軽減するために、オーダーブック分析を他のテクニカル指標やツールと組み合わせることをお勧めします。

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