ショート(空売り)とは?

ショート(空売り)とは?

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公開済 Jul 29, 2020更新済 May 20, 2025
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要点

  • ショート(空売り)とは、資産を売却し、後に安い価格で買い戻すことを目的とする取引手法である。

  • 通常、ショートは借入資金を用いて行うため、初期証拠金(担保)、維持証拠金、そして利息の支払いが必要になる。

  • ショートは、市場で投機を目的とするトレーダーや投資家、あるいは他の資産の損失を相殺するヘッジ戦略として広く活用されている。

  • ショートのリスクには、価格が上昇し続ける場合の無制限損失の可能性、清算(強制決済)リスク、ショートスクイーズ(急激な価格上昇による損失拡大)のリスク、借入手数料などの追加コストなどがある。

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はじめに

金融市場には、利益を生み出す方法が無数に存在します。テクニカル分析を重視するトレーダーもいれば、ファンダメンタル分析に基づいて企業やプロジェクトに投資するトレーダーもいます。

通常、トレーダーは資産を低価格で購入し、後で価格が上昇したときに売却して利益を上げようとします。しかし、価格が継続的に下落する長期のベアマーケットに直面した場合はこ¥の通りには行きません。

この場合、ショートすることで価格の下落から利益を得られます。ショートポジションを建てることは、リスク管理や既存の保有資産の価格リスクに対するに対するヘッジとしても優れた方法になります。

ショートは17世紀のオランダ株式市場に起源を持ち、2008年の金融危機発生時、またGameStop株でヘッジファンドがショートポジションを取っていた際個人投資家が株価を吊り上げ発生した2021年のショートスクイーズで注目を集めました。

ショート(空売り)とは?

ショート(空売り)とは、資産を売却し、後に安い価格で買い戻すことを目的とした取引です。ショートポジションを建てるトレーダーはその資産の価格が下降すると予想し、その資産に対して「弱気」な見方をしています。

金融商品銘柄を保有して値上がり待つだけではなく、資産価格の下落から利益を得るためにショート戦略を採用するトレーダーもいます。ショートは、市場の下落局面での資本の保全手段としても有効です。

ショートは、株式市場、商品、為替暗号資産など、ほぼすべての金融市場で広く行われています。ショート戦略は、個人投資家やヘッジファンドなどのトレーディング会社が広く活用しています。

ショートポジションの反対はロングポジションで、購入した資産を後に高い価格で売却することを目的としています。

ショートには主に2つの目的があります。

  • 投機:価格下落を予測して利益を獲得する。

  • ヘッジ:他の投資(例えば、類似または関連資産のロングポジション)の損失を相殺する。

株式はショートの最も一般的な対象ですが、この戦略は、暗号資産、債券、コモディティなどの他の資産にも適用できます。

ショートの仕組み

ある金融商品の相場を弱気と見るものとします。必要となる担保を用意し、価格が下がると予測する資産を借り、即座に売却します。これで、ショートポジションを建てたことになります。市場が予想通りに下落した場合、その資産を借入した同数量を買い戻し、貸し手に(利息付きで)返済します。こうすることで、最初に売却した金額と買い戻した金額の差額が利益となります。

ビットコインのショートの例

1 BTCを借りて$100,000で売却するとします。これで1 BTCのショートポジションが成立し、借入多分には利息が発生します。ビットコインの市場価格が$95,000に下落した場合、1 BTCを買い戻し、貸し手(通常は取引所)に返済します。この場合の利益は、$5,000(実際には、ここからさらに利息や手数料を差し引いた額)となります。しかし、価格が$105,000に上昇した場合、1 BTCを買い戻すと、$5,000の損失に加え、手数料と利息が発生します。

株式のショートの例

投資家がXYZ社の株価(現在$50で取引中)の下落を予想するとします。100株を借り、$5,000で売却します。価格が$40に下落した場合、投資家は株式を$4,000で買い戻して返却し、$1,000の利益(手数料を差し引いた額)を得ます。価格が$60に上昇した場合、買い戻しには$6,000かかり、$1,000の損失に加え、借入手数料や利息が発生します。

ショートの種類

ショートには主に2つの種類があります。

  • カバードショート:実際の株式を借りて売却する標準的な方法。

  • ネイキッドショート:株式を借りずに売却する手法で、リスクが高く、市場操作の可能性から制限または違法とされる場合が多い。

ショートの要件

ショートは借入資金を用いるため、通常、証拠金または先物アカウントを通じて担保を用意する必要があります。証拠金取引ブローカーまたは取引所でショートする場合、以下の点を考慮することが重要になります。

  • 当初証拠金:従来型の市場では、当初証拠金は通常、ショートする株式の価値の50%となる。暗号資産市場での要件は、プラットフォームと使用するレバレッジによって異なる。例えば、5倍のレバレッジを使用する場合、$1,000のポジションには$200の担保が必要になる。

  • 維持証拠金:維持証拠金は、アカウントが潜在的な損失を補填するのに十分な資金を持っていることの保証とされる。通常、トレーダーの証拠金レベル(総資産 ÷ 総負債)に基づいて算出される。

  • 清算(強制決済)リスク:証拠金レベルが過度に低下した場合、ブローカーや取引所は追加資金の預け入れを要求するマージンコールを発動、または借入資金を補填するためにポジションを清算(強制決済)してこれにより大きな損失につながる可能性がある。

ショートのメリット

ショートは投資家やトレーダーに多くのメリットを提供します。

  • 下落市場での利益:トレーダーは、従来のロングオンリー戦略とは異なり、価格の下落を利用できる。

  • ヘッジ:特に変動の激しい市場で、ロングポジションの損失を相殺し、ポートフォリオを保護する。

  • 価格発見:ショートは、過大評価された株式価格で見落とされている否定的な情報を反映させ価格を是正し、市場の効率を向上させるという主張も存在する。

  • 流動性:取引活動を増加させ、買い手と売り手が取引しやすくなる。

ショートのリスク

ショートポジションを建てる際には、考慮すべきいくつかのリスクがあります。その一つに、理論上ショートポジションの損失は無限大になる可能性があります。

過去、株式のショートポジションを建てた専業トレーダーの破産例が数え切れないほどあります。予期せぬニュースで株価が急上昇すると、ショートしている売り方は「罠」にかかり、追い詰められます(ショートスクイーズとして知られる)。

その他の潜在的なリスクには、以下のものが挙げられます。

  • 借入コスト:借入コスト:手数料や利息は、特に需要が高く借入が難しい株式の場合、変動する。

  • 配当金支払い:株式市場では、ショートしている売り方はショート期間中に支払われる配当金を支払う必要があり、コストが増加する。

  • 規制リスク:市場混乱時に、ショートが一時的な禁止や制限が課せられると、売り方は不利な価格でポジションを清算させられる可能性がある。

市場関連および倫理的検討事項

ショートは、様々な議論の的になっています。ショートが市場の下落を悪化させたり、企業を不当に標的にし従業員や利害関係者に損害を与える可能性があるという批判があります。例えば、2008年の金融危機時の積極的なショートは、いくつかの国で一時的な禁止措置が取られました。一方で、ショートが過大評価された企業や詐欺的な企業を白日のもとにさらし、市場の透明性を高めるという反論もあります。

規制当局は、急激な下落時のショートを制限するアップティックルールや、大きなショートポジションの開示要件により、これらの懸念に対応しています。米国では、SECのRegulation SHO(ショート規制)により、ネイキッドショートなどの行為を禁止しています。

まとめ

要約すると、ショートとは価格の下落から利益を得る一般的な戦略です。投機目的であれヘッジ目的であれ、ショートは従来の市場と暗号資産市場ともに依然として重要な役割を果たしています。ただし、無制限の損失、ショートスクイーズ、取引コストなど、ショートのリスクとデメリットを考慮することが重要です。

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