要点
従来、プレマーケットという表現は、証券取引所の公式取引時間外に行われる取引活動を指すものでした。
暗号資産におけるプレマーケットとは、取引所にまだ公式に上場していないトークンの取引を意味します。
プレマーケットのメリットとして、上場前の早い段階で適正価格を発見し、通常の上場前に取引戦略を準備できることが挙げられます。
はじめに
従来の市場では、指定された取引時間中に資産の売買が行われるのが一般的であるものの、取引は指定時間外に行われることもあります。この記事では、プレマーケットとその仕組みを説明しメリットとリスクについても取り上げます。
プレマーケットとは
プレマーケットとは、公式取引時間前の取引活動のことを指します。通常、ニューヨーク証券取引所（NYSE）やナスダックなどの証券取引所が開始されるまでの早朝に行われます。プレマーケットは、必ずしもすべての上場銘柄が取引されるわけではありません。
プレマーケット取引は、決算報告やマクロ経済イベントなど、前日の市場が引けた後に発生した出来事が市場に与える影響など、市場センチメントや値動きに関する動向を把握できます。
暗号資産プレマーケットとは
暗号資産市場は24時間365日稼働しているため、プレマーケットという用語には異なる意味があります。暗号資産プレマーケットとは、投資家がトークンが公式にローンチされたり、一般に配布される前に取引可能なプラットフォームを指します。
通常、トレーダーは暗号資産プレマーケットを利用してローンチ後のトークンの価値を予測し、売買します。ただし、暗号資産プレマーケットはトークンのみとは限りません。場合によっては、将来のエアドロップの基準となる「プロトコルポイント」を取引できます。
プレマーケットの仕組み
従来の市場では、プレマーケット取引は売り手と買い手をマッチングさせる電子通信ネットワーク（ECN）を通じて行われます。このような取引は、通常の市場時間中とは異なるルールで運用され、流動性や価格のボラティリティなどの点で違いがあります。プレマーケットで成立した価格は株式の取引市場開場後の価格に影響し、その日の相場の方向性の示唆となることが多くなります。
例えば、市場閉場後に四半期決算を発表する企業があるとします。予想以上の好決算が発表され、投資家は株式市場の好反応を予想します。翌日の市場が公式に開始される前に、プレマーケットのセッションの段階で、投資家は好決算企業の株を買い始められます。その結果、その企業の株式に対する需要が高まり、通常の取引セッション開始前から株価が上昇する可能性があります。
暗号資産プレマーケットの仕組み
暗号プレマーケットの仕組みはピア・ツー・ピア（P2P）取引プラットフォームと似ている一方、まだローンチされていないトークンを扱っている点で異なります。暗号資産プレマーケットでは、トークンの割当の公式発表後、トークンの配布、取引プラットフォームに公式上場するまでの期間にトークン取引できます。
例えば、イニシャル・エクスチェンジ・オファリング（IEO）を通じて、トークンのリリースを発表する新しい暗号資産プロジェクトを例に挙げてみましょう。トークンが公式に配布され取引所に上場される前に、そのプロジェクトの未公開トークンが分散型プラットフォーム上のプレマーケットで取引されます。この一連の取引は、早期段階での価格発見と流動性を提供し、市場センチメントを把握し、プロジェクトのトークンの価値を事前に評価できます。中央集権型取引所（CEX）も取引のカストディアンとして機能することで、暗号資産の市場前取引を提供できます。
プレマーケットのメリット
早期の適正価格発見
プレマーケットでは、通常取引時間前の段階で、外部要因による市場影響を評価し価格を見定めることができます。市場参加者はこの取引時間外の値動きを解釈し、次の公式取引セッションでの市場動向や相場の勢いを予想できます。
取引戦略の調整
プレマーケットにより、通常の取引時間外に発生する出来事に対応し、取引戦略を効果的に調整できます。市場が開始される前に調整し、市場からのボラティリティへのリスクを軽減できます。
アクセシビリティ
プレマーケットでは取引時間が延長されるため、公式の取引時間に参加できない投資家にとってはとりわけ便利です。投資家は都合に合わせて取引できます。
プレマーケットにおけるリスク
低い流動性
プレマーケット環境の取引は、通常の取引時間に比べて流動性が低くなります。そのため、ビッド・アスク・スプレッドは大きくなり、市場価格に大きな影響を与える大口取引は困難になります。
限られた市場参加者
一般に、プレマーケットでは、活動的なトレーダーや機関投資家の数は少なくなっています。このため、値動きは市場全体の状況を正確に反映しない可能性があり、初期に参加するトレーダーに誤解を与える可能性があります。さらに、プレマーケットで発生したトレンドは、通常の公式取引セッション開始後により多くの市場参加者が参入すると、反転する可能性があります。
まとめ
従来のプレマーケットでは、証券取引所の公式な開業時間前に取引活動が行われます。暗号資産におけるプレマーケットは、公式にローンチされていないトークンを取引するプラットフォームを意味します。プレマーケットの利点には、早期に適正価格を発見し、通常の市場時間前に取引戦略を調整できる点などが挙げられます。
参考文献
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