要点
ストップロス、テイクプロフィット目標、トレーリングストップなどの出口戦略を利用することで、トレーダーは感情に左右されることなく、リスクを管理し利益を確保しやすくなる。
適切なリスク管理と出口戦略は、規律を維持し、トレーダーの長期的な成功に不可欠なものである。価格変動の激しい暗号資産市場では、とりわけ重要なものとなる。
この記事では、トレーダーのための出口戦略5選を説明し、さまざまな戦略を併用する方法についていくつか紹介。
はじめに
トレードの手仕舞いタイミングを理解することは、トレードのエントリータイミングの理解と同じく、トレーダーにとって重要なことと言えます。十分な計画の上に実践される出口戦略により、利益を守り、損失を最小限に抑え、感情に支配された判断を避けられるようになります。とりわけ、不安定な相場環境においてこの実践が威力を発揮します。
この記事では、ストップロス注文、テイクプロフィット目標、トレーリングストップ、ドルコスト平均法(DCA)、テクニカル指標など、トレーダーのための出口戦略5選を説明します。まとめとして、さまざまな戦略の併用についても紹介します。
1. ストップロス注文
ストップロス注文は、資産の価格が特定のレベルに達すると自動的に取引を決済し終了する注文方法です。その名が示すとおり、ストップロス注文は、相場が保有ポジションに不利に働いた場合に発生し得る損失を限定する注文戦略です。ストップロス注文は、適切なリスク管理に欠かせないツールといえます。
ストップロス注文の使用方法
パーセンテージ基準のストップ:エントリー価格から特定のパーセンテージでストップロスを設定。例えば、$40,000でビットコインを購入し、5%のストップロスを設定した場合、BTCが$38,000まで下落すると取引は決済され、手仕舞われる。
テクニカルストップロス:サポート(支持)レベルまたは重要な移動平均の下にストップロスを設定する。例えば、BTCが$37,000の200日移動平均線より上で取引されている場合、ストップロスを$37,000以下で設定するなどが挙げられる。
メリット
はっきりとしたリスク管理を計画できる。
イグジットプロセスを自動化し、感情の影響を軽減できる。
2. テイクプロフィット目標
テイクプロフィット注文はストップロス注文と似ているものの、損失をカットするのではなく、利益を確定するものです。これらの注文は、価格が一定の利益水準に達すると自動的にポジションを売却するものです。テイクプロフィット注文は、天井(相場で価格が最高に達するタイミング)を狙って消耗する必要なしに利益を確保できます。
テイクプロフィット目標の設定方法
リスクリターン率:リスクリターン率を1対2などに設定し、$1のリスクに対して$2のリターン(利益)を目標とするなどが考えられる。ストップロスの価格帯がエントリーから$1,000下であれば、テイクプロフィット地点は$2,000上の設定となる。
フィボナッチレベル:フィボナッチリトレースメントとエクステンションツールを用い、潜在的な利益確定レベルを識別する。例えば、1.618フィボナッチエクステンションレベルは、有意なテイクプロフィット(利食い)ゾーンとしてみなされることが多い。
メリット
欲に駆られたオーバートレードを防止する。
事前に定義された目標に焦点を当て、安定した収益を確保できる。
3. トレーリングストップ
トレーリングストップ注文は、価格に連動して動くように設計されたストップロス注文です。この注文の目的は、価格の変動に合わせてストップロスレベルを常に更新し、利益を確定させていくことにあります。例えば、ロングポジション保有時、市場価格が指定されたパーセンテージまたは価格分下落した際にトレーリングストップ注文がトリガーし、ポジションは決済され、取引を手仕舞います。
トレーリングストップの使用方法
トレーリングストップのパーセンテージまたは値を設定します。例えば、トレーリングストップが5%の場合、BTC価格が$40,000から$50,000に上昇すると、ストップロスは$47,500($50,000より5%下)に調整されます。さらに$60,000まで上昇した場合、ストップロス価格は$57,000($60,000の5%下)に再調整されます。
メリット
長期上昇トレンドに参加し続けられる。
市場が突然の反転した場合でも、損失を最小限に抑えられる。
4. ドルコスト平均法(DCA)による出口戦略
DCAは市場に新規参入する際によく利用される一方、ポジションを徐々に手仕舞う際にも利用できる戦略です。一度にすべてを売却するのではなく、一定の間隔または異なる価格帯でポジションの一部を売却していきます。これにより、出口(売却)価格が平均化されます。
例
$20,000で購入した1ビットコインを所有しているとします。強気相場が続き、BTCは$50,000まで上昇したとします。$50,000ですべてを売却するのではなく、$50,000で0.1 BTCを売却し、$55,000で別の0.1 BTCを売却する、といった具合に手仕舞います。こうすることで、利益を確定しつつ、潜在的にさらに伸び得る利益を逃すリスクを軽減できます。
メリット
出口戦略時に、早すぎたり遅すぎたりすることでの精神的な影響を軽減する。
複数の価格水準での利益確保により利益を平準化できる。
5. テクニカル分析インジケーター
テクニカル分析(TA)ツールを活用し、感情に左右されることなく、市場のシグナルに基づいて利益 / 損失を確定するトレーダーもいます。よく使われるインジケーターには、移動平均、RSI、パラボリックSARなどがあります。
移動平均
例:BTCの価格が50日移動平均線を割り込んだ場合、弱気反転へのシグナルとみなされる場合があります。この時点でイグジット(ポジションを決済)すれば、さらなる損失を回避できます。
相対力指数(RSI)
例:ビットコインのRSIが70以上(買われすぎ)まで上昇した場合、反転を示唆する可能性があります。この時点でイグジットすると、さらに下降する前に利益を確定できます。
パラボリックSAR(ストップ&リバース)
例:パラボリックSARインジケーターは、価格の上下に点(ドット)をプロットするものです。ドットが価格の下から上に切り替わると、潜在的なイグジットポイントを示します。
メリット
市場状況にリアルタイムで適応する。
意思決定から推測を排除する。
戦略の併用によるパフォーマンスの最適化
それぞれの出口戦略には独自のメリットがある中、併用することで効果が増します。例えば、ストップロス注文とテイクプロフィット目標を併用することで、取引する価格範囲を明確にできます。
また、テクニカルインジケーターとトレーリングストップを併用すれば、トレンド相場での利益を確保できます。あるいは、テクニカルインジケーターをDCAの出口戦略に適用し、売却価格のレベルを複数定義したりもできます。
例えば、ビットコインを$44,000で購入したとします。
$42,000にストップロスを設定し、潜在的な損失を限定します。
$50,000でテイクプロフィット注文を発注し、部分的な利益を確保します。
BTCが急騰し$50,000を超えた場合、トレーリングストップで利益を確定します。
BTCがRSI 70を超えて$60,000に達した場合は、徐々にDCAで売却し残りの利益を確定し、リスクを軽減します。
まとめ
出口戦略は、利益と損失を管理する体系的なアプローチで、取引成功に向けた必須ツールといえます。ストップロス注文、テイクプロフィット目標、トレーリングストップ、DCA、テクニカルインジケーターのいずれを利用するにせよ、明確な計画を立てることで規律の維持と適応性の向上に役立ちます。
さまざまな組み合わせを試し、自分の取引スタイルと目的に最もよく合うものを探し出してください。併せて、長期的な成功は推測によるものではなく、規律ある執行とリスク管理から生まれることを肝に銘じてください。
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