一目均衡表は1930年代に日本人のジャーナリストである細田悟一によってコンセプト化されました。しかしながら、彼のイノベーティブなトレーディング戦略は、何十年もの研究と技術的な改善が行われた後、1969年になるまで公開されませんでした。細田によって発明された一目均衡表は、英語では「Ichimoku Clouds」と呼ばれています。
一目均衡表の仕組み
一目均衡表は、先行指標と遅行指標の両方に基づいたデータを表示し、さらにチャートは5つの線で構成されています。
転換線:過去9日間の移動平均を表します。
基準線:過去26日間の移動平均を表します。
先行スパンA:転換線と基準線の中間値を26日先に記入したものです。
先行スパンB:52日間の高値と安値の中間地を26日先に記入したものです。
遅行スパン:当日の終値を26日前にさかのぼって記入したものです。
先行スパンA(3)と先行スパンB(4)の間のスペースは雲を生み出し、この「雲」が一目均衡表において最も注目すべき要素でしょう。この2つの線は、予測の知見を提供するために、これからの26日間を予想しているので、先行スパンと考えられています。一方で、遅行スパン(5)は過去26日間で予測される遅行指標です。
標準では、簡単に読めるようにするために、「雲」は赤、もしくは緑で表示されています。緑の雲は先行スパンA(緑の雲の線)が先行スパンB(赤の雲の線)よりも高い時に作られます。当然ながら、赤の雲は逆の結果の場合に作られます。
例えば、9日間の転換線の平均方程式は以下の通りです。
転換線=(9日間の最高値+9日間の最安値)
一目均衡表の設定
30年以上に及ぶ研究と試行の末、細田悟一は(9、26、52日間)の設定が最もいい結果を出せると考えました。その頃は、日本の営業日には土曜日が含まれていたので、9日間というのは1.5週間(6日+3日)を表していました。つまり、26日間と52日間はそれぞれ1か月、2か月を表しています。
この設定をどのように効率的に修正するかについてはまだ多くの議論が行われています。例えば、この設定を調整することが理にかなっていると主張する人もいますし、一方で標準の設定から離れることは一目均衡表システムのバランスを崩し、結果として大量に無効なシグナルを生み出すと主張する人もいます。
チャートの分析
一目均衡表におけるトレードシグナル
複数の要因によって、一目均衡表は様々な種類のシグナルを生み出します。ここでは、それらのシグナルをモメンタムとトレンドフォローの2種類に分類します。
モメンタムシグナルは市場価格、基準線と転換線の関係に基づいています。上昇モメンタムシグナルは転換線か市場価格が基準線よりも上に行った時のことを言います。下落モメンタムシグナルは転換線か市場価格が基準線よりも下に行った時のことを言います。転換線と基準線が交差することはTKクロスと呼ばれています。
トレンドフォローシグナルは雲の色とその雲と市場価格の位置に基づいています。上述のように雲の色は先行スパンAとBの間の違いを反映しています。
簡潔に説明すると、市場価格が継続的に雲よりも上の場合、その資産は上昇トレンドにいる可能性が高くなります。逆に、雲よりも市場価格が下の場合、下落サイトとして考えられ、つまり下降トレンドを示しています。いくつかの例外を除いて、価格が雲の内で横ばいで推移している場合、トレンドはフラットまたはニュートラルと見なされる場合があります。
遅行スパンはトレーダーが潜在的なトレンド反転を見つけて、確認するのに役立つ、もう1つのの要素です。遅行スパンはプライスアクションの強さ、市場価格を上回った時の上昇トレンド、もしくは下回った時の下降トレンドの確認に対する知見を提供します。一般的に、この遅行スパンは一目均衡表の他の要素と組み合わせて使い、遅行スパン単独で使うことはないです。
まとめ
モメンタムシグナル
市場価格が基準線よりも上(上昇)、もしくは下(下降)に動く時
TKクロス:転換線が基準線の上、もしくは下に行く時
トレンドフォローシグナル
市場価格が雲よりも上(上昇)、もしくは下(下降)に動く時
雲の色が赤から緑(上昇)、もしくは緑から赤(下降)に変化する時
遅行スパンが市場価格の上(上昇)、もしくは下(下降)に動いた時
サポートと抵抗線
一目均衡表はサポートと抵抗線を特定するために使うこともできます。一般的に、先行スパンA(緑の雲のライン)は上昇相場の時はサポート線、下落相場の時は抵抗線として機能します。両方の場合において、ロウソク足が先行スパンAni近づいているものの、価格が雲の中で動いている場合、先行スパンBも同じようにサポート/抵抗線機能するでしょう。さらに、先行スパンが26日間分の将来を予測していることによって、トレーダーはこれからの潜在的なサポートと抵抗ゾーンを予測することができます。
シグナルの強さ
一目均衡表によるシグナルの強さは、より広いトレンドのラインに沿っているかによって、決まります。より大きく、明確に定義されたトレンドの一部であるシグナルは、一般的なトレンドと逆行して一時的に現れるシグナルよりも常に強くなります。
言い換えると、上昇シグナルは上昇トレンドと一緒に現れないと間違いの可能性があります。そのため、シグナルが出てきたら、雲の色とポジションを確認することが大切です。また、取引量も考慮されます。
注意しないといけないことは、一目均衡表をより短いタイムフレーム(日中チャート)で使う場合は、多くのノイズと間違ったシグナルが生まれる傾向にあります。一般的に、より長いタイムフレーム(日、週、月チャート)はより信頼できるモメンタムとトレンドフォローシグナルを生み出します。
まとめ
細田悟一は30年以上もかけて一目均衡表のシステムを作り、磨きました。彼の作ったこのシステムは現在世界中の何百万ものトレーダーによって採用されています。汎用的なチャート作成方法として、一目均衡表は市場の動向と勢いの両方を特定するために使用されます。また、先行スパンによってチャートを読む人にとって、より簡単にまだ試されていない、潜在的なサポートと抵抗線のレベルを予測できるようにします。
ただし、他の指標と同様に、他の手法と組み合わせて使用して、傾向を確認し、取引リスクを最小限に抑える必要があります。一目均衡表を使って、チャートが表示する膨大な量の情報は、初心者にとっても圧倒的かもしれません。そういったトレーダーにとっては、一目均衡表に取り組む前により基本的な指標を使うようにすると良いでしょう。