要点
Ondo(ONDO)とは、米国債などの現実資産(RWA)のトークン化、および機関投資家向けの金融商品に対するオンチェーンのアクセス実現に注力した金融プラットフォームです。
同プラットフォームは、トークン化された投資商品を作成する資産管理部門、ならびに独立して動作するDeFiプロトコルを開発する技術部門を兼ね備えています。
Ondoでは、USDY(米ドル連動型利回りトークン)やOUSG(Ondoの米国短期国債)などのトークン化金融商品を提供しています。USDYは米国債に裏付けられており利回りを生み出す一方、OUSGは、米国短期国債への直接的なエクスポージャーを提供します。
ONDOトークンは、同エコシステムを支えるガバナンストークンおよびユーティリティトークンです。同トークンホルダーはOndo DAOに参加し、Ondoプロトコルの将来的な方向性に影響力を行使できます。
Ondoの概要
Ondoとは、米国債などの現実資産(RWA)をトークン化し、そのオンチェーンのアクセスを実現するプラットフォームです。Ondoは、これまで大手の機関投資家に限定されていた金融商品へのアクセスを一般に開放することを目指しています。
Ondoの主な構成要素として、以下の2つが挙げられます。
資産管理:Ondoの一部門として、USDY(米ドル連動型利回りトークン)やOUSG(Ondoの米国短期国債)などのトークン化金融商品を発行および管理しています。
技術:Ondoの一部門として、パーミッション型資産とパーミッションレス型資産の両方の貸付・借入などを可能にする、分散型プロトコルを設計および維持しています。
Ondoではこの二重構造を用いることで、低リスクの現実資産を求める投資家と、トークン化された資産の金融アプリケーションへの統合を希望する開発者にサービスを提供しています。
Ondoの仕組み
Ondoでは、米国債などの従来型の資産をオンチェーンで扱えるようにトークン化しています。投資家は、銀行またはブローカーを経由する代わりに、USDCなどのステーブルコインを預託し、この見返りとしてトークン化金融商品を受け取ります。これらのトークンは、その基盤となる投資の持ち分を表しており、保有資産に基づく収益に伴い利回りが発生する仕組みとなっています。
USDY(米ドル連動型利回りトークン)
USDYは、米国短期国債および銀行預金に裏付けされたトークンです。同トークンは、ステーブルコインと同様に機能し、さらに利回りが追加されます。2025年8月時点では、USDYの購入対象は米国以外のユーザーおよび機関投資家のみに限定されており、待機期間経過後、オンチェーンで送信できるようになります。
USDYには、2種類のバージョン(蓄積バージョンとリバランスバージョン)があります。蓄積バージョンでは、蓄積された利回りに応じてトークン価格が変動します。一方、リバランスバージョン(rUSDY)では、価格が1米ドルに固定されるものの、利回りに相当する新規トークンが発行されます。
OUSG(Ondo米国短期国債)
OUSGにより、機関投資家に対して米国債などの政府保証証券に対するトークン化されたエクスポージャーが提供されます。USDYと同様、OUSGにも蓄積バージョンとリバランスバージョンがあります。原資産のポートフォリオは、BlackRockやFidelityなどの大手資産運用会社により管理されています。
投資プロセス
USDYへの投資プロセスは、以下の通りです。
オンボーディング:ユーザーは投資前に、本人認証(KYC)の認証プロセスを完了した上で、ウォレットアドレスの提供と必要書類への署名を行う必要があります。この手順により、適格性と規制遵守が確保されます。
資金の入庫:上記の手順が正常に完了すると、ユーザーは随時USDCを入庫できるようになります。10万米ドル相当超の多額の入庫の場合、米ドルによる銀行振込で入庫することもできます。利息は、資金の処理後、通常2〜3営業日で発生しはじめます。
一時的な証明書:購入ごとにグループに振り分けられ、各グループによりトークンを発行できる時期が決定されます。資金の処理後、投資家はトークンがミントされるまでの投資証明として、一時的なグローバル証明書を受け取ります。
トークンのミント:40日から50日の待機期間終了時に、USDYがミントされ、ユーザーのウォレットに配布されます。この時点以降、対象地域でトークンを自由に送信または取引できるようになります。
償還:償還の際、USDYは米国以外の口座への銀行振込経由でのみUSDに戻せます。
Ondoではこのプロセスを通して、ブロックチェーン技術と信頼できるカストディアンおよび資産運用会社を組み合わせています。米ドルへの償還は通常は時間を要し複雑なプロセスとなるものの、トークン化によりデジタルトークンとして扱えるため、他の暗号資産と同様、分散型金融(DeFi)アプリケーションにおいて保有、送信、使用できるようになります。
エコシステム
Ondo Global Markets
Ondoでは、2025年後半のOndo Global Markets(Ondo)の立ち上げ計画を発表しました。同プラットフォームは、トークン化により株式や債券などの従来型投資商品をブロックチェーン上で扱えるように設計されています。米国外の投資家に対し、資産運用会社(BlackRockやFidelityなど)による企業株式や上場投資信託(ETF)のトークン化された持ち分へのアクセスを提供することを当初の目的としています。
Ondo Chain
Ondoでは、機関投資家向けの金融商品をオンチェーンに導入するためのレイヤー1ブロックチェーンであるOndo Chainを開発しています。同チェーンでは、暗号資産と同様、トークン化された資産の借入、貸出、ステーキング、担保利用が可能となります。同ネットワークでは、証券に裏付けられたステーブルコインの配布、ポートフォリオの自動管理、公開型・非公開型両方のブロックチェーンとの接続にも対応しています。
Ondo Global Marketsでは株式や債券などのトークン化された資産に注力する一方、Ondo Chainでは、これらの資産の大規模な使用に向けたインフラを提供しています。同ネットワークでは、信頼できる機関投資家がバリデーターを担当しているほか、準備金の証明や分散型検証ネットワークなどの機能の導入により、トランザクションの透明性と安全性を確保しています。バリデーターはまた、現実資産のステーキングにより、ネットワークを保護する傍ら、利回りを追加で獲得できます。
Flux Finance
Flux Financeは、Ondoにより作成された分散型貸付プロトコルです。同プロトコルは独立して動作するように設計されており、その独自のアプリケーションおよびガバナンスは、Ondoの直接的な管轄外で管理されています。同プロトコルは、DeFi分野における最も初期の貸付プラットフォームの1つであるCompound V2上に構築されています。
Compoundでは、ピア・ツー・プールモデル(貸し手が資産を共有型流動性プールに預託し、借り手が担保の提供により同プールからローンを借入する仕組み)を採用しています。Flux Financeは同モデルに基づき構築され、これを拡張することにより、USDCなどのオープンアクセス型トークンとOUSGなどのパーミッション型トークンの両方に対応しています。これにより、貸し手は保有中のステーブルコインに基づき利息を獲得できる傍ら、借り手は高品質の担保に裏付けられた担保型にアクセスできます。
同プロトコルは、Ondo分散型自律組織(DAO)により管理されています。こうしたコミュニティ主導型のアプローチにより、Ondo全体の目標(機関投資家向けの金融商品をオンチェーンに導入)に向けて取り組む一方、同プロトコルの独立した運用が可能となります。
ONDOトークン
ONDOトークンは、Ondoエコシステムにおけるネイティブガバナンストークンおよびユーティリティトークンです。同トークンは、Ondoプロトコルおよびエコシステム内において、以下に挙げるものなどの各目的に用いられます。
ガバナンス:同トークンホルダーは、市場の一時停止、オラクルアドレスの更新、トレジャリー資金の管理、エコシステム成長に向けたONDOエミッション(排出量)の管理に関われます。
投票の委任:ONDOは、他の参加者への投票権の委任に利用できます。これにより、同エコシステムの方向性の形成への関わり方に幅を持たせることができます。
プロトコル管理:ONDOホルダーは提案への投票により、Flux FinanceなどのOndo関連のプロトコルのガバナンスに参加できます。提案の内容は、新規資産の上場、金利モデルの更新、プロトコル準備金の管理などと多岐にわたります。
ONDOは、Flux Financeの管理、トレジャリーの管理、USDYなどのトークン化された資産の成長推進などを目的に、Ondo DAO内において積極的に使用されています。Ondo Foundationでは、DAOを現実世界の提携先と結び付け、同エコシステムがミッションに沿って確実に成長できるように後押しすることにより、その支援的な役割を継続的に担っています。
まとめ
Ondo Financeでは、オンチェーンで現実資産によりアクセスしやすくするプロダクトおよびツールを開発しています。USDYやOUSGなどのトークン化された金融商品の提供により、投資家は、これまで従来型市場に限定されていた利回り生成商品にオンチェーンでアクセスできるようになります。同チームでは、Ondo Global MarketsやOndo Chainなどのプラットフォームにも注力しています。これらのプラットフォームでは、現実資産を他の暗号資産と同様の規模の大きさで送信・活用するために必要なインフラの作成を目指しています。
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