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分散型自律組織(DAO)とは
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分散型自律組織(DAO)とは

分散型自律組織(DAO)とは

中級者
公開済 Apr 6, 2020更新済 Jun 10, 2024
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要点

  • ブロックチェーン技術により、新しいタイプの組織構造が創出されました。分散型自律組織(DAO)は、その代表例となっています。

  • ブロックチェーンは分散型ネットワークによって運営されるため、中央管理機関なしで自律的に運営する分散型自律組織(DAO)が誕生することとなりました。

  • DAOは、コミュニティ主導の開発と管理に焦点を当てた組織モデルといえます。

はじめに

ブロックチェーン技術の出現は、新しいタイプの組織構造を創出しました。分散型自律組織(DAO)は、中央管理機関を持たずに自律的な運営が実現する先進的な組織形態の代表例となっています。

初のDAOは、すべてのメンバーによる共同統治機関をビジョンとして掲げ、2016年に発足しました。DAOは、ベンチャー投資のためにメンバーの資金をプールしたり、オフチェーンデータの完全性を検証したりと、さまざまな目的で利用されます。

分散型自律組織(DAO)

DAOとは、分散型自律組織(Decentralized Autonomous Organization)の略です。これはブロックチェーン技術に根ざした概念で、中央集権的機関や個人ではなく、コードによって統治される組織の創設を実現するものです。

言い換えれば、DAOはコンピュータコードによって管理されるコミュニティ主導の構成組織といえます。組織の行動指針は設計そのもの(コード)に組み込まれ、中央集権的な管理を必要とせずに自律的に機能します。

従来の組織とは異なり、DAOでは一個人やグループが一方的に決定することはできません。その代わり、コミュニティの全員がアイデアを提案し、投票できます。こうすることで、少数の影響力のある人々だけでなく、グループ全体による意思決定が行われます。

暗号資産の支持者がDAOを好む理由は、チームワークによる公平性が維持されるからです。少数の有力者がすべての決定を下すのではなく、案件に関して全員が発言権を持つことになります。企業の首脳陣や大株主がすべての権限を握っている従来の企業運営とは、大きな違いがあると言えます。

DAOの仕組み

DAOでは、組織の運営方法に関するルールとガイドラインがコードに記述され、通常はブロックチェーン上のスマートコントラクトによって運用されます。これらのスマートコントラクトは、あらかじめ定義された条件に基づいて自動的に執行され、人間の介入なしに、合意されたルールに従って組織が運営されることを保証します。

通常、組織のトークンまたは株式所有者がDAOのメンバーになり、意思決定に参加します。これらのトークンは議決権を表し、トークン保有数は投票数として扱われ、トークン保有数が多いほど意思決定に大きな影響力を持つことになります。

提案の承認や資金の配分など、意思決定が必要な場合、メンバーはトークンを使い案件に投票できます。この民主的プロセスにより、意思決定プロセスがコミュニティ全体の意思を反映したものとなるようにします。

多くの場合、DAOではメンバーによって一括管理される資金プールが存在します。この資金は、プロジェクトの資金調達、新しいベンチャー企業への投資、またはコミュニティのイニシアティブの支援に利用されるものです。

資金の運用提案はメンバーによって提出され、コミュニティによって投票されます。提案が承認されると、スマートコントラクトが資金の移動や新しいトークンのミント、必要なアクションを自動的に執行します。

透明性と説明責任は、DAOの重要な原則となります。すべてのトランザクションと決定はブロックチェーン上に記録され、一般公開さたうえで誰でも検証できます。この透明性により、メンバーは組織のインテグリティ(誠実な在り方)を信頼し、お互いの行動に責任を持てるようになります。

さらに、DAOは分散型ネットワーク上で運営されているため、検閲や改ざんに対して耐性があり、信頼性と信用が一層高まります。見方によっては、DAOは企業や国家と同じように機能していると言えるものの、より分散化された方法で運営されています。

DAOとプリンシパル=エージェント問題

DAOは、経済学でいう「プリンシパル・エージェント理論」と呼ばれるジレンマに対処するものです。このジレンマは、ある個人または事業者(「エージェント」)が他の個人または事業者(「プリンシパル」)に代わって意思決定を行い、行動を起こす能力を持つ場合に発生します。エージェントが自分の利益のために行動しようとする場合、プリンシパルの利益を無視する可能性があります。

プリンシパルとエージェント間で得られる情報量に差がある場合、この問題は一層悪化します。プリンシパルは、自分たちが利用されていることに気づかず、エージェントが自分たちの利益のために行動していることを確認する手段を持たない場合もあります。

この問題の一般的な例には、市民代表として選出された役人、投資家代表を務めるブローカー、株主代表の経営者などが挙げられます。

ブロックチェーン技術がもたらす高い透明性により、適切に設計されたDAOはこうした問題に一部対応する機能性を持ちます。特に、DAOが情報の偏りを排し、コミュニティ内のインセンティブをまとめられれば、一層効果が上がります。すべてのトランザクションがブロックチェーン上に記録されるため、DAOの運営は完全に透明化され、不正行為への強い抵抗力を発揮するのです。

DAOのメリット

分散性

従来の組織において、最も重要な決定は中央集権的権威によって行われます。DAOでは、関係者に影響を与える決定はコミュニティによって共同で行われます。

透明性

透明性を確保するには、DAOのすべてのメンバーに説明責任が求められます。DAO内の投票はブロックチェーンを通じて実施され、一般公開されます。誰でもトランザクション記録を調べられます。この透明性は、コミュニティメンバーへの誠実な行動を促し、また、コミュニティに不利益をもたらす行動を抑制します。

コミュニティ主導

DAOの形態では、世界中の人々が集まり、共通の目標に向かって取り組めます。すべてのメンバーには、プロジェクトに貢献する機会が与えられます。従来の企業構造とは異なり、分散型ガバナンスのメカニズムを通じて、誰もが自分の考えを表明し組織の行動方針を提案できます。

DAOの事例

  • MakerDAO:MakerDAOは、暗号資産を担保としたステーブルコインであるDAI(米ドルとのペッグ)を持つDeFiプロジェクトです。

  • Aave:AaveはEthereumを基盤とするマネーマーケットで、ステーブルコインからアルトコインまで、さまざまなデジタル資産を貸し借りできます。Aaveプロトコルは、AAVE保有者によって統治されています。

  • UniswapUniswapは、DAOとして運営される分散型取引所(DEX)プロトコルで、仲介者を介さずに様々な暗号資産を交換できます。

  • Yearn.Finance:Yearn.Finance(YFI)は、イールドファーミング戦略やその他のDeFi投資を自動化するDeFiプラットフォームです。コミュニティのメンバーがプロトコルのアップグレードや決定を管理するDAOとして運営されています。

BitcoinはDAOなのか

Bitcoinネットワークを初期のDAOだとする見方があります。Bitcoinネットワークは分散型で運営されており、参加者間での上下関係のないコンセンサスプロトコルによって調整されています。

Bitcoinのプロトコルがシステムのルールを定義しており、決済手段としてのBitcoin(BTC)はネットワークの安全を確保するインセンティブをユーザーにもたらします。これにより、さまざまな参加者が協力して分散型自律的ネットワークとしてのBitcoinを運営し続けられます。Bitcoinでは、中央集権的な事業者がシステムに関与することなく、価値を保存し、移転できるようにすることを共通の目標としています。

しかし、DAOの定義は1つではありません。現在、一般的にこのDAOという用語は、既存のブロックチェーンの上で実行され、スマートコントラクトを通じてコミュニティによって統治される組織を意味します。このような定義は、Bitcoinと箱となっています。

DAOの応用

より複雑なDAOは、分散型ベンチャーファンドやソーシャルメディアプラットフォームなど、さまざまなユースケースに展開される可能性があります。DAOによって、モノのインターネット(IoT)に接続された端末操作の管理ができます。

分散型自律企業(DAC)と呼ばれるDAOの下位組織も登場しています。DACは従来の企業において、例えば乗り合いサービスなどが提供されるかもしれません。従来の企業との違いは、DACは企業統治構造を持たずに機能することです。

例えば、DACの枠組みで乗り合いサービスを提供する自動車は、自律的に機能し、人間や他のスマートデバイスとのトランザクションを行えます。ブロックチェーンオラクルを利用して、スマートコントラクトを発動し、自ら特定のタスクを実行することも可能です。

Ethereumと「The DAO」

最初期のDAOには、その名の通り「The DAO」という組織がありました。これはEthereumブロックチェーンの上で動作する複雑なスマートコントラクトで構成されており、自律的なベンチャーファンドとして機能することになっていました。

2016年5月、DAOトークンがイニシャル・コイン・オファリング(ICO)で提供され、この分散型ファンドに所有権と議決権が付与されました。しかし、開始直後に暗号資産史上最大級のハッキング事件が発生し、資金の約3分の1がDAOから流出しました。

この結果、Ethereumはハードフォークによって2つのチェーンに分裂しました。1つのチェーンでは、ハッキングはなかったものとして扱われ、不正トランザクションが事実上取り消されました。このチェーンが現在Ethereumブロックチェーンと呼ばれているものです。もう片方のチェーンは、「コードは法律である」という原則に忠実に従い、不正取引はそのまま残されました。このブロックチェーンは現在、Ethereum Classicと呼ばれています。

分散型自律組織(DAO)の限界

法務的観点

DAOを取り巻く規制環境は、ほとんどの法域がこの新しいタイプの事業者に対するアプローチをまだ定義していないため、不透明性が高くなっています。法的地位が不透明な状態が続くと、DAOの採用の大きな障壁となる可能性があります。

組織的攻撃

DAOの望ましい特性(分散化、不変性、トラストレス)は、本質的にいくつかのパフォーマンスとセキュリティリスクを伴います。The DAOのハッキング事件の例は、この新しい組織形態が適切に設計されなければ重大なリスクをもたらす可能性があることを示しました。

中央集権型すべきポイントの存在

非中央集権という考えは、単なる1つの状態ではなくむしろ範囲を表しており、ユースケースに対して一括りに扱うべきではないという考えもあります。場合によっては、完全な自治や分散化が不可能であったり、意味をなさないこともあります。

DAOは、これまで以上に幅広い参加者が協力し合うことを可能にしますが、プロトコルによって設計されたガバナンス規則がかえって中央集権化につながる可能性もあります。

まとめ 

まとめると、DAOはブロックチェーン技術を活用し、包括的で民主的かつ透明性の高いコミュニティ形成を目指す、組織統治への斬新なアプローチを提供しています。

DAOの採用により、従来の階層や構造への依存から組織が脱却できるようになります。参加者の行動を管理する中央集権組織の代わりに、ネットワークにとって最適化された結果に向け、ガバナンス規則が自動的にメンバーを誘導することになります。

優れたDAOを設計する鍵となるのは、複雑な参加者の調整問題を解決する効率的なコンセンサス規則のセットの採用となります。DAOの実装が直面している本当の課題は、技術的なものというよりは、社会的なものと言えるのかもしれません。

参考文献

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