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Uniswap(ユニスワップ)V4とは
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Uniswap(ユニスワップ)V4とは

Uniswap(ユニスワップ)V4とは

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公開済 Aug 31, 2023更新済 Jun 29, 2024
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概要

  • 2023年6月、Uniswapは分散型取引所(DEX)プロトコルの主要な新機能提案となるUniswap V4のドラフトコードをリリースしました。

  • 新機能には、流動性プールのカスタマイズ性能をもたらす「フック」、プール間の流動性をより効率化するシングルトン設計、およびネイティブETH取引ペアの再導入が含まれます。

  • Uniswap V4では、カスタマイズ性能の強化、効率性の向上、ガス手数料の削減、高度な取引戦略など、数多くのメリットが導入されることになります。

  • ただし、Uniswapによる出金手数料の一部徴収、プログラムソースコードライセンスへの制限など、Uniswap V4にはいくつかの潜在的な制限が設けられています。

Uniswapとは

Uniswapは、Ethereumブロックチェーン上で運用される分散型取引所(DEX)です。この取引所では、自動マーケットメーカー(AMM)モデルの採用によりさまざまなデジタル資産の取引ができ、従来のオーダーブックは不用になります。

Uniswapはもともとは、Ethereumの共同創設者であるVitalik Buterinのオンチェーン自動マーケットメーカーのコンセプトに触発されたEthereum開発者のHayden Adamsにより、2018年に設立されました。

その後、UniswapはDEX市場のリーダーとして成長し、他のDEXと比較して大きな取引量と深い流動性を誇っています。2023年現在、Uniswapは取引量、流動性、アクティブユーザー数などのさまざまな指標に基づき、トップのDEXにランクされています。

Uniswapは様々な変遷を経て、2020年にUniswap V2、2021年にUniswap V3を発表しました。2023年6月、Uniswapは大幅な新機能追加を含むUniswap V4のドラフトコードを発表しました。

Uniswap V4の新機能を掘り下げる前に、Uniswapの進化をより深く理解するために、Uniswapの過去の変遷を振り返ってみましょう。

Uniswap V1の概要

最初のバージョンであるUniswap V1は、概念実証プラットフォームとして2018年11月に発表されました。その主なイノベーションは、コンスタント・プロダクト・マーケット・メーカー(CPMM)モデルの導入でした。

Uniswapは、従来のオーダーブックベースのシステムに頼るのではなく、流動性プールを作り、取引ペア(ETH / DAIなど)をプールに預けてもらい、流動性を作り出します。取引はこの流動性プールに対して行われ、取引ペアを預けた流動性プロバイダーには見返りとして、取引手数料の一部が支払われます。

Uniswap V1ではERC-20トークンEthereum(ETH)間のトークンスワップが実現しました。また、2つのERC-20トークン間の交換も可能になりました。2つのERC-20トークンを交換するには、2段階の手続きが必要でした。

まず、ERC-20トークンAをEthereum(ETH)と交換します。

その後、Ethereum(ETH)をERC-20トークンBと交換します。

Uniswap V1スマートコントラクトはERC-20トークンとEthereum(ETH)間の流動性プールのみに対応していたため、この2つの手続きが必要でした。

Uniswap V1は画期的なものでしたが、価格決定アルゴリズムは非効率で、裁定取引に悪用される可能性がある上、大口取引での大きなスリッページの発生などの限界もありました。

Uniswap V2の概要

Uniswap V2は2020年5月にリリースされ、Uniswap V1で直面していた課題に対し、いくつかの重要な改善が行われました。Uniswap V2はAMMモデルを調整し、トークン間での直接スワップが可能になり、スリッページを減少させ、資本効率を改善しました。

さらに、V2はフラッシュスワップを導入し、利用者は流動性プールに預け入れた資金を好きなだけ引き出し、その引き出した資金(および手数料)を同じ取引内で返済する限り、その資金を自由に運用できるようになりました。これにより、先行資本を必要とせずにアービトラージとイールドファーミングを行える機会が生まれました。

Uniswap V2ではまた、時間加重平均価格(TWAP)の概念を導入し、他の分散型アプリケーションがUniswapによって提供される価格を安全かつ簡単に引用できるようになりました。

Uniswap V3の概要

2021年5月に開始されたUniswap V3は、資本効率と集中した流動性に関する問題への対処に重点を置きました。Uniswap V3では、流動性プロバイダーは自分の提供した資産をどの価格帯で使用するかを選択でき、その結果資本利用率が向上し、より高い手数料を獲得できます。

Uniswap V3では、様々なリスクレベルと取引量に対応するために、複数の複手数料段階(0.05%、0.30%、1.00%)を導入しました。

流動性プロバイダーは、流動性プールでの各自の保有分を表すNFTを受け取ることができます。これは非代替流動性(NFL)と呼ばれる新機能で、流動性プロバイダーによる流動性ポジションの取引、売却、移動がプール内の原資産に影響を与えることなく実行できます。

Uniswap V3のもう1つの注目すべき特徴は、EthereumのLayer2ソリューションであるOptimismとの統合です。これは、取引手数料の削減とプラットフォームのスケーラビリティの向上を目指すものです。

Uniswap V4の新機能

Uniswap V4はまだ正式にリリースされていませんが、ドラフトコードとホワイトペーパーに予定される新機能と改善点が公開されています。その内容は以下の通りです。

1.「フック」とカスタムプール

Uniswap V4では、流動性プールをカスタマイズできる「フック」が導入されます。流動性プールのライフサイクルの多様な局面で、契約を実行できるようになります。

各流動性プールには、作成から流動性の追加、削除、調整までのライフサイクルがあります。「フック」を利用することで、ライフサイクルの重要なポイントにおいて、特定のアクションを実行できるようになります。

たとえば、「フック」を追加して流動性プールを変動手数料に直接対応させたり、オンチェーン指値注文、時間加重平均マーケットメーカー(TWAMM)として機能させ大口注文を時間をかけて分散させることにより、価格への影響を最小限に抑えることができます。

「フック」による流動性プールのカスタマイズには、制限がありません。様々なオンチェーンオラクルを利用したり、流動性プールで利用していない資産を貸付プロトコルに預けることも可能です。このように「フック」は、流動性プールを特定のニーズに合わせてカスタマイズし、開発者に大きな柔軟性を提供します。

2. シングルトン

Uniswap V3では、流動性プールごとに新しいコントラクトを用意する必要があり、複数プールの作成や複数プールのスワップ実行のコストがより高くなっていました。

Uniswap V4の大きな変更点は、すべてのプールが1つのコントラクト内に収められることです。そのため、プール間の異なる契約をスワップする際、トークンを転送する必要がなくなり、ガス手数料を大幅に節約できます。推定で、Uniswap V4でのプール作成ガス手数料は99%削減されます。

3. フラッシュアカウンティング

シングルトン仕様は、Uniswap V4のもう1つのアーキテクチャ上の変更点であるフラッシュアカウンティングを補うものです。

以前のバージョンのUniswapでは、トークンのスワップやプールへの流動性追加などの操作の度にトークンを送信する必要がありました。Uniswap V4では、外部転送は最後に一回のみで済み、プールの運用がシンプルになり、コストが削減されます。

シングルトンとフラッシュアカウンティングは、複数のプール間でより効率的かつ経済的なルーティングを実現します。「フック」の導入により、流動性プール数の利用が増えることを考えると、この点は特に有益なものとなりますす。

4. ネイティブETH取引ペア

Uniswap V4では、取引ペアでネイティブETHを復活させます。

前述の通り、Uniswap V1ではETH / ERC-20トークンペアに限定されていました。しかしUniswap V2では、実装の複雑さとWETHとETHペアの流動性が分断される懸念から、ネイティブETHペアは削除されました。

Uniswap V2とUniswap V3では、Uniswapプロトコルで取引する前にETHをWETHにラップする必要があり、ガス手数料が発生しました。

シングルトンとフラッシュアカウンティングの導入により、Uniswap V4ではWETHとETHの両方のペアが取引できるようになりました。ネイティブETH送金(21k gas)はERC-20送金(40k gas)の約半分のガス手数料であるため、利用者に有益となります。

Uniswap V4の利点

Uniswap V4は、流動性の創出やオンチェーンでのトークン取引において、より多くの可能性が詰まっており、次のものが挙げられます。

1. カスタマイズ機能

「フック」を利用して、開発者による流動性プールへの新機能の追加が大幅に柔軟なものになります。今後、カスタマイズされた取引機能を備えた革新的なプールの出現に弾みがつくと期待されます。

2. 効率性

「フック」、シングルトン契約、フラッシュアカウンティングの導入によってトランザクションルーティングが効率化されます。

3. ガス手数料削減

Uniswap V4の新機能により、ガス手数料のさらなる削減が期待されます。これにより、より多くのユーザーがこのプロトコルに参加する可能性があります。

4. LPの収益増加の可能性

流動性プロバイダー(LP)がより自由に設定できるようになる変動手数料体系の導入により、収益が増加する可能性もあります。

5. 高度な取引戦略

時間加重平均マーケットメーカー(TWAMM)、指値注文、変動手数料などの新機能により、従来では不可能だったより高度な取引戦略が実現されます。これらの機能は洗練されたトレーダーにとって魅力的なものでしょう。

Uniswap V4の潜在的な制限

Uniswap V4には、いくつかの制限事項があります。以下、それぞれ説明します。

1. 手数料の徴収

Uniswap V4には、スワップ手数料と出金手数料の2つのガバナンス手数料の仕組みが設けられています。Uniswap V3と同様、Uniswapガバナンス(Uniswap DAOとUNIトークン保有者)は特定のプールのスワップ手数料の上限を選択できます。

Uniswap V4では、「フック」でプールの出金手数料設定をオンにした場合、ガバナンスが出金手数料の一定額(上限あり)を課金できます。

2. 利用を制限するライセンス

Uniswap V4は、Business Source License 1.1としてリリースされる予定です。このライセンスは、Uniswap V4のソースコードの商用または生産環境での使用を最大4年間制限します。その後、General Public License(GPL)ライセンスに変更され、永続的に使用できるようになります。このため、一部のコミュニティメンバーによる、Uniswapの最新版は真のオープンソースではないとの批判が挙がっています。

まとめ 

分散型取引所(DEX)市場では、常に新しいプロトコルやプラットフォームが登場し、進化し続けています。UniswapはDEXの分野で圧倒的な存在感を示しており、2018年の設立から5年間で4つのバージョンをリリースしてきました。プロトコルのアップグレードのたびに、その機能を向上させてきました。

Uniswap V4の設計は、DEXの可能性を最大限に引き出すため、大きな変更が加えられらものとなっています。このオープンな設計環境では、開発者にほぼ無制限の実験スペースが提供されます。しかし、ユーザーエクスペリエンスの点において非常に複雑になる可能性もあります。利用者はプールに参加する前に、流動性プールがどのように運用されるかを注意深く調べ、それぞれの「フック」機能を理解する必要があります。

とはいえ、Uniswap V4の潜在的なメリットは膨大なもの言えます。ユーザーとしては、利用前には独自の調査(DYOR)を行い、中身を完全に理解することが常に重要となります。

参考文献

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