IDO (Initial DEX Offering) とは?
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IDO (Initial DEX Offering) とは?

IDO (Initial DEX Offering) とは?

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公開済 Jan 24, 2022更新済 Feb 9, 2023
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概要

IDOは、分散型取引所 (DEX) が実施する仮想通貨トークンの販売です。流動性プール (LP) は、販売後の流動性を生み出すため、IDOにおいて重要な役割を果たしています。典型的なIDOでは、トークン発行イベントの際に、ユーザーは新しいトークンと引き換えに資金をロックすることができます。調達した資金の一部は、新しいトークンとともにLPに追加され、後にプロジェクトに戻されます。

IDOは、プロジェクトがトークンを配布するための、低コスト、かつシンプルな方法を提供しています。IDOは以前からありましたが、IFO (Initial Farm Offering) のような新しいモデルが誕生するなど、進化し続けています。また、この分野の規制が強化されるにつれ、KYCの要件が増加することも考えられます。

IDOに参加を希望する場合は、MetaMaskのようなデジタルウォレットと、トランザクション手数料などをお支払いするための仮想通貨が必要になります。必ず自分でプロジェクトを調査し、信頼できるDEXを介してのみ投資をするようにしましょう。これには、IDOの仕組みや、プロジェクトのチームやトークノミクスをよく調べることが含まれます。トークンへの投資は高いリスクを伴うため、常に損失を覚悟した上でIDOに参加してください。


はじめに

通常、トークンオファリングは仮想通貨業界の投資家にとってエキサイティングな機会となります。トークンをローンチ時の価格で購入できるチャンスは、非常に価値のあるものです。しかし、これはあくまでも一面的な話にすぎません。2017年のEthereum (ETH) でのICO (Initial Coin Offering) ブームを振り返ると、すべてが全面的に肯定的なものではありませんでした。詐欺や脱法行為が横行し、投資家が大きな損失を被るケースも非常に多かったです。

それ以来、仮想通貨コミュニティは、Initial Exchange Offering (IEO)、Initial DEX Offering (IDO)、Security Token Offering (STO) など、代替のトークンローンチ方法を開発してきました。IDOは人気のある選択肢となっていますが、ICOとの違いは何でしょうか。また、投資家が利用する際の安全性は高いのでしょうか。


トークンオファリングとは?

トークンオファリングとは、プロジェクトやスタートアップが新しい仮想通貨を供給して、販売する資金調達手段のことです。こういった手段には、中央集権型仮想通貨取引所のプラットフォームを使用してプロセスを管理する方法 (IEO)、現地の金融規制当局と協力する方法 (STO)、または単に単独で資金調達を行う方法 (ICO) など様々あります。実用性を求めて購入する投資家もいれば、投機目的で購入する投資家もいます。獲得したコインは、ファーミングに利用したり、ガバナンスのためにステーキングしたり、取引手数料のお支払いに利用したりすることができます。


IDOの仕組み

IDOは、トークンセールのために、分散型取引所 (DEX) を使用します。仮想通貨プロジェクトは、トークンをDEXに提供し、ユーザーはプラットフォームを通じて資金をコミットし、DEXは最終的な配布と送金を実施します。これらのプロセスは、ブロックチェーン上のスマートコントラクトによって自動化され、実施されます。

IDOのルールやステージは、実施するDEXによって異なりますが、いくつかの共通する方法があります。

1. 審査を経て、DEX上でIDOを実行するプロジェクトが決定されます。DEXは、一定の価格でトークンの供給を提供し、ユーザーはこのトークンと引き換えに資金をロックします。投資家は、後日行われるトークン発行イベント (TGE) でトークンを受け取ります。

2. 一般的なIDOの場合、投資家のホワイトリストがあります。リストに参加するためには、マーケティングタスクを完了する必要があるかもしれませんし、単にウォレットのアドレスを提供するだけで大丈夫な場合もあるかもしれません。

3. 調達した資金の一部は、プロジェクトのトークンで流動性プールを作るために使用されます。残りの資金はチームに渡されます。投資家は、TGEの後にトークンを取引することができます。通常、提供された流動性は一定期間ロックされます。

4. TGEでは、トークンがユーザーに譲渡され、LPの取引が開始されます。


IDOモデルの今後の展開とは?

上記のモデルは典型的なIDOですが、トークンの提供方法は常に進化しています。例えば、IFO (Initial Farm Offering) というモデルもありますが、最近はこの人気が高まっています。伝統的なIDOと呼べるかどうかはわかりませんが、流動性プールと分散型取引所という同じコアコンセプトに依存しています。

トークンを直接ロックするのではなく、投資家はまず分散型金融 (DeFi) のLPにステークしてLPトークンを獲得する必要があります。例えば、PancakeSwapのIFOでBNBのトークンを売りたいプロジェクトは、投資家がBNBとCAKEをBNB-CAKE LPにステークする必要があります。

そして、BNB-CAKEのLPトークンは、新しいトークンに対してロックされ、プロジェクトはBNBを受け取り、CAKEはバーンされます。獲得できるトークンの枚数は、販売に参加した人数に応じて異なり、ステークした資金が余った場合は返金されます。以下のPancakeSwap IFOの [Basic Sale] と [Unlimited Sale] の機能のように、小口投資家がIDOのシェアを獲得するための公平な措置が取られている場合もあります。


IDOのもう1つの変更点は、KYC (本人認証) とAML (マネーロンダリング対策) のプロセスが要求されるようになっていることです。世界の金融規制当局は、DeFiとその規制状況に大きな関心を寄せています。中央集権型取引所ではAMLとKYCが標準となっていますが、DEXでも将来的には同じルールが適用される可能性があります。


IDOのメリットとは?

トークンオファリングは、時間の経過とともに、ほとんどの場合、投資家にとってより公平で安全なものになっています。IDOには、以下のような明確な利点があります。

1. プロジェクトと直接やりとりをする必要がなく、またそのプロジェクトのスマートコントラクトを信用する必要もありません。信頼できるIDOプラットフォームは、これまでにトークンセールを何度も成功させています。スマートコントラクトが同じであれば、提供されるものにある程度の信頼を持つことができます。
2. 販売直後からの流動性提供が行われます。IDOは、調達した資金の一部を流動性プールにロックし、販売後の流動性のある市場を作成します。このおかげで、スリッページボラティリティを減らすことができます。
3. サインアップが不要です。セールに参加するために必要なのは、ウォレットと資金だけで、個人情報は必要ありません。これにより、IDOはあらゆるユーザーにチャンスがあります。しかし、KYCやAMLのプロセスがないことをデメリットと捉えることもできます(詳細は後述します)。
4. IDOはプロジェクトにとって手頃で利用しやすいものです 。小規模であまり知られていないプロジェクトにとっては、大規模で中央集権的な取引所よりも、DEXを通じてトークンをローンチする方が簡単で安価であることが多いです。
5. IDOはしばしばクジラ対策を行っています。 つまり、1人の投資家が大量のトークンを購入することはできません。


IDOのデメリットは?

IDOの長所は、裏返せば短所でもあります。これらの問題は、主に IDOの分散化と匿名性によるものです。

1. KYCやAMLが行われていない場合があります。適切なチェックが行われていれば、投資家やプロジェクトは守られます。これらの対策は、違法な資金のロンダリングや経済制裁の回避に役立ちます。例えば、トークンが証券とみなされている場合、特定の国では合法的にIDOに参加できない場合があります。
2. プロジェクトに対するデューデリジェンスが不十分な場合があります。評判の悪いプロジェクトが IDOを通してトークンを配布することは、大規模で規制された取引所の行うIEOを通して配布するよりもはるかに簡単です。


IDO、IEOとICOの違いとは?

ICO、IDO、IEOでは、ほとんど同じ結果が得られるにも関わらず、使用される手法は全く異なります。主な違いは以下の通りです。


IDO

IEO

ICO

審査プロセス

分散型取引所がプロジェクトの審査を行います。

中央集権型取引所がプロジェクトの審査を行います。

プロジェクトが自らセールを行うため、審査はありません。

資金調達

分散型取引所が投資家の資金を取り扱います。

中央集権型取引所が投資家の資金を取り扱います。

プロジェクトが投資家の資金を取り扱います。

スマートコントラクト

分散型取引所がスマートコントラクトを作成し、実行します。

中央集権型取引所がスマートコントラクトを作成し、実行します。

プロジェクトがスマートコントラクトを作成し、実行します。

トークンの上場

分散型取引所で、流動性プールが作成されます。

取引所がトークンを上場させます。

プロジェクトが上場する取引所を探す必要があります。

KYC/AML

いいえ

はい

いいえ


IDOの情報の見つけ方

IDOの情報を見つけるために、まずチェックするべきなのはプロジェクト自体からの発信です。プロジェクトのコミュニティに参加したり、SNSのチャンネルをフォローしたりするのは、良い方法です。また、PancakeSwapやDODOなどの分散型取引所では、今後予定されているIDOの一覧を確認することができます。今後予定されているすべてのIDOの概要を知りたい場合は、CoinMarketCapがトークンオファリングのリストを公開しています。これらのすべてがIDOというわけではありませんが、CoinMarketCapはどのセールがIDOになのかを明確に表示しています。


IDOへの参加方法

IDOに参加するには、MetaMaskBinance Chain WalletなどのDAppsに接続できる仮想通貨ウォレットが必要です。また、トークンを購入したり、取引手数料をお支払いするために、一定程度の仮想通貨が必要になります。必要となる正確な仮想通貨の総額は、セールによって異なり、IFOに参加する場合はLPトークンになる場合もあります。
ウォレットを準備したら、通常は右上にある [Connect] ボタンを使用して、IDOのDAppに接続する必要があります。以下は、実際にどのように見えるのかの例です。


トークン発行イベントに備えて、資金をロックするための具体的な手順が示されます。また、取引手数料をお支払いするのに、十分な資金を用意してください。ほとんどの場合、定期登録期間が終了すると、トークンがウォレットに振替されます。ただし、販売によっては、一定期間新しいトークンをロックしたり、ステークしたりする場合があります。IDOに参加する前に、必ず詳細を確認してください。


IDOに安全に参加するためのヒント

他の投資と同じように、IDOにもできるだけ安全に参加するための簡単で実用的なヒントがあります。

1. IDOに登録するには、正しいリンクを使用してください。詐欺師は、IDOの盛り上がりとハイプに乗じて、偽の定期登録ページを作成します。詐欺ページに載っているアドレスに送金した仮想通貨は永久に失われます。
2. 信頼できるDEXローンチパットを使用しましょう。PancakeSwapやBakerySwapなど、IDOに参加できる信頼のおけるDEXがすでにたくさんあります。こういった実績のある分散型取引所を利用することで、セールでトークンを無事に受け取ることができる可能性が高くなります。
3. 投資先のプロジェクトを調査しましょう。既に実績のある、信頼できるチームによるプロジェクトなのかを確認しましょう。調達した資金のべスティングが設定されているかを確認しましょう。すでに使用できるプロダクトがあるのかを確認しましょう。このような質問は、ラグプルの可能性を判断するのに役立ちます。
4. IDOの条件を確認しましょう。トークンの入手が遅れる場合もありますし、しばらくの間、ステークのためにロックされる場合もあります。プロジェクトのトークンエコノミクスに関しては、どのようなパターンでも対応可能であるため、それらをしっかりと調べて、理解する必要があります。
5. 失っても良い金額だけを投資しましょう。トークンセールは、非常にボラティリティが高いことで知られています。夢中になって必要以上の投資をしてしまうこともあります。しかし、忘れてはならないのは、トークンセールにはリスクがつきものであり、しっかりとした調査をしても、詐欺の被害に遭う可能性があるということです。


IDOのローンチパッドとして人気のあるプラットフォーム

IDOサービスを提供する分散型取引所は、異なるブロックチェーン間で多数存在しています。CoinGeckoの時価総額別のトップローンチパットコインというリストを使用することで、簡単に実績のある分散型取引所を検索することができます。分散型取引所の多くは独自のコインを持っているため、ほぼすべての分散型取引所がこのリストに掲載されています。ただし、 時価総額が大きいことが必ずしもその分散型取引所の信頼性や安全性を意味するわけではないことをお忘れないでください。IDOに使用する分散型取引所を選択する前に、他のファンダメンタルズと合わせてこの情報を使用する必要があります。


結論

IDOは、使いやすさ、手頃な価格、アクセスのしやすさを兼ね備えており、仮想通貨市場の多くの新規プロジェクトにとって、一般的な資金調達モデルとなっています。実際、トークンオファリングはそれ自体が産業となっています。まとめると、通常、プロジェクトが直接行うものよりも分散型流動性取引所が実施するトークンセールに参加する方が安全です。とはいえ、IDOで成功するためには、適切なプロジェクトを選ぶことが大きなポイントとなります。そのためには、これまでと同様に昔ながらの方法で行う分析に勝るものはありません。