免責事項:この記事は、学習目的でのみ提供しています。バイナンスを通じて提供される情報は、投資や取引に関する助言や推奨ではありません。バイナンスは、お客様の投資判断に対して責任を負いません。金銭的なリスクを取る前に、専門家のアドバイスを受けてください。こちらで紹介しているプロダクトは、お住まいの地域ではご利用いただけない場合があります。
要点
ボンディングカーブは、供給と需要を結びつけ、暗号資産分野で数学的な手法により価格設定と流動性を自動化するものである。
ブロックチェーンプロジェクトは、線形、指数関数、対数、ステップ関数などの異なるカーブ(曲線)を適用することで、トークン価格と配布をカスタマイズできる。
トークンがもつボラティリティやリスクにより完全な自律的持続性は保証されないが、pump.funなどのプラットフォームでは、ボンディングカーブによって、発行されたトークンの変動が予測可能になり、初期段階から市場参加者を呼び込むことに成功している。
はじめに
需要と供給は、何世紀にもわたって市場を形成してきた、古くからある経済原則です。希少価値がある宝石の価格から、牛乳や卵などの日常的な商品の価値に至るまで、これがあらゆるものの価値を左右しています。しかし、資産がデジタル形態のみで存在する暗号資産分野で、同じようにこの基本的な概念を適用できるのでしょうか?
暗号資産の分野には、多くの数学的概念が含まれています。その概念の1つにボンディングカーブというものがあります。これは特定の資産価格と供給の関係を定義するものです。
通常、トークンが購入されると価格が上昇し、トークンが売却されたり流通から取り除かれれば価格が下がります。これは従来のボンディングカーブモデルであり、早期に市場に参加した者やトレーダーに利益をもたらす傾向があるメカニズムと言えます。
ボンディングカーブは、トークノミクスにおける重要な数学的枠組みを構成しています。pump.funのような人気のあるプラットフォームでは、価格設定、流動性、トークン配布の自動化を実現しています。この成功の背景にはボンディングカーブメカニズムの存在があります。
この記事では、ボンディングカーブの重要性を踏まえ、その機能、カーブのさまざまな種類、暗号資産業界におけるその重要性について解説します。
ボンディングカーブとは?
ボンディングカーブとは、暗号資産の供給量と価格の間に直接的な相関関係を作り出すことを目的とした数学的モデルです。アルゴリズムによって制御され、供給量に基づいて事前に定義された数式によって、資産価格を自動的に算出します。
これは、これまで多くの資源価値の算出に利用されてきた方法と何ら変わりません。資源の供給量が限られている場合、資源への需要が高まれば、その価格は上昇する傾向にあります。ボンディングカーブは、暗号資産市場に同じ原理を適用し、トークンの価格を供給量に基づいて調整するものです。
ボンディングカーブの価格設定メカニズムはスマートコントラクトによって管理され、ブロックチェーンネットワーク上での実行が自動化され、透明性を維持し、分散化されていることを保証します。
ボンディングカーブの仕組みは?
ボンディングカーブの基本原理は極めて単純なもので、トークンが購入されるほど、流通量が増え、これが典型的には価格の上昇につながります。逆に、トークンが売却されるほど、流通量が減り、価格が下落します。
この点を説明するために、ボンディングカーブを利用してトークンをローンチする新しいプロジェクトを例に説明します。当初の供給が少ないため、初期のトークン購入者のほとんどは低価格で購入します。
しかし、トークンの人気が高まり、より多くのトレーダーが購入し始めると、流通量が増加し、ボンディングカーブに従って新しいトークンがミントされ、価格が上昇する可能性があります。
トークンの売買が継続されても、自動化されたボンディングカーブによって、流動性は確保されます。プロジェクトは、数学的モデルを使用して、独自にカーブを定義し、ボンディングカーブのトークノミクスをカスタマイズできます。実際に使用できる曲線(カーブ)の種類に制限はありませんが、最も一般的なものは線形曲線、指数関数曲線、対数曲線の形をとります。
線形ボンディングカーブ
このメカニズムの最も単純な数学的モデルは、線形ボンディングカーブです。このモデルでは、トークンの価格は販売されたトークン数に比例して増加し、流通するトークンの総供給量に追加されます。新しいトークンがミントまたは販売されるごとに、事前に決定された固定額だけ価格が上昇します。
以下は、ボンディングカーブの最もシンプルな形式である直線形ボンディングカーブを表したものです。
指数関数ボンディングカーブ
指数関数ボンディングカーブでは、トークンの価格は、指数関数的に流通量に影響されます。トークンが2倍のペースで購入された場合、価格は2倍以上になり、より早く大幅に上昇します。
指数関数曲線(カーブ)では、通常、需要が高まった時点でトークンを売却することで早期購入者に最も大きな利益をもたらします。したがって、初期段階での参加を促したいプロジェクトでは、このカーブを採用することになります。早期購入者は大きなリスクを負うことになるものの、プロジェクトが成功すれば最も利益を得られることになります。
以下は、対数ボンディングカーブを簡単に表したものです。図の通り、流通するトークンの発行量が増えるにつれ、トークンの価格が急速に上昇します。
対数ボンディングカーブ
対数曲線(カーブ)では、トークンのミントが増えるにつれ、トークンの価格が急速に上昇します。しかし、供給量が拡大し続けると、価格の上昇は鈍化します。初期段階の急騰後、値動きが落ち着くため、通常はこのモデルでは初期段階から参加しているトレーダーに最も利益をもたらす傾向があります。
対数曲線は、初期段階での利益を素早く獲得しようとする購入者によって、プロジェクトの流動性が確保されます。以下は、対数ボンディングカーブを簡単に表したものです。
線形曲線、指数関数曲線、対数曲線が一般的ですが、DeFiプロジェクトでは別の曲線(カーブ)が利用されています。これには、節目ごとの価格上昇を示すステップ関数ボンディングカーブや、段階的な成長と安定化を示すS字カーブなどがあります。逆ボンディングカーブも存在し、この場合、初期段階のトークン価格は高くなり、供給が増えるにつれて、将来的に価格が安くなります。
ボンディングカーブの実用例
ボンディングカーブの理論について説明したので、次に、pump.funプラットフォームにおける実用例を見ることにしましょう。ソラナブロックチェーン上に構築されたpump.funは、分散型トークン発行および交換プラットフォームです。スマートコントラクトによって、価格設定、流動性、配布が自動化されています。
pump.funでは、ユーザーが独自のトークンを作成し、配布できます。ミームコインが最も一般的なその対象となっています。コミュニティ主導のコインには本質的な価値はありませんが、人気によって価格が上昇する可能性があります。このプラットフォームの中核となるのがボンディングカーブです。エコシステム内でのトークンの作成、評価、販売方法を決定します。
投機的な取引や話題性だけに頼る従来の多くの暗号資産やミームコインとは異なり、pump.funでは滑らかなボンディングカーブを採用し、価格の安定性と透明性を実現しています。トークン価格が穏やかに変動する際に、事前に設定された関数機能を利用します。トークンの売買が増えるにつれて、価格の透明性と予測可能性が実現されます。
ここで新しいトークンがローンチされたと仮定します。採用されたボンディングカーブでは、最初のトークンの価格は0.1 SOLで、トークンの発行(プロジェクトによる売却)が増えるにつれて、徐々に価格が上昇することが事前に設定されています。
例えば、最初に500トークンを発行後、価格は0.2 SOLに上昇し、1000トークンを発行後に、0.4 SOLに上昇する可能性があります。トークンの発行数が増加を続けると、価格は上昇を続け、流通量が増えるにつれて価格の上昇幅も大きくなります。
pump.funでは、ボンディングカーブの進捗状況を視覚的に確認できます。このパーセンテージバーは、トークンの売買状況に応じて増減します。また、トークンが特定の時価総額に達すると、「king of the hill(キング・オブ・ザ・ヒル)」の称号が与えられ、pump.fun上で他のトークンに王座を奪われるまで、そのトークンの認知度を維持できます。
トークンが一定時価総額に達し、ボンディングカーブの進捗バーが100%に近づくと、自動的にRaydiumに移行して取引されます。具体的には、pump.funは、ボンディングカーブを通じて調達したSOLの一部をトークンとペアにして、Raydium上の取引プールを作成します。以下は、pump.funで確認できるRaydiumまでの上場プロセスです。
この仕組みは、初期段階ではより低い価格で購入できるというインセンティブを与えます。購入が遅くなるほど、トークンの購入数が増加し、より高い価格を支払うことになります。また、ボンディングカーブがDeFiに効果的に適用できることを示しており、需要と供給のバランスだけで、ある程度、自律した市場が形成される可能性があることを示しています。
まとめ
需給関係という古くから存在する原理が市場を形成してきましたが、暗号資産業界では、数学モデルを取り入れ、デジタル資産管理に向けて、同じような枠組みを実現しようとしています。これまで見てきたように、ボンディングカーブは、伝統的な資源の価格形成の概念をDeFiに適用し、流動性とある程度の安定性を実現しています。
pump.funなどのプラットフォームでは、ボンディングカーブを実用化し、早期参加と流動性管理を実現しています。需要と供給の原則が何世紀にもわたって従来の市場で適用されてきたように、ボンディングカーブの数学モデルも、暗号資産業界で同じような軌跡をたどることになりそうです。
関連記事
免責事項とリスクに関する警告:このコンテンツは、一般的な情報提供および学習目的でのみ「現状有姿」で提供するもので、いかなる種類の表明または保証もありません。財務、法律、またはその他の専門的なアドバイスとして解釈されるべきではなく、特定のプロダクトやサービスの購入を推奨するものでもありません。読者自身で、適切な専門アドバイザーから独自のアドバイスをお求めください。記事が第三者の貢献者によって寄稿されたものである場合、表明された見解は第三者の貢献者に属し、必ずしもバイナンスアカデミーの見解を反映するものではありません。詳細は、こちらの免責事項全文をお読みください。デジタル資産価格には、高い価格変動性が伴います。投資価値が上下する可能性があり、投資した金額を取り戻すことができない場合があります。投資決定についてはお客様が単独で責任を負い、バイナンスアカデミーはお客様が被る可能性のある損失について責任を負いません。この資料は、財務、法律、またはその他の専門的なアドバイスとして解釈されるべきではありません。詳細は、利用規約およびリスクに関する警告をご参照ください。