Synthetix (SNX) とは?
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Synthetix (SNX) とは?

Synthetix (SNX) とは?

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公開済 Jun 17, 2021更新済 Dec 11, 2023
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概要

Synthetixは合成暗号資産用のDeFiプロトコルです。MakerCompound、Uniswapなどとともに2018年の仮想通貨の冬の時代に誕生し、分散型金融が仮想通貨業界における主要分野になる道を切り開いてきたプロジェクトの1つです。


はじめに

Synthetixは、Havvenというステーブルコインのプロジェクトとしてスタートしましたが、仮想通貨の冬の時代中に大きく舵を切り、合成資産のためのプロトコルとなりました。Synthetixのコミュニティは、現在DeFi分野における標準とされているメカニズムの多くを生み出してきました。

Synthetixは、Ethereum上のDeFiの中核的な構成要素の1つであり続け、レイヤー2のスケーリングソリューションの発表が間近に迫っていることから、当面はDeFiの重要なパートであり続けるでしょう。


Synthetixとは?

Synthetixは、Ethereum上で合成資産を発行することができる合成資産プロトコルです。合成資産はデリバティブ製品の一種と考えても良いでしょう。これによって、その資産を所有することなく、エクスポージャーを持つことができます。

合成資産、もしくは「Synth」とは何を意味するのでしょうか。信頼性の高い価格フィードを持つものは、ほとんど何でも該当します。例えば、BTCやETHのような仮想通貨、金や銀のようなコモディティ、そしてUSDのような法定通貨はすべて合成資産に該当します。さらに、原資産のインバースを追跡するインバースシンセサイザーもあり、トレーダーはショートエクスポージャーを得たり、既存の保有通貨やイールドファーミングポジションをヘッジする簡単な方法を得ることができます。

Synthetixを使用することで、トレーダーはオンチェーンでは存在しない特定の資産に対するエクスポージャーを持つことができます。また、Synthetixを使用することで、複数のDeFi資産のバスケット価格を追跡するDeFiインデックスのようなインデックスを作成することができます。


Synthetixの仕組みについて

Synthは原資産の価格をトラックするために、分散型価格オラクルを使用します。Synthはステーブルコインのように、裏付けのある仮想通貨とは違うことには注意してください。Synthに価値を与えるのは、従来の裏付け資産ではなく、様々な複雑なオンチェーンメカニズムやスマートコントラクトです。
例えば、BUSDは1BUSDに1USDの裏付けがあるステーブルコインです。同じように、PaxosのPax Gold (PAXG) は現物の金の延べ棒が裏付け資産です。ある意味、PAXGを所有していれば、その裏付けとなる金の現物を所有していることになります。言い換えると、PAXGは金の所有権を表すトークンです。

Synthは違います。Synthはスマートコントラクトによる複雑な仕組みを使用して、資産の価格を追跡します。sXAUを保有していても、その原資産である金を保有しているわけでhないです。ただ、金の価格へのエクスポージャーを持っていることしか意味しません。

それでは、なぜそのような資産を保有したいのでしょうか。これまでにも述べてきたように、Synthは実際にその資産を所有しなくても、その資産の価格に対するエクスポージャーを持つのに良い方法です。また、Synthが便利なのは、Ethereum上のERC20トークンなので、他のDeFiプロトコルが簡単に統合できるところです。Synthは、他のERC20トークンと同様に、UniswapSushiCurveのようなプラットフォームにデポジットでき、流動性を提供することで、取引手数料を得ることができます。


Synthetix Network Token (SNX)

では、原資産による裏付けがないのであれば、何がSynthの担保となっているのでしょうか。主に、担保として使われているのはプラットフォームのトークンである「SNX」です。さらに最近では、SynthetixはETHをサポートしている担保用資産として、追加しました。
Synthetixは、各合成資産が、それが表す価値よりも多くの価値で担保されている、超過担保によって機能します。

Synthは、ユーザーが担保 (SNX) をステークして、それに対して合成資産を発行することで作られます。言い換えれば、それぞれのSynthは、供与された担保に対する実質的な借金です。

それぞれの負債ポジションは、一定の担保率を維持する必要があります。この担保率はガバナンスによって決定されます。これは、市場の大暴落のような異常事態が発生しても、Synthが十分に担保され、システムが赤字にならないようにすることを目的としています。

ユーザーは、この比率を手動で管理する必要があります。Synth (負債) を発行したり、バーンしたり、担保を追加したりすることで、ステーキングの報酬を獲得し続けることができます。


無限の流動性とノースリッページ

Synthetixは、伝統的な意味での注文板やスリッページを持たないため、「無限の流動性」を持つ取引所としてマーケティングをしています。価格はアルゴリズムによって決定されるため、中央集権型の注文板 (CLOB) よりも自動化マーケットメイカー (AMM) の仕組みに近いものです。

要するに、Synthetixで取引をする場合、個人やマーケットメーカーに対して取引をするわけではありません。その代わり、負債プールから借金の一部を返済し、別のSynthで同額の借金をしています。

ニュアンスの異なる複雑な仕組みですが、Synthetixでの取引はバイナンスの注文板やUniswapの流動性プールでの取引とは違うということを理解する必要があります。


Synthetix & Optimism

それでは、なぜNASDAQの全株式がSynthetix取引所で取引されていないのでしょうか。たしかに、Ethereumのメインネットでの手数料や約定保証は、ほとんどのトレーダーやトレードスタイルに適しているとは言えません。このため、Synthetixのコントラクトは、Optimism社が実装したOptimistic Rollupと呼ばれるレイヤー2ソリューションでデプロイされます。
Rollupsはブロックチェーンをスケールさせるための素晴らしい方法です。独自のバリデータセットを使用するため、そのチェーンがセキュリティの責任を負うサイドチェーンのような他のスケーリングソリューションと違い、RollupsはEthereumブロックチェーンのセキュリティを活用します。スケーリングソリューションと言う点では同じですが、こういった大きな違いがあります。Rollupsは、セキュリティ面で大きな妥協をすることなく、サイドチェーンと同様のスケーリングメリット (トランザクションスループットの向上やトランザクション手数料の低減など) を実現することが可能です。
しかし、Synthetixコントラクトは、特に複雑なスマートコントラクトの1つです。そのような最先端のテクノロジーを、可能な限り最も安全な方法で行こうさせるのは簡単なことではありません。Optimismは、しばらく前からSynthetixと水面下で協力しており、メインネット上でのデプロイは2021年夏頃を予定しています。


まとめ

SynthetixはEthereum上の合成資産プロトコルです。Synthは、原資産の価格を追跡するだけなので、ユーザーが実際に資産そのものを所有することはありません。Synthetixは、最も古いDeFiプロジェクトの一つで、SynthetixDAOによる分散型のガバナンス構造を持っています。Synthetixは理解しやすいプロジェクトではありませんが、OptimismのRollupsにデプロイされるため、これからさらに普及する可能性があります。