GMXとは
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GMXとは

GMXとは

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公開済 Nov 16, 2022更新済 Nov 16, 2023
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概要

GMXは、分散型のパーミッションレス無期限契約スワップおよび現物取引向け取引所です。ウォレットを接続するだけで、暗号資産をオンチェーンで簡単に取引できます。GMXにはGMXというネイティブトークンがあり、GMXプロトコルのガバナンスのためのツール、ユーティリティ、価値を生み出すトークンとして機能します。GMXトークンをステーキングすると、GMXのプロトコル手数料の一部を獲得できます。GMXは現在、ArbitrumとネットワークとAvalancheネットワークに対応しています。

はじめに

ブロックチェーンとその金融への適用でとしての暗号資産により、分散型金融(DeFi)の開発が可能になりました。DeFiが一般に知られるようになったのは、「DeFiの夏」と呼ばれる2020年からです。現在、GMXはレバレッジ無期限取引と現物取引を分散型環境で取引できることを体現しています。取引体験は中央集権型取引所の機能に似ているものの、個人の暗号資産ウォレットから直接取引できます。

GMXとは

GMXは、ユーザーが自分の暗号資産ウォレットから直接BTC、ETHや他の人気の暗号資産を取引できる分散型現物および無期限契約取引所です。GMXでは、中央集権的な取引所で行われるのと同様に、現物のスワップ、最大50倍のレバレッジでの無期限先物を取引できます。しかし、中央集権的な取引所とは対照的に、暗号資産ウォレットを使用して資産を保管します。

GMXは、低スワップ手数料と、取引への影響がない(ゼロプライスインパクト)取引で、より優れた取引体験を提供することを目指しています。取引は、ネイティブのマルチアセットプールであるGLPを通して行われ、流動性プロバイダーは取引手数料を獲得できます。さらに、GMXは動的価格設定にChainlinkオラクルを使用し、取引量の多い他の取引所からの価格を集約しています。

GMXは、2021年9月にArbitrum Oneブロックチェーン上で最初にスタートしました。ArbitrumはEthereumレイヤー2ロールアップで、Ethereumスマートコントラクトのスピードとスケーラビリティを高めるために設計されたソリューションです。その後、2022年1月にGMXは同じく高速EVM互換ブロックチェーンであるAvalanche上に展開を続けました。

GMXの仕組み

GMXでの取引は、GLPと呼ばれるマルチアセットプールによって行われています。このプールは50~55%のステーブルコイン、25%のETH、20%のBTC、そしてチェーンリンクやユニスワップなど5~10%の他アルトコインで構成されています。

流動性は、ユーザーがGMX流動性プロバイダートークン(GLP)を発行(ミント)することで追加されます。GLPを発行する見返りとして、ユーザーはその特定のブロックチェーンで発生するすべての手数料のうち70%を獲得します。他の流動性プールとは異なり、GLPではインパーマネントロスは発生しません。

誰でもこの流動性プールの供給者になることができ、その見返りとして手数料を獲得できます。また、流動性プールに提供された資産を使って、無期限スワップ取引や現物取引をすることができます。さらに、GLPプールはトレーダーにとってのカウンターパーティとなり、GLPトークン保有者はレバレッジ取引に使用される流動性を提供するため、トレーダーの損失が利益になり、またその逆もまたしかりとなります。

GLPトークンは、そのインデックス資産のいずれかを使用して発行(ミント)することができ、インデックス資産の償還時にはバーンされます。GMXトークンとは異なり、自動的にステーキングされ、送金などの移転はできません。GLPの価格、報酬、インデックス構成はArbitrumとAvalancheで異なります。

GMXトークンとは

GMXトークンは、ユーティリティおよびガバナンストークンとしての役割を持ちます。トークン保有者は、取引所の将来的方向性に関する提案に対し投票できます。

GMXトークン保有者はステーキングすることによって、3つの報酬を獲得できます。まず、プロトコル利用での全手数料の30%が配布されます。これらの手数料は、マーケットメイキング、スワップ手数料、レバレッジ取引から徴収され、ETHまたはAVAXで支払われます。

次に、エスクローされたGMX(esGMX)トークンが提供されます。esGMXトークンは、報酬獲得のためにステーキングもでき、または権利を確定することもできます。esGMXトークンの権利を確定すると、12ヶ月後にGMXに変換されます。したがって、esGMXの還流システムにはインフレ対策が組み込まれており、一定期間の経過を待つことでGMXの安易な売却を防ぐ仕組みを持ったステーキングの一形態と言えます。

最後に、ステーキング参加者には利回りを増幅する倍率としてのマルチプライヤーポイントが適用され、トークンのインフレに影響を受けずに長期保有者を報いています。2重のインセンティブはGMXへのコミットメントを高め、プラットフォームの分散型所有を促進します。

GMXトークンの最大供給量は1,325万で、うち820万が流通しています。現在流通しているトークンの83%以上がステーキングされています。

GMXの特徴

取引システム

GMXでは、トレーダーは従来の取引プラットフォームに似たシンプルなスワップインターフェースを使用し、レバレッジを利用した取引が可能です。さらに、GMXはセルフカストディ型のトラストレス環境であり、誰でもプライベートウォレットから直接暗号資産を取引できます。

デュアル取引所モデルとして、現物スワップと無期限スワップのレバレッジ取引の両方に対応しています。これにより、GLPプールの資産利用率が高く、預託金が追加の利回りを生み出し、遊休状態になることになく、資本効率が向上します。

GMXでは、価格に影響を与えることなく取引ポジションのエントリーやエグジットが可能です。この設計により、スリッページの問題を抱えるオーダーブックベースの取引所よりも、より優れたエントリー価格を得られる可能性があります。GMXはまた、Chainlinkオラクルや他の価格フィードのデータを集約し価格変動を平準化しており、一時的な流動性の変動からポジションを安全に保護できます。

エコシステム

GMXはコミュニティの重要性を強調しており、ユーザー間の積極的な関与によるDeFi意識の向上やツール構築の環境を醸成してきました。

コミュニティによって構築されたツールには、Telegramポジションボット、gmx.houseリーダーボード、gmxstats.comページ、Dune Analyticsダッシュボード、そして、トレーダー、ステーカー、流動性プロバイダーにとって役立つ計算機などがあります。GMXでは、レゴブロックの組み合わせるように、DeFi機能を構築する共同プロジェクトが増加しています。

コミュニティは、GMXエコシステムに関する情報発信も担っています。例えば、コミュニティ主導の週刊ニュースレター「Blueberry Pulse(ブルーベリー・パルス)」は、GMXエコシステムの発展にハイライトを当てています。Blueberry Pulseポッドキャストでは、オーディオフォーマットで同じことを行っています。

GMXの利用方法

トレーディング

  1. GMXの取引インターフェースは、価格チャートと一緒に表示されます。レバレッジ取引を開始するには、「ロング」または「ショート」をクリックし、お好みの取引を設定します。GMXでは、シンプルで手数料の安い現物スワップも利用できます。この場合、「スワップ」タブをクリックしてインターフェースを開き、GLPプール内のトークン間のスワップを行います。

  2. 最初に出てくる上のトークンは自分自身が提供する担保で、下側のトークンは取引する資産となります。レバレッジスライダーで、GLPプールからの借入額(レバレッジ)を設定します。指値注文、テイクプロフィット注文、ストップロス注文が利用できます。

  3. 約定しオープン状態(未決済)となった注文は、「ポジション」の下に表示されます。「編集」をクリックすると、担保の追加、引き出しができます。レバレッジ取引の手数料として、取引の開始と終了時にポジションサイズの0.1%が課されます。また、利用率に依存する1時間当たりごとの借入手数料を支払います。詳細の手順は、取引ヘルプページでご覧いただけます。

ステーキング

GMXトークンをステーキングして報酬を獲得するには、ウォレットを接続し「ステーク」ボタンをクリックします。

ウォレットでオンチェーン上のトランザクションが確認されると、GMXのすべてのプロトコル手数料に30%に加え、esGMXとマルチプライヤーポイントのインセンティブの獲得が始まります。

GMXユーザーインターフェイスの「報酬総額」の下に3種類の報酬の増加状況がわかりやすく表示されます。「コンパウンド」ボタンをクリックすると、獲得した報酬をステーキングし、利回りをコンパウンド(複利運用)できます。

GMXの購入方法

GMXは、バイナンスなどの暗号通貨取引所で購入できます。

1. バイナンスアカウントにログインし、[トレード] → [取引所(現物取引)]に移動します。

2. 検索バーに「GMX」と入力すると、利用可能な取引ペアが表示されます。例として、GMX / BUSDを使用します。

3. [現物]ボックスに移動し、購入するGMXの数量量を入力します。この例では、成行注文を使用します。[GMX購入]をクリックして注文を確定すると、購入したGMXは現物ウォレットに入庫されます。

GMXの今後の展望

GMXの分散型自律組織(DAO)であるGMX DAOは、その内部でのガバナンス手続きを通じてロードマップを計画しました。GMXのビジョンは、オンチェーンレバレッジ取引がさらに使いやすいDEXとなることであり、現在のロードマップには以下が含まれます。

合成資産

合成資産は、取引所で利用可能になる新しいクラスのトークンです。株式、商品、デジタル通貨などの原資産から価値を引き出します。これらは本質的に、デジタルデリバティブと言えます。

UIとUXの改善

GMXは、ユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)をさらに洗練させることを掲げています。例えば、TradingViewのチャートをプラットフォームに統合する予定です。

X4: プロトコルが管理する取引所

GMXのより長期的なビジョンは、他のDeFiプロジェクトをGMX流動性プールの上に構築することです。そのため、流動性プールの機能を完全にカスタマイズできる高度な自動マーケットメーカー(AMM)を目指しています。このようなプロジェクトは、トークンの売買や流動性の追加、削除などを、思いのままに設定・カスタムできるようにするものです。

ネットワークの拡大

GMXはまた、ArbitrumとAvalancheに続き、第3のブロックチェーンネットワーク上で取引所を展開する予定です。

まとめ

暗号資産取引は、著しく進歩しました。GMXでは、暗号資産ウォレットを持っている人なら誰でも、透明性の高い分散型取引所サービスの恩恵を受けられるようになります。まず、トレーダーは無期限スワップと現物取引プラットフォームを利用できます。次に、ユーザーはGMXトークンを所有することで、様々なメリットを享受し、ガバナンスに対する発言権を持つことができます。すでに見てきたように、GMXコミュニティがプラットフォームの将来についてを決定します。したがって、既存の機能に加え、取引所に新サービスが追加される可能性があります。