投資対効果 (ROI) の計算方法
ホーム
記事
投資対効果 (ROI) の計算方法

投資対効果 (ROI) の計算方法

初心者
公開済 Oct 26, 2020更新済 Jan 31, 2023
5m

概要

ROIは投資のパフォーマンスを測定するための方法です。ご想像の通り、これは様々な投資の収益性を比較するための素晴らしい方法です。当然ながら、ROIが高い投資は、ROIが低い (もしくは、マイナス) 投資よりも良いものです。自分のポートフォリオのROIを計算してみたくなりましたか。それでは、ぜひこの記事を読んでください。


はじめに

デイトレード、スイングトレード、あるいは長期投資家のいずれであっても、常に自分のパフォーマンスを測定する必要があります。パフォーマンスを測定しない場合、自分のやり方がうまくいっているかどうかを知ることができないからです。トレーディングの大きなメリットの1つは、自分の成果を客観的な指標で厳密に測ることができることです。これは、感情的なバイアスや認知的なバイアスを排除するのに大いに役立ちます。

では、これはどのように役立つのでしょうか?人間は、世界を理解しようとするために、あらゆるものにストーリーを構築する傾向があります。ただし、「数字」は嘘を付きません。もし、マイナスのリターンを出しているのであれば、何か戦略を変更する必要があります。同様に、自分ではうまくいっていると感じていても、それが数字に反映されていない場合は、自分のバイアスが原因かもしれません。

リスク管理ポジションサイジングストップロスの設定についてはこれまでに他の記事で説明してきました。しかし、投資のパフォーマンスはどのようにして測るのでしょうか?また、複数の投資先のパフォーマンスを比較するにはどうすれば良いのでしょうか?そこで役に立つのが、ROIの計算です。今回は、投資利益率 (ROI) の算出方法についてご紹介します。


投資利益率 (ROI) とは?

ROI (Return On Investment) とは、投資のパフォーマンスを測定する方法です。また、さまざまな投資を比較するためにも使用できます。

リターンの計算方法は複数ありますが、次の章でそのいくつかをご紹介します。とりあえず、ROIは初期投資と比較した損益を示すものだと理解しておけばよいでしょう。言い換えれば、投資の収益性を示す近似値です。当初の投資額と比較して、ROIがプラスであれば利益、マイナスであれば損失ということになります。

ROIの計算は、トレーディングや投資だけでなく、あらゆるビジネスや購入に当てはまります。もし、あなたがレストランをオープンしたり、開業したりする予定があるなら、まずこの数字を算出してみましょう。開業することは、経済的にも意味があるのでしょうか?予測されるすべての費用とリターンに基づいて、推定ROIを計算することは、より良いビジネス上の意思決定を行うのに役立つかもしれません。そのビジネスが最終的に利益を生むようであれば (つまり、ROIがプラスであれば)、はじめる価値があるかもしれません。

また、ROIはすでに実施した取引の結果を評価するのに役立ちます。例えば、古いエキゾチックカーを$200,000で購入したとします。その後、2年間使用して$50,000分を活用したとします。今度は、その車が市場で値上がりして、$300,000で売れるようになったとします。この車を2年間楽しんだだけでなく、かなりの投資効果があったことになります。具体的には、どれぐらいの利益になっているのでしょうか。それを計算してみましょう。


投資対効果 (ROI) の計算方法

ROIの計算式は非常にシンプルです。投資の現在の価値から、最初の投資コストを差し引きましょう。そして、この金額を元々の投資額で割ってください。

ROI = (現在価値 - 元のコスト) / 元のコスト

では、このエキゾチックカーを売ることで、どのくらいの利益が出るのでしょうか?

ROI = (300,000 - 200,000) / 200,000 = 0.5 

エキゾチックカーのROIは0.5です。それを100倍すると、ROR (Rate of Return) になります。

0.5 x 100 = 50

つまり、当初の投資に対して50%の利益を得たことになります。しかし、全体像を把握するためには、車にいくらかけたかを考慮する必要があります。そこで、現在の車の価値からそれを引いてみましょう。

300,000 - 50,000 = 250,000

これで、費用を考慮しながらROIを算出することができます。

ROI = (250,000 - 200,000) / 200,000 = 0.25

つまり、ROIは0.25 (または25%) です。つまり、投資コスト ($200,000) にROI (0.25) を掛け合わせると、純利益がになる$50,000ということです。

200,000 x 0.25 = 50,000



ROIの限界

そのため、ROIは非常にわかりやすく、収益性を表す普遍的な指標となります。ROIにはなんらかの限界があるのでしょうか。もちろんあります。

ROIの最大の限界の一つは、期間を考慮していないことです。なぜ期間を考慮するのが重要なのでしょうか?さて、投資には時間が欠かせません。他にも考慮すべき点 (流動性や安全性など) があるかもしれませんが、ある投資が1年で0.5のROIをもたらすなら、5年で0.5のROIをもたらすよりも良いでしょう。そのため、「年率ROI」という言葉を目にすることがありますが、これは1年間に期待できる投資収益 (利益) を表しています。

しかし、ROIは投資の他の側面を考慮しません。ROIが高い投資が、必ずしも良い投資であるとは限りません。もし、自分の投資したものを買ってくれる人が見つからず、長期に渡って投資を続けなける必要があるとしたらどうでしょうか。つまり、投資した対象の流動性が低い場合はROIが高くても、必ずしも優れた投資とは言えないでしょう。

もう1つ考慮すべき要素は、リスクです。ある投資は非常に高いROIが見込めるかもしれませんが、それにはどんなコストがかかるでしょうか?価値がゼロになったり、資金にアクセスできなくなったりする可能性が高いのであれば、ROIの見込みはそれほど重要ではありません。それは何故でしょうか?それは、この資産を長期に渡って保有するリスクは非常に高いからです。確かに、潜在的な報酬も高いかもしれませんが、当初の投資額をすべて失うリスクは、決して望ましいものではないです。

純粋にROIを見るだけでは、その安全性についての洞察は得られないので、他の指標も考慮する必要があります。まずは、各取引や投資について、リスク/リターンの比率を算出することから始めてみてはいかがでしょうか。そうすることで、それぞれの投資の質をよりよく把握することができます。また、株式市場アナリストの中には、潜在的な投資対象を評価する際に、ROI以外の要因を考慮する人もいます。これらには、キャッシュフロー、金利、キャピタルゲイン税、ROE (株主資本利益率) などが含まれます。


まとめ

これまで、投資収益率 (ROI) とは何か、そしてトレーダーがより多くの情報に基づいた投資判断を行うためにROIをどのように利用できるかを見てきました。投資収益率の計算式は、あらゆるポートフォリオ、投資、ビジネスのパフォーマンスを追跡するための中核となるものです。

これまで述べてきたように、ROIは究極の指標ではありませんが、役に立つこともあります。また、機会費用やリスク/リターンの比率など、異なる投資機会の選択に影響を与える可能性のある要素も考慮する必要があります。しかし、出発点として、ROIは潜在的な投資を評価するための良いバロメーターになります。