各国の暗号資産に対する課税状況
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各国の暗号資産に対する課税状況

各国の暗号資産に対する課税状況

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更新済 Mar 19, 2025
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要点

  • 世界中で暗号資産の税制は様々である。一部の国では暗号資産を資産とみなしキャピタルゲイン税を課し、別の国では所得税を適用する。暗号資産に課税しない国も存在する。

  • 課税対象は売却以外にも及ぶ。取引、決済、マイニングやステーキングで得た暗号資産は課税される。保有や個人ウォレット間の移動は通常非課税である。

  • 規制は今もなお整備が進められている。各国政府は明確な税制と厳格な報告義務を導入しており、トレーダーや投資家は最新情報を把握する必要がある。

はじめに

暗号資産の税制は居住国によって異なります。高い税金を課す国もあれば、全く課税しない国もあります。暗号資産の分類には、各国政府が定める異なる規則が適用され、それによって納税額が異なります。

暗号資産に対する課税の仕組み

多くの国で、暗号資産の利用方法に基づき税金が課されます。多くの地域では、暗号資産は資産あるいは投資資産とみなされており、売却または取引時に株式と同様にキャピタルゲイン税が課されます。マイニング、ステーキングから獲得した暗号資産や商品やサービスの暗号資産での決済に対し、所得税を課す国があります。

前述のように、暗号資産の税制は地域によって異なります。各国の状況を個別に取り上げる前に、一般的な税制について説明します。ここで紹介している内容は、学習目的でのみの例示です。暗号資産に関する税務状況が不明な場合、お住まいの地域の税理士に相談することをお勧めします。

暗号資産が課税される場合

暗号資産の取引や投資における主な課税対象は以下のとおりです。

  • 暗号資産を現金で売却:ビットコインなどを現金化して利益を得ると税金が課される。

  • 暗号資産同士の交換:通常、暗号資産を別の暗号資産に交換した時点で、課税対象となる(例:ETHをSOLと交換)。

  • 暗号資産での購入:暗号資産による商品やサービスの購入は、暗号資産の売却とみなされ、税金が課される。

  • 暗号資産での収入:マイニング、ステーキング、決済として暗号資産を受け取ると所得税が課される。

暗号資産が課税されない場合

  • 暗号資産の購入と保有:暗号資産を購入して売却しなければ、通常は課税対象にはならない。

  • ウォレット間の移動:自分のウォレット間での暗号資産の移動は、通常、非課税である。

各国による暗号資産への課税方法

米国

米国では、内国歳入庁(IRS)が暗号資産を資産としてみなしています。そのため、暗号資産を売却、取引、または使用する際にはキャピタルゲイン税が課されます。税率は、保有期間によって異なります。

  • 短期利益(1年未満保有):通常の所得と同じく10%から37%の間で課税される。

  • 長期利益(1年以上保有):所得に応じて0%、15%、または20%で課税される。

マイニングやステーキングで暗号資産を収入として得た場合、保有者の通常の税率で所得税が課されます。IRSは2025年から暗号資産ブローカーに対し、取引をForm 1099-DAで報告することを義務付けています。

暗号資産で発生した損失は利益と相殺でき、投資家は年間最大3,000ドルまで通常の所得から控除できます。

カナダ

カナダでは暗号資産をコモディティとして扱い、使用方法によって税金が異なります。

  • 暗号資産を売却または取引する場合:キャピタルゲイン税が課されるが、利益の50%のみが課税対象になる。

  • 暗号資産を収入として得る場合:事業所得とみなされ、連邦税率で最大33%に加え州税が課される。

暗号資産取引による損失は、将来の課税所得の軽減に利用できます。

イギリス

イギリスでは暗号資産を資産として扱います。キャピタルゲイン税が課され、所得階層によって税率が異なります。

  • 基本税率の納税者:年間免税額(2024年以降は3,000ポンド)を超える利益に10%の税金が課される。

  • 高税率の納税者:利益に20%の税金が課される。

マイニング、ステーキング、または決済として暗号資産を得た場合、収入として課税されます。損失を利用して課税対象の利益を減らすこともできます。

オーストラリア

オーストラリアでは、オーストラリア税務局(ATO)が暗号資産を資産とみなしており、売却や取引時にキャピタルゲイン税が課されます。

  • 短期利益(1年未満):通常の所得として課税され、最大45%の税率が適用される。

  • 長期利益(1年以上)50%の税額割引が受けられる。

暗号資産を収入として得た場合、所得として扱われ、個人の収入に応じた税率が課されます。暗号資産で発生した損失は、繰り越して将来の利益と相殺することもできます。

日本

日本は世界でも暗号資産の税率が非常に高い国の一つです。政府は、暗号資産の利益を雑所得として分類しています。

  • 税率は収入に応じて15%~55%になります。

  • 損失を他の課税所得から差し引くことはできません。

日本の税制は、暗号資産投資家にとって魅力をさげる要因となっています。ただし、長期投資家向けに優遇制度の導入への改革が議論されています。

暗号資産を非課税としている国々

一部の国では暗号資産に全く課税せず、投資家の間で人気を集めています。例として、アラブ首長国連邦、マルタ、ケイマン諸島が挙げられます。

アラブ首長国連邦(UAE)

UAEでは暗号資産に対する個人所得税やキャピタルゲイン税は課されません。ただし、暗号資産を扱う企業には9%の法人税が課される場合があります。

UAEは暗号資産に友好的な拠点として自らを位置づけられ、多くのブロックチェーン支持者や企業を引きつけています。

マルタ

マルタでは長期の暗号資産利益に0%の税率を適用しますが、短期取引には15%~35%の所得税が課されます。この国は明確な規制枠組みで知られており、暗号資産関連企業がマルタ法域内での事業活動を促進しています。

ケイマン諸島

ケイマン諸島では、暗号資産に所得税、キャピタルゲイン税、法人税がなく、投資家にとってタックスヘイブンとなっています。この地域は暗号資産ヘッジファンドやブロックチェーンのスタートアップ企業から人気を集めています。

暗号資産税制の今後の展開は?

政府が暗号資産業界に追いつこうとする中で、税制も変化しています。その主なトレンドを以下に挙げます。

  • 規制の明確化:多くの国が暗号資産投資家向けに明確な税制を定めています。

  • 報告要件の強化:多くの政府が暗号資産取引所に対し、ユーザーの取引を税務当局に報告するよう求めています。

  • グローバル規模での課税規定:将来的には税逃れを防ぐための国際的なガイドラインが設けられる可能性があります。

税制が変更される中で、自国の税法について最新情報を得ることは、罰則を避けるうえで重要になります。

まとめ

暗号資産の税制は居住地によって大きく異なります。高い税金を課す地域もあれば、全く課税しない地域もあります。暗号資産への投資や取引をする場合は、自国の税制を把握しておくことが重要になります。取引を記録した上で税の専門家に相談することで、規制を遵守し、不要な罰金や課徴金を避けられます。

暗号資産の税金への理解は複雑ではありません。適切な情報があれば、賢い財務判断を下し、納税時期に予期せぬ事態を避けられます。

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免責事項:バイナンスは税務上のアドバイスを提供していません。国の規制にもよりますが、商品取引によってキャピタルゲイン(または損失)が発生した場合、正規に税金を支払う必要があります。暗号資産の課税に関する規制の枠組みは国によって異なるため、税務状況については、お客様の個人の税理士にご相談されることを強くお勧めしますお客様に適用される正しい税務法域を選択するのは、お客様の責任となります。

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