暗号資産上場投資信託(ETF)は、1つまたはバスケットとなった暗号資産のパフォーマンスに連動する投資ファンドの一種です。従来のETFと同様に、暗号資産ETFは取引所で取引され、暗号資産を直接保有することなく暗号資産市場へのエクスポージャーを提供します。
従来の株式ETFおよび暗号資産ETFのどちらも、原資産のパフォーマンスに連動するように設計されています。株式ETFの場合、企業株式のバスケットの値動きに連動しますが、一方、暗号資産ETFはさまざまな暗号資産のパフォーマンスに連動します。
どちらのETFも証券取引所で取引されており、投資家は資産を直接保有することなく原資産へのエクスポージャーが実現します。
暗号資産ETFの原資産はデジタル通貨であり、伝統的な株式よりもボラティリティが高く、複雑となる場合があります。そのため、独特のリスク要因があります。さらに、暗号資産ETFの規制環境はまだ確立していません。多くの国の規制当局は、この新しい資産クラスに関する規則の草案作成に取り組んでいる段階です。
さらに、デジタル資産の決済や保管は、伝統的な株式と比較して独自の技術的要件が求められます。暗号資産ETFの運用者には、預かり資産を潜在的なサイバー攻撃から保護する必要があり、コールドストレージなど安全な保管ソリューションが必要です。
暗号資産ETFには主に2つの種類があります。
1つ目は、物理的に裏付けされた暗号資産ETFであり、現物ETFとしても知られています。ETFの投資運用会社が、暗号資産そのものを購入して保有します。投資家がこれらのETF株式を購入することで、間接的に原資産である暗号資産を所有することになります。その結果、個々のコインを購入・管理することなく、エクスポージャーを得られます。
2023年8月15日にヨーロッパで現物Bitcoin ETFが初めて上場され、他地域ではその他多数の現物Bitcoin ETFが承認待ちとなっています。
物理的に裏付けされた暗号資産ETFには、いくつかの長所と短所があります。
長所:
暗号資産へのエクスポージャーを得るのが簡単
金融規制監督要件への準拠
ETF運用会社は、原資産である暗号資産のセキュリティ、保管、パフォーマンスの連動に責任を負います。
短所:
管理手数料が高くなり、全体の収益を低下させる可能性がある
運用ファンドによる連動エラーが発生する可能性がある
物理的に裏付けされた暗号資産ETFは限られている
2つ目の種類は、合成暗号資産ETFと呼ばれるものです。これらは暗号先物や上場商品(ETP)のような暗号資産デリバティブに連動します。例えば、Bitcoin先物ETFは合成暗号資産ETFの一種となります。
合成ETFでは、株価は実際の暗号資産価値ではなく、デリバティブ商品の価格に連動します。とはいえ、決済日が近づくにつれ、価格は最終的に現物価格に収れんしていきます。
このようなETFは、デリバティブに依存しており、また運用の透明性が低くなり得ます。
暗号資産ETFは、暗号資産市場に関心のある投資家にとっていくつかの利点をもたらします。
第一に、ETFでは個々の暗号資産を直接購入して管理する際の技術的ハードルが取り除かれ、様々なデジタル資産へのエクスポージャーを得る点で利便性があります。
第二に、ETFは従来の金融システムの枠組み内に組み込まれているため、投資家は退職年金や個人の証券口座などの使い慣れたプラットフォームを通じてポートフォリオに暗号資産を追加できます。
最後に、暗号資産ETFは運用をアナリストに頼っており、暗号資産への投資に必要となる難解な学習の必要がありません。暗号資産の専門用語やブロックチェーンの技術的なことを一切学ぶ必要がないのです。投資家は、暗号資産に関連する複雑さを避けながら、潜在的に上昇幅をつかむことができるようになります。
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