暗号資産市場におけるファンディングレートとは
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暗号資産市場におけるファンディングレートとは

暗号資産市場におけるファンディングレートとは

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公開済 Aug 8, 2024更新済 Aug 28, 2024
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要点

  • 無期限先物市場では、ファンディングレートとはロング取引(買い手)とショート取引(売り手)の間の定期的な決済を意味します。

  • ファンディングレートにより、現物市場における原資産価格と先物契約価格の一致が保たれ、市場の安定化に貢献することになります。

  • 決済金額は、無期限先物マーク価格とインデックス価格の差額に基づいて算出されます。

  • ファンディングレートがプラスの場合、ロングポジション(買い手)がショートポジション(売り手)にファンディング手数料を支払います。ファンディングレートがマイナスの場合、ショートポジション(売り手)がロングポジション(買い手)にファンディング手数料を支払います。

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無期限先物契約の概要

無期限先物契約は、暗号資産市場で人気のある金融商品となっています。満期のある従来の先物契約とは異なり、無期限先物契約には満期がありません。そのため、トレーダーはいつでも自由にポジションを建てたり決済したりできます。

無期限先物契約は、ファンディングレートによる価格調整のメカニズムにより、原資産の現物価格に近い価格で取引されるように設計されています。

資金調達率とは

ファンディングレートは、無期限先物市場でロング取引(買い手)とショート取引(売り手)の間で定期的に行われる決済です。ファンディングレートは、無期限契約価格と現物価格の関係に応じ、プラスかマイナスのいずれかになります。

無期限先物契約の価格が原資産の現物価格から乖離すると、ファンディング手数料の獲得を動機にトレーダーが乖離を縮小させるポジションを取るようになります。この結果、無期限先物契約の価格は原価である現物価格に近づきます。

端的に言うと、ファンディングレートがプラスの場合、ロングポジション(買い手)がショートポジション(売り手)にファンディング手数料を支払います。ファンディングレートがマイナスの場合、ショートポジション(売り手)がロングポジション(買い手)にファンディング手数料を支払います。

バイナンスファンディング手数料

暗号取引におけるファンディングレートの仕組み

ファンディングレートは、金利プレミアム指標の2つの要素から構成されています。

1. 金利

金利は、資本コストを反映しています。暗号資産取引では、通常、ベース通貨(例:USD)とクォート通貨(例:BTC)の借入コストの差を表したものになります。通常、このレートは小さく、比較的安定しています。

2. プレミアム指標

プレミアム指標は、無期限契約価格と原資産の現物価格の差を測定したものです。無期限契約価格が現物価格よりも高い場合、プレミアムはプラスとなり、買い意欲が強いことを示しています。逆に、無期限契約価格が現物価格よりも低い場合、プレミアムはマイナスとなり、売り意欲が強いことを示しています。

ファンディングレートの算出方法

ファンディングレートは、金利とプレミアム指標の値に基づいて算出されます。ただし、厳密な計算式は取引所ごとに異なる場合があります。投資リスクを取る前に、利用している取引所での仕組みをしっかりと理解してください。

バイナンス先物取引でのファンディングレート

バイナンス先物では、現金相当資産の保有が暗号資産の保有よりも高い金利を得られるという前提をもとに、一律(固定)金利を採用しています。既定値では、日次金利は0.03%に固定され、0.01%の3回のファンディングレート(つまり、8時間ごとのファンディング)に分割しています。

バイナンス先物では、取引インターフェースの一番上に現在のファンディングレートと次の決済時刻までの残り時間が表示されます。

ファンディングレート(バイナンス先物UI)

バイナンス先物におけるファンディングレートの算出方法の詳細は、公式ページのよくある質問をご覧ください。

ファンディングレートの重要性

以上の通り、ファンディングレートは先物と現物間での価格均衡を維持させる重要な機能を持つと同時に、市場取引へのインセンティブを提供し、市場センチメントの把握にも役立ちます。

1. 価格均衡を維持:無期限先物契約の価格が原資産の現物価格水準付近に収まるように機能します。

2. 市場取引への機会:契約価格が現物価格から大幅に乖離した場合、ファンディングレートのメカニズムにより、トレーダーには価格の乖離を縮小させるようにポジションを建てる動機づけが生まれます。

3. 市場センチメントの反映:ファンディングレートは、市場センチメントの指標としても利用可能です。一貫したプラスのファンディングレートは強い買い意欲と強気センチメントを示し、一貫したマイナスのファンディングレートは強い売り意欲と弱気センチメントを示します。

2024年の暗号資産投資へのファンディングレートの影響

無期限先物市場のトレーダーにとって、ファンディングレートの理解は不可欠です。以下に、実用的な観点からいくつかの事例を示します。

1. ポジション保有コスト

ファンディングレートは、時間の経過とともにポジションの維持コストに大きな影響を与える可能性があります。とりわけ長期的なポジションの場合、これらのコストを考慮した取引計画を立てる必要があります。ファンディングレートが高い場合、利益が損なわれたり、損失が増加したりする可能性があります。

2. 取引戦略

ファンディングレートに基づいた戦略を立てられます。例えば、アービトラージ取引では、ファンディングレートと現物価格の乖離を利用して利益を獲得します。また、市場動向を予想しポジションを建てたり手仕舞ったりするさいの取引シグナルとして利用できます。

3. リスク管理

ファンディングレートに関連するリスク管理は、非常に重要です。想定外のコストを避けるために、ファンディングレートを監視し、ポジションを調整する必要があります。市場のボラティリティが高い時期は、ファンディングレートが急速に変化する場合があり、とりわけ重要といえます。

まとめ

暗号資産市場において、ファンディングレートは無期限先物契約の重要な要素となります。ファンディングレートは、無期限契約と原資産の現物価格の価格均衡を維持および市場取引への機会が提供され、市場センチメントの理解にも役立ちます。ファンディングレートの仕組みと実際の影響を理解すれば、より適切な情報に基づいた意思決定が実現し、ポジションを効果的に管理できるようになります。

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