リキッドステーキングの概要
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リキッドステーキングの概要

リキッドステーキングの概要

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公開済 Mar 27, 2024更新済 Jun 12, 2024
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要点

  • リキッドステーキングはステーキング資産をトークン化し、従来のステーキング方法より、有用性と流動性を拡張します。

  • 従来のステーキングでは、資産は固定され流動性はないものの、リキッドステーキングはこの問題を解決し、様々なDeFiアプリにおけるステーキング資産の柔軟な活用の機会をもたらします。

  • リキッドステーキングは、トークンの有用性と価値を高め、新しいアプリケーションの開発と暗号資産の普及を後押しするものです。

はじめに

リキッドステーキングは、ステーキングするデジタル資産の有用性を向上させる革新的なコンセプトです。このクイックガイドでは、リキッドステーキングの基本、仕組み、重要性、長所と短所、他のステーキングとの違いを取り上げます。

リキッドステーキングの概要とその仕組み

簡単に言えば、リキッドステーキングとはステーキングされた資産のトークン化を指します。これは従来のステーキングを進化させたものと言えるでしょう。

従来のステーキングでは、Proof of Stake(PoS)ブロックチェーンに資産をロックし、ネットワークのセキュリティに貢献し、報酬を獲得します。しかし、資産のステーキングは通常、ステーキング期間中に資産がロックされ、資産を動かせない(流動性がなくなる)代償が伴います。

リキッドステーキングはこの問題に対処し、流動性を損なうことなく資産をステーキングできるメカニズムを導入しています。このようなメカニズムの構築方法は様々ですが、ステーキングされた資産に流動性を提供する限り、リキッドステーキングだと言えます。

ステーキングした資産と引き換えに、リキッドステーキングトークン(LST)を受け取る場合もあります。例えば、Lidoのプラットフォーム上でETHをステーキングすると、報酬としてstETHトークンを受け取ります。このモデルは、リキッドステーキング・デリバティブとしても知られています。

また、LSTを利用せずに資産を直接ステーキングする場合もあります。例えば、CardanoブロックチェーンでのADAステーキングモデルはこの例です。このモデルはネイティブ・リキッドステーキングとも呼ばれます。

リキッドステーキングは、流動性を損なうことなくステーキング報酬を獲得できるので、ステーキング中の暗号資産の有用性が高まります。

リキッドステーキングの重要性

リキッドステーキングでは、従来のステーキングに関連する流動性の問題に対処しており、ステーキング中の資産を活用できます。

LidoやCardanoなどのプラットフォームでは、ステーキング報酬を獲得する一方で、ステーキング中の資産の分散型金融(DeFi)アプリケーション上での取引や活用が実現します。

さらに、リキッドステーキングでは従来のステーキングのように資産を長期間ロックする必要がないため、ステーキングに躊躇していたユーザーがより積極的に利用し、結果としてブロックチェーンネットワーク全体の成長と普及に貢献することになります。

リキッドステーキングの長所と短所

長所

1. 有用性の向上:ステーキングによる報酬をあきらめることなく、ステーキング中の資産をさまざまなDeFiアプリで活用できます。

2. 機会コストの削減:リキッドステーキングを活用すれば、従来のステーキング方法では利用できなかった流動性を利用でき、取引や投資の機会のチャンスが増えます。

3. 暗号資産の普及促進:リキッドステーキング採用により、トークンの有用性と価値が高まり、新しいアプリケーションの開発と暗号資産の普及が一層進みます。

短所

1. スラッシングのリスク:不正なバリデーターがネットワークから排除され、ステーキング中のトークンの一部が「スラッシュ」(除外)される可能性があります。選択したバリデーターがペナルティを受けた場合、スラッシングリスクにさらされる可能性があります。

2. 中央集権化の懸念:トークンの大部分が単一のプロトコルに独自にそろえられたバリデーターによってステーキングされた場合、分散化が損なわれる可能性があります。中央集権化リスクを軽減するためには、リキッドステーキングプロトコルが複数のプロバイダーから提供され、多様なプロトコルが利用されることが望まれます。

3. 規制による不確実性:ブロックチェーンと暗号資産の規制は絶えず変化しており、法域により大きく異なる可能性があります。リキッドステーキングやDeFiプラットフォームを利用する際は、利用地域での法律を確認することが重要になります。

リキッドステーキングとリキッドリステーキングの比較

リキッドステーキングでは主にステーキングした資産のトークン化により、ステーキング解除期間を待つことなく、柔軟にその流動性を利用できます。EigenLayerによって導入されたリキッドリステーキングは、この概念をさらに発展させたものです。

リキッドステーキングはPoSブロックチェーンのセキュリティ確保にステーキングされた資産を活用するのに対し、リキッドリステーキングはオラクル、ロールアップ、その他の「外部」モジュールやシステムへセキュリティ領域を拡大できます。リキッドステーキングプロジェクトの例としては、Lido(stETH)、Cardano(ADA)、Binance ETH(BETH)、Rocket Pool(RETH)などがあります。リキッドリステーキングプロジェクトとしてはether.fi、Puffer、Kelp DAOなどが例に挙げられます。

まとめ

リキッドステーキングは、ステーキングのエコシステムへのより動的かつ柔軟なアプローチとなっています。ステーキングした資産をトークン化しより高い流動性を提供することで、リキッドステーキングはデジタル資産の新たな可能性を解き放ちます。

参考文献

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