Stellar(XLM)とは

Stellar(XLM)とは

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更新済 Aug 18, 2025
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要点

  • Stellarは、迅速かつ低コストで国際送金や資産移転を目的としたブロックチェーンネットワークです。

  • ネットワークはStellar Coreソフトウェア上で動作し、Stellar Consensus Protocol(SCP)を使って数秒ごとにコンセンサスを形成しています。

  • ネイティブ資産であるLumens(XLM)は、手数料の支払い、最低口座残高の維持、資産間のブリッジ通貨として使用されます。

  • Stellarは非営利団体のStellar Development Foundation(SDF)によって運営され、さまざまなアンカーやパートナーと協力体制を築き、トークン化資産に対応しています。

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はじめに

国際送金は処理に数日かかり、複数の仲介業者を経由するため時間がかかり、費用も高額になりがちです。Stellarはこうした課題を解決するため、より速く、低コストで、より利用しやすい国際送金手段を提供するブロックチェーンネットワークとして創設されました。ネットワークのネイティブトークンであるLumens(XLM)は、取引手数料の決済に使われるほか、直接の交換手段を持たない通貨間の橋渡しの役割も果たします。

Stellarとは

Stellar(ステラ)は、迅速かつ低コストで国際送金や資産移転を実現するために設計されたオープンソースのブロックチェーンネットワークです。2014年にRipple(リップル)の共同創設者であるJed McCaleb(ジェド・マケーレブ)氏とJoyce Kim(ジョイス・キム)氏によって、より包括的で利用しやすい金融システムの構築を目指して立ち上げられました。

このネットワークは、非営利団体であるStellar Development Foundation(SDF)の支援のもと、継続的な開発と普及に取り組んでいます。具体的には、Stellarのオープンソースコードの維持やエコシステムの成長促進、海外送金資産のトークン化などのユースケース支援を通して、金融包摂(公平な金融システムへのアクセス)の実現を目指しています。

ステラの仕組み

Stellar Core

Stellarのネットワークは、Stellar Coreと呼ばれるプログラムを実行するノードによって動作しています。これらのノードは連携してトランザクションの検証、トランザクションの順序決定、そして約5~7秒ごとに共有台帳を更新します。ノードの運用は必須ではなく、運用することでプロトコルのアップグレードや最低手数料などの課題に対する投票権が得られ、ガバナンスに参加できるようになり、併せてネットワークの分散化とセキュリティの強化にも貢献することになります。

Stellarコンセンサスプロトコル(SCP)

Stellarは、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)やプルーフ・オブ・ステーク(PoS)といった従来のコンセンサスメカニズムの代わりに、Stellarコンセンサスプロトコル(SCP)を採用しています。SCPは、連合型ビザンチン合意(Federated Byzantine Agreement、FBA)と呼ばれるモデルに基づいています。

このモデルでは、各バリデーター(検証者)が信頼するピアのグループ(クォーラムセット)を選択します。クォーラムセット同士で共通するノード(重複ノード)を介して相互に信頼関係が形成され、ネットワーク全体でコンセンサスが成立します。これにより、どのトランザクションを含めるかについてノード間で最終的に合意が得られます。

この方式により、Stellarは比較的高速でエネルギー効率が高く、新規参加者にも開放されています。トランザクションの承認にはマイニングや大量のトークンのステーキングは必要ではなく、数秒以内に承認されます。SCPはセキュリティと一貫性を重視しており、矛盾した情報が台帳にファイナライズされることを防ぎます。ただし、まれにバリデーター間で合意を得るために短時間の停止が発生することもあります。

Stellarの主な特徴

スマートコントラクト(Soroban)

Sorobanは、Stellarのスマートコントラクトプラットフォームです。Sorobanのコントラクトはを記述するプログラミング言語はRustで、WebAssembly(Wasm、多様な環境で高速かつセキュアに実行できる軽量フォーマット)へとコンパイルされます。

従来のStellarアカウントはベースリザーブ(基本準備金)方式を採用しており、未使用のエントリで台帳が埋められるのを防ぐため、少額のXLMでの最低残高が必要でした。一方、Sorobanはレンタルベースのモデルを導入し、コントラクトは使用するストレージ容量とアクティブ期間に応じて手数料を支払います。

この方式により、リソースを効率的に使用しながらレンディングプラットフォームや資産管理ツールなどのアプリケーションを開発でき、Stellarの高速かつ低コストな基盤の恩恵を受けることができます。

アンカー(Anchors)

アンカーとは、銀行、フィンテック企業、決済プロバイダーなど、Stellarでのオンランプ(受け入れ)およびオフランプ(払い出し)として機能する信頼できる事業者を指します。米ドルやユーロなどの法定通貨の預金を受け入れ、Stellarネットワーク上で同等のトークンを発行します。これらのトークンは数秒で世界中に送金可能で、同じアンカーまたは別のアンカーを通じて法定通貨に換金できます。この仕組みにより、Stellarはスピードと低コストが求められる国際送金や海外送金サービスに適しています。

ユースケース

Stellarは決済向けに設計されていますが、その設計は現実世界のさまざまな用途で活用されるものとなっています。

  • 国際送金:トランザクションは低コストで数秒以内に決済され、送金業務や国際決済に適しています。

  • 資産のトークン化:ネットワークは、債券ETF、コモディティ、その他の証券などのトークン化資産の発行に対応しています。トークン化された資産はデジタルウォレットを通じて配布され、閉じられたエコシステム内や複数の取引所・決済プラットフォーム間で取引できます。

  • ステーブルコインの発行USDCを含む複数の法定通貨担保型ステーブルコインがStellar上で発行されており、決済や送金に利用できます。

  • マイクロペイメント:チップや寄付、デジタルサービスの従量課金など、少額トランザクションに最小限の手数料で対応しています。

  • 金融包摂:銀行サービスへのアクセスが限られた地域でも、モバイルウォレットやアンカーを通じて基本的なデジタル金融サービスを提供できます。

XLMトークン

XLMトークンは、Stellarプロトコルのネイティブユーティリティトークンです。Stellarのインフラおよびエコシステム内で、以下のようなさまざまな目的で使用されています。

  • ブリッジ通貨:XLMは直接の交換手段を持たない通貨間の橋渡しとして機能し、効率的な通貨交換を実現します。

  • トランザクション手数料:すべてのトランザクションには少額のXLM手数料が必要で、ネットワークのスパム防止や混雑時の取引優先順位付けに役立てられます。

  • 最低残高:Stellarでアカウントを維持するために、ウォレットに少量のXLMを保持する必要があります。最低残高は、トラストラインやオファーなどの機能を追加するごとに増加します。

  • スマートコントラクト:Soroban上では、XLMは台帳にスマートコントラクトのデータ保存のレンタル料決済に使用されます。

ローンチとトークンの配布

Stellarは2014年にローンチされ、ジェネシス時点で1,000億XLMトークンが発行されました。インフレメカニズムにより、最初の数年間はトークン供給量が年率1%ずつ増加していったものの、この機能は2019年のコミュニティ投票により廃止されました。同年、SDFは約550億トークンをバーン(焼却)し、総供給量を約500億トークンに削減しました。2019年以降、新たなトークンは発行されていません。

2025年8月時点で、約313億トークンが一般に流通し、約184億トークンはSDFによって保有され、ネットワークの開発およびエコシステムの成長を支えています。

まとめ

Stellarは、国際送金をより速く、より低コストで実現することを目的に設計されたブロックチェーンネットワークです。コンセンサスプロトコル、Lumens(XLM)のユーティリティ、そしてアンカーの役割を組み合わせ、ブロックチェーン技術と従来の金融システムをつないでいます。さらに、Sorobanスマートコントラクトの導入により、決済を超えた分散型アプリケーションやプログラム可能な金融サービスの開発が可能となり、ネットワークの機能が拡大しています。

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