ビットコインがすべてマイニングされた後に起こること

ビットコインがすべてマイニングされた後に起こること

初心者
公開済 Aug 27, 2025更新済 Aug 29, 2025
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要点

  • ビットコインの総供給量は、2,100万に設定されています。

  • 2025年8月時点で、1,991万 BTC(総供給量の94.8%)がすでにマイニングされています。

  • 現時点のブロック報酬に基づき、10分ごとに約3.125 BTCの割合で新規ビットコインがマイニングされています。

  • 2140年頃に最後のビットコインがマイニングされることになり、これ以降マイナーには報酬としての新規BTCが発行されなくなります。代わり、マイナーはマイニングコストを賄いネットワークを維持するに当たり、トランザクション手数料に完全に依存することとなります。

  • ブロックチェーン分析企業は、現時点のビットコイン循環供給量の最大20%が、失われるもしくはアクセスできなくなると予測しています。

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はじめに

ビットコインにおける最も厳格な金融ポリシーの1つに、供給量のハードキャップが挙げられます。つまりこの世に存在できるのは、2,100万ビットコインのみとなります。こうした希少性は、価値の保存の観点からビットコインが金と同列に挙げられる主な理由の1つとなっています。一方、総供給量の上限に到達した場合、何が起こるのでしょうか?新規のビットコインが作成されなくなった時点で、マイニング、セキュリティ、トランザクションはどのように機能するのでしょうか?以下で詳しく見ていきます。

ビットコインの総供給量上限

ビットコインの作成者であるサトシ・ナカモトは当初、最大供給量を2,100万ビットコインに固定しました。従来型通貨で見られるインフレの影響を受けないシステムを目指したのです。貨幣を無限に印刷できる中央銀行とは異なり、ビットコインでは厳格な総供給量上限を設定しています。総供給量上限の設定により、2,100万ビットコインを超えてビットコインが作成されることはないため、インフレ耐性が備わります。

これまでにマイニングされたビットコインの数量

2025年8月時点で、約1,991万ビットコインがすでにマイニングされています。ビットコインのマイニングプロセスは2009年に開始された一方、新規のBTCの発行速度は、定期的な半減期イベント(ブロック報酬が半分となるタイミング)により4年ごとに減速しています。マイニング可能な残りのビットコインはわずか100万枚強であり、半減期を踏まえると、最後のBTCがマイニングされるのは2140年頃であると予測されています。

マイニングコンピューターがより強力になった場合

サトシ・ナカモトは、ビットコインプロトコルにおいて平均10分ごとに1ブロックがマイニングされる仕組みを構築しました。マイナーがより強力なマイニングコンピューターを使用した場合(または同ネットワークの参加者が増加した場合)、ビットコインのハッシュレートが上昇し、プロトコルが採掘難易度を上げることにより自動的に調整を行います。マイナーが同ネットワークを離脱すると、ハッシュレートが下降し、同プロトコルにおける採掘難易度が相対的に下がります。このように、同プロトコルでは合計ハッシュレートにかかわらず採掘難易度が自動的に調整されることにより、ビットコインブロックが約10分ごとにマイニングされる仕組みとなっています。

1ビットコインのマイニングに要する時間

現時点で、マイナーは10分ごとに約3.125ビットコインのブロック報酬を獲得しています。つまり、同ネットワーク全体では、平均で毎分0.3125ビットコインがマイニングされています。言い換えると、世界中のマイニング活動を集約した場合、約3.2分ごとに1ビットコインが生成されていることになります。

循環供給中のビットコイン数量

現時点で循環供給中のビットコイン数量は、理論上、マイニング済みの総数量である約1,991万枚と一致します。一方、実際にはこの相当数が失われています。あるアナリストの推定によると、秘密鍵の紛失、ハードドライブの廃棄、暗号資産ウォレットの放置を理由に、マイニング済みの全ビットコインの最大20%が失われているとされます。つまり、実際に使用できる供給量は上記の数量よりも少なく、理論値が示す以上にビットコインの数は希少性は高いと言えます。

すべてのBTCがマイニングされた場合のマイニング手数料

最後のビットコインがマイニングされると、以降ブロック報酬は獲得できなくなります。マイナーは、収益を獲得するためにトランザクション手数料に完全に依存することになります、同手数料は、ユーザーがビットコインを送信するごとに支払われ、マイナーがネットワーク保護を行うインセンティブとして十分に高額である必要があります。

想定できる結果として、以下などが挙げられます。

  • トランザクション手数料の高騰:マイナーがより高い対価を求める場合、ユーザーのBTCの移動に高額なコストがかかるようになる可能性があります。

  • スケーリングソリューションへの依存度上昇:ライトニングネットワーク(Lightning Network)などのネットワークは混雑をより緩和することで、手数料は負担に耐える水準になる可能性があります。

  • マイニングの統合:手数料が十分ではない場合、一部のマイナーが休業することも想定されます。可能性は低いものの、大規模な休業が発生した場合、ネットワークセキュリティに関する懸念につながり得ると言えます。

一方、ビットコインにはこれまでの適応実績があるため、マイナーのインセンティブとユーザーのコストのバランスを取るためのソリューションが新しく登場する可能性があります。

まとめ

2140年まで時間の猶予は十分にあるものの、ビットコインの新規発行の終了は単なる理論上のマイルストーンではありません。これにより、現時点で付与されているブロック報酬ではなく、マイナーが手数料のみに依存することになるネットワークの動作がテストされることとなります。こうした移行は、トランザクションコストとマイニング経済の再構築につながる可能性があります。

同時に、ビットコインのハードキャップ(供給量の絶対上限)は、同暗号資産をユニークにしているものの1つとなっています。供給量が固定されているからこそ、希少性が高く分散型資産として価値を持ちます。手数料の上昇、スケール性の向上、新たなインセンティブの開発が今後見られることが想定されるものの、これまで同暗号資産を支えてきたものと同一の性質、すなわち適応性、革新性、信頼性がビットコインの将来を引き続き形成することになると言えます。

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