ラスパイレス指数
ラスパイレス指数は、経済学において用いられる指数であり、財・サービスから成るバスケットの価格変動の追跡に用いられます。経時的な価格上昇または価格下落についての理解が深まり、
インフレまたはデフレに関する見通しを立てるのに役立ちます。ラスパイレス指数は、生活費を追跡する消費者物価指数(
CPI)の計算においてよく用いられています。
ラスパイレス指数は、基準期間(指定の開始時間)における一連の財・サービスを使用して計算されます。財・サービスの数量および価格は、基準期間に記録されたものが用いられます。続いて、以降の期間における財・サービスを同数量かつその時点の価格で比較します。
計算式
ラスパイレス指数の計算式は、以下の通りです。
ラスパイレス指数 = ∑(Pt⋅Q0) ÷ ∑(P0⋅Q0) × 100
この計算式における∑は、継続する期間の財・サービスの合計を示します。
Ptは、当期における財・サービスの価格を示します。
P0は、基準期間における財・サービスの価格を示します。
Q0は、基準期間における財・サービスの数量を示します。
解釈
ラスパイレス指数が100を上回る場合、財・サービスから成るバスケットの価格は基準期間と比較して上昇していると判断できます。
ラスパイレス指数が100を下回る場合、財・サービスから成るバスケットの価格は基準期間と比較して下落していると判断できます。
ラスパイレス指数が100である場合、財・サービスから成るバスケットの価格は基準期間と同一であると判断できます。
例
ここでは、リンゴとパンの2種類の商品を例に挙げて解説していきます。
基準期間における商品の数量と価格が以下の通りであると仮定します。
当期時点で、同価格は以下の通り変動しています。
リンゴ10個、各1.5米ドル
パン5斤、各2.5米ドル
次に、基準期間と当期におけるバスケットの価格を計算します。
基準期間の価格 = (10 × 1) + (5 × 2) = 10 + 10 = 20
当期の価格 = (10 × 1.50) + (5 × 2.50) = 15 + 12.5 = 27.5
続いて、ラスパイレス指数の計算を行います。
ラスパイレス指数 = (27.5 ÷ 20) × 100 = 137.5
この例では、ラスパイレス指数が137.5であるため、商品バスケットの価格が基準期間と比較して37.5%上昇していると判断できます。
ラスパイレス指数は一般的に日常の財・サービスに用いられるものの、
暗号資産市場にも適用できます。暗号資産は価値変動型のデジタル資産であるため、その価格変動の経時的な追跡が不可欠です。
暗号資産市場への適用
暗号資産市場におけるラスパイレス指数の計算にあたり、幅広い暗号資産を組み合わせてバスケットを作成します。例えば、
Bitcoin(BTC)、
Ether(ETH)、
Solana(SOL)の組み合わせからバスケットを作成します。次に、基準期間における数量と価格を記録します。その後、当初の数量(基準期間において記録したもの)を同一に保ちながら、価格を更新します。
メリット
暗号資産市場でのラスパイレス指数の活用により、投資家における暗号資産の組み合わせの全体的な価格変動についての理解が深まります。同指数により、価格変動が保有暗号資産に与える複合的な影響が分かることから、暗号資産ポートフォリオの
分散管理に役立ちます。
ラスパイレス指数の計算では、財・サービスの数量を一定に保ち、その価格のみを更新するため、インフレまたはデフレに関する見通しを立てられます。同指数は、一般的に日常の財・サービスに用いられるものの、暗号資産に関する価格変動にも適用できるものとなっています。