要点
価格の下落を意味するデフレにより、購買力が増加する可能性があります。これにより、財・サービスの価格が下がり、貯蓄率が高まることが見込まれます。
デフレは良い状態であるとみなされることが多いものの、デフレが継続すると経済に悪影響が及ぶおそれがあります。また、デフレを上手く制御できない場合、失業率の上昇と経済成長の鈍化につながる可能性があります。
デフレの概要
デフレとは、経済における財・サービス価格の下落を指します。実際には、デフレにより財・サービスを安く購入できるようになるため、良い状態であるとみなされることが多くなっています。一方、場合によっては、経済に悪影響を及ぼすおそれもあります。
これまでにデフレが問題となった例は、極めて少ないと言えます。概して、金融システムはデフレよりインフレの影響を受けやすいものとなっています。この点を踏まえた上で、お住まいの国で継続的なデフレに直面した場合に備え、その悪影響についての知識を深めておくとよいでしょう。
この記事では、デフレの一般的な原因と潜在的な影響について解説していきます。
デフレの一般的な原因
総需要の減少
総需要は、財・サービスの広範な需要を表しています。個人および企業の消費が少なくなると需要が減少し、価格の下落につながります。
供給過剰
企業の生産量が個人の購入希望数量を超える場合、供給過剰により価格の下落につながる場合があります。例えば、生産を低価格化かつ効率化する新技術の登場により、供給過剰となる可能性があります。
通貨高
通貨高になると、より多くの外国製品を購入できるようになるため、輸入品価格および国内製品の価格の下落につながります。また、通貨高により輸出品が他国にとって高価となるため、輸出品・サービスの需要が減少する可能性があります。
デフレとインフレの比較
デフレとインフレは両方とも一般的なモノの価格変動に関連しているものの、その原因、経済にもたらす結果と影響は異なります。
定義
デフレは一般的な財・サービスの価格の下落を指す一方、インフレは同価格の上昇を指します。つまり、デフレにより購買力が増加し、インフレはその逆となります。
デフレ・インフレの原因
以上から、デフレは総需要の減少、供給過剰、新技術の登場により引き起こされる可能性があります。
反対に、インフレは総需要の増加、生産コストの上昇、金融緩和政策により引き起こされる可能性があります。実際には、多くの場合デフレ・インフレには複数の要因が絡んでいます。
デフレ・インフレの影響
デフレ期間中、価格の緩やかな下落とその地域の通貨の上昇により、消費者は貯蓄を増やし消費を控えるようになります。こうした需要の減少により、最終的に経済の停滞と失業率の上昇につながる可能性があります。
一方、インフレにより貨幣価値が低下し、経済的な不透明感が強まることから、物価高騰前の消費が促されます。
デフレへの対処方法
通常はインフレが問題となることが多いものの、インフレとデフレの両方により問題が生じる可能性があります。日本は、長期的に財・サービスの価格が下落するデフレを経験した国の例として挙げられます。中央銀行は通常、活発な経済を維持するために、年間インフレ率の引き下げ(通常は2%)を目指しています。
政府および中央銀行はデフレへの対処を目的に、財政政策と金融政策を実施します。
金融政策
中央銀行は、借入と支出の促進を目的に、金利を引き下げます。金利の引き下げにより、企業と消費者が融資を組む際のコストが低下することから、景気の刺激となることが期待されます。他の方法として、マネーサプライを増加して支出を推進する量的緩和(QE)が挙げられます。
財政政策
財政政策の一環として、歳出の増加により経済における需要の拡大が図られます。また、減税により消費者および企業の可処分所得を増加させ、支出と投資の促進を目指したりもします。
デフレのメリット
物価の安さ:デフレ期間中、貨幣の価値が上昇するとともに商品価格が下がり、生活の質が高まります。
企業コストの低下:企業は、生産に必要な原材料コストの低下によるメリットを受けられます。
貯蓄の増加:貨幣の価値が上昇すると、資金を支出よりも貯蓄に回す傾向が強まります。
デフレのデメリット
買い控え:デフレにより消費者が消費を控えることにより、財・サービスの価格がさらに下落します。これにより、財・サービスの需要が減少し、経済成長の鈍化につながるおそれがあります。
負債の増加:デフレ期間中は負債の価値が上昇する傾向があり、借り手がローンを返済する際の負担が重くなります。
失業率の上昇:企業は、大量の一時解雇を行いコストを削減することで個人消費の冷え込みに対応することが多くなります。
まとめ
デフレとは、一般的な物価水準の低下を指します。デフレにより商品価格が安くなり貯蓄が増加する一方、個人消費の冷え込み、負債の増加、失業率の上昇につながる可能性があります。
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