BASE(Coinbaseレイヤー2ネットワーク)とは
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BASE(Coinbaseレイヤー2ネットワーク)とは

BASE(Coinbaseレイヤー2ネットワーク)とは

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公開済 Sep 7, 2023更新済 Dec 1, 2023
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概要

  • Baseは、CoinbaseがOptimismと共同で開発したEthereum L2ソリューションです。オンチェーンアプリケーションを構築する際に、安全でコスト効率が高く開発者に優しい環境が提供されています。

  • Baseは、すべてのEVMウォレットおよびCoinbaseウォレットと互換性があります。

  • Baseには、決済アプリ、トークンのスワップ、流動性の提供、トークンのブリッジング、DAOの立ち上げなど、多様な活用事例があります。

Baseとは

Baseは、米国に本社を置く暗号資産取引所Coinbaseによって2023年8月9日に正式にリリースされたEthereumレイヤー2(L2)ブロックチェーンです。Baseは、上場企業によって立ち上げられた最初のブロックチェーンとして暗号資産コミュニティから注目を集めました。

Baseは、Ethereum L2ブロックチェーンであるOptimismとの提携により、OPスタック上で開発されました。OPスタックとは、Optimismの基盤となる標準化されたオープンソースの開発スタックです。Coinbaseでは、1億1000万人の認証済みユーザーと800億ドル以上の預入資産を抱えています。開発者は、Base上で、Coinbaseのこのエコシステム向けに分散型アプリ(DApps)を構築できます。

Baseのでは、開発者のコミュニティによって支えられるOptimismにより、Optimismのソリューションであるsuperchainを構築することをビジョンとして掲げています。現在のところ、Baseの新しいネットワークトークンを発行する予定はないと公式発表しています。偽のBaseトークンを提供する詐欺師に騙されないよう、細心の注意を払う必要があります。

レイヤー2とは

レイヤー2ブロックチェーンは、Ethereumのような既存のブロックチェーンネットワーク(レイヤー1)の上に構築された二次プロトコルやフレームワークを表すために使用される用語です。レイヤー2ソリューションの主な目的は、基盤となるレイヤー1ブロックチェーンのセキュリティや分散性を損なうことなく、スケーラビリティ、トランザクション処理能力、効率性を向上させることです。

レイヤー2ブロックチェーン技術には、ステートチャンネル(Bitcoinのライトニングネットワーク、Ethereumのライデンットワーク)、サイドチェーン(Bitcoinの流動性ネットワーク、Ethereumのルームネットワーク)、ロールアップ(Optimistic rollups、ZK-rollups)など、複数の種類があります。

最も広く使用されているレイヤー2ブロックチェーンネットワークには、Optimism、Polygon、zkSync、Arbitrumなどがあります。

Optimismとは

OptimismはEthereumネットワーク上に構築されたレイヤー2ブロックチェーンソリューションで、スケーラビリティ、トランザクション処理能力の向上、手数料削減を目指しています。OptimismはOptimistic Rollupsと呼ばれる技術を活用し、複数のオフチェーントランザクションが単一のオンチェーンデータに集約され、メインのEthereumチェーンに送信されます。

Optimismは詐欺防止システムを利用しており、集約されたすべてのロールアップトランザクションがもともと正当なものであると仮定します。ユーザーはこれらのトランザクションに異議を唱え、指定された期限内に不正の可能性がある証拠を提出できます。この期間中に不正行為が検出された場合、悪意のあるユーザーはペナルティを受け、トランザクションはロールバックされます。

Baseのユースケース

他のレイヤー2ネットワークと同様、Baseは様々なユースケースに利用できます。以下にBase上で構築されたアプリケーションをいくつか紹介します。

1. 決済アプリ

Beamは、ステーブルコインのUSDCまたはアプリのネイティブトークンであるEcoを使用する決済アプリです。ユーザーはX(旧Twitter)アカウントを使ってサインインし、USDCまたはEcoでガス手数料を支払います。さらにBeamは、法定通貨と暗号通貨間での交換機能も内蔵しています。

2. トークンスワップ

分散型取引所(DEX)でのトークンスワップにより、Baseのユーザーはさまざまな暗号資産を取引できます。現在、Uniswap、Maverick、Dackieswapなどの分散型取引所がBase上で稼働しています。

3. 流動性の供給

ユーザーはUniswap、BaseSwap、Dackieswapといった様々なDAppsを通じてBaseブロックチェーン上で流動性を供給できます。これらのDAppsを利用し、流動性プロバイダーは流動性プールでのトランザクション(取引)から手数料を獲得できます。

4. ブリッジング

Baseは、MetaMaskやCoinbase Walletなどの大半のEthereumウォレットと互換性のある公式ブリッジ、「Base Bridge」を開発しました。BaseとEthereum間で、ERC-20トークンをブリッジできます。

EthereumからBaseへのブリッジには通常数分かかり、BaseからEthereumへのブリッジにはおよそ7日かかります。

5. DAOの設立

分散型自律組織(DAO)は、コミュニティ主導による意思決定とスマートコントラクトによる運営を特徴とするブロックチェーンベースの組織です。DAOを作成するためのプロトコルであるAragonは、Baseネットワーク上にノーコードDAppを導入し、DAO作成手続きを簡素化しました。

BASEトークンの開発予定

Baseのロードマップと公式X(Twitter)の経歴によると、将来的にネットワークトークンを発行する予定はないとのことです。

ただし、プロジェクトは当初エアドロップの計画がないと主張するものの、将来において予告なしのエアドロップを実施する場合があります。通常ネットワークに貢献しコミュニティを育成した初期の支援者に報いるため、こうした当初予定にないエアドロップが行われます。

Baseネットワークへの接続とテストネットの利用方法

Baseネットワークへの接続は非常に簡単で、CoinbaseウォレットやEVMと互換性のあるウォレットで行えます。

1. CoinbaseウォレットでBaseに接続

以下の手順で、CoinbaseウォレットでBaseを利用できます:

1. Coinbaseウォレットブラウザ拡張機能を起動し、アカウントにサインインします。

2. Coinbaseウォレットを使用してアプリケーションに接続します(この例ではBaseSwapを使用します)。

3. 右上のネットワークマークをクリックし、ネットワーク選択メニューにアクセスします。

4. 一覧からBaseを選択します。

5. 有効なネットワークがBaseに設定されます。

2. MetaMaskでBaseに接続

各種EVMウォレットでも、Baseに接続できます。例としてMetaMaskウォレットでBaseネットワークに接続する方法を見てみましょう。

1. MetaMaskブラウザ拡張を起動します。

2. 拡張機能の上部にあるドロップダウンボタンをクリックし、ネットワーク選択ドロップダウンメニューを開きします。

3. [ネットワークの追加] ボタンを選択します。

4. [ネットワークを手動で追加] を選択します。

5.「ネットワークを手動で追加」ダイアログボックスで、Base Goerli テストネットの以下の詳細を入力し、保存をクリックします。

6. これで、ネットワーク選択ドロップダウンからBaseネットワークに接続できるようになります。

Baseネットワークの長所

Baseネットワークの主なメリットは、以下の通りです。

1. 低コスト

他のオプティミスティック・ロールアップと同様、Baseはトランザクションコストを大幅に削減し、トランザクション処理能力を向上させるために設計された低ガス手数料を特徴としています。これはトランザクションをオフチェーンで処理し、単一の証明に統合することで実現しています。

2. アクセシビリティ

BaseのようなEVM互換チェーンは、開発者が既存のEthereumベースのツール、フレームワーク、スマートコントラクトを複数のプラットフォームに容易に導入・活用できるため、アクセシビリティが向上します。

3. スケーラビリティ

レイヤー2のスケーラビリティにより、ブロックチェーンネットワークの容量とトランザクション処理能力を向上し、大きなメリットをもたらします。この改善により、ボトルネックに対処し非効率性を低減され、最終的にはユーザーと開発者により迅速で費用対効果の高いソリューションを提供することになります。

Base Networkの短所

Baseに関連する主な制約と懸念は、以下の通りです。

1. 集中化

Baseに関する主な懸念事項の一つは、中央集権化の度合いです。CoinbaseはBase上で唯一のシーケンサーノードとして機能しており、かなりのトランザクションを管理しています。シーケンサーノードとは、トランザクションの処理能力を向上させるため、トランザクションの順序付けと最終処理を行うブロックチェーンネットワークの専門ノードを意味します。

単一のシーケンサーノードを持つことで、トランザクションの処理と順序付けのパワーが1か所に集中化されます。さらに、この集中化された機関には、Coinbase Sequencerに関連する手数料を設定および変更する権限があります。Coinbaseは、将来的にサードパーティーノードを統合する可能性を示唆しています。

2. 出金待機期間

Baseブロックチェーンの主な制約の一つに、出金までに約7日間かかることがあります。この遅れは、Optimismの詐欺防止システムの設計によるものです。この期間は、潜在的なトランザクション不正の証拠を提出するための期間として指定されています。

出金待機期間が長いことは、利用者にとって好ましくないものとなる場合があります。

3. セキュリティ

OPスタック上に構築されたレイヤー2として、Baseは様々なセキュリティリスクに直面しています。最初の懸念は、セキュリティ対策としての詐欺防止メカニズムの有効性に関するものです。詐欺防止メカニズムは、無効なオフチェーントランザクションがメインブロックチェーン上の承認前に、ネットワーク参加者がそれを監視し、異議申し立てを行うことを前提にしています。

しかし、このメカニズムは、参加者の報酬インセンティブの問題やデータ隠蔽攻撃に対する脆弱性など、さまざまな課題に直面しています。

まとめ 

Baseはローンチ以来、大きな関心を集めています。2023年9月7日現在、累計100万人以上のユーザーと3億8,500万ドル以上のTotal Value Locked(TVL)を達成しています。この成果は驚くべきものと言え、BaseはTVLにおいて、CardanoSolanaといった人気のブロックチェーンを抜いて第8位にランクインしました。

上場企業によって立ち上げられた最初のブロックチェーンとして、Baseはより多くの人々を惹きつけ、より多くのユーザーをWeb3の世界に引き込む新たな可能性を秘めています。プラットフォームが成長し進化し続ける中、Baseの利用に当たり、ユーザーと開発者には十分な情報に基づいた評価と意思決定が必要です。

参考文献

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