要点
Calderaは、わずか数クリックでアプリ特化型のロールアップをローンチできるRollup-as-a-Service(RaaS)プラットフォームである。
このプラットフォームは、ロールアップの作成・管理を行うRollup Engine(ロールアップエンジン)と、ロールアップ同士を接続してクロスチェーン通信を実現するMetalayer(メタレイヤー)の二つの部分で構成されている。
Calderaでローンチされたロールアップは自動的に接続され、相互に通信、流動性の共有、資産の移動が容易に行える。
はじめに
ネットワークが混雑すると、イーサリアム上での開発は困難になります。利用者が増えると、トランザクションの処理に時間がかかり、手数料も高くなります。ロールアップではメインチェーンから処理を移すことで混雑を軽減するものの、多くは個別に動作しているため、異なるチェーン間でデータや資産を移動させるのは容易ではありません。
Calderaは、わずか数分で独自のロールアップをローンチできるサービスです。アプリに特化して設計されており、自動的に他のチェーンとも接続されます。その結果、トランザクションの高速化、コストの削減、ユーザーや開発者にとっての使い勝手が向上します。
カルデラとは
Calderaは、Rollup-as-a-Service(RaaS)プラットフォームで、開発者が自分のアプリのニーズに特化したロールアップをローンチできるサービスです。ゼロから開発する代わりに、Calderaのツールを使って、分散型金融(DeFi)、ゲーミング、非代替性トークン(NFT)、ソーシャルプラットフォームなどのユースケースに合わせた、高速かつ柔軟なロールアップを短期間でローンチできます。
ロールアップエンジン
Calderaの中核をなすのが、ロールアップエンジンです。わずか数クリックでアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を呼び出してカスタムロールアップをローンチおよび管理できる、強力な導入システムです。Amazon Web Services(AWS)がクラウド上で提供する、ウェブアプリケーション運用サービスの仕組みに似ています。ロールアップエンジンが複雑な処理を代行するため、ブロックチェーンの専門知識を持たない開発者でも細かい技術的な問題に悩まされることなく、すぐに始められます。
メタレイヤー
メタレイヤーは、すべてのCalderaロールアップを結びつけ、相互通信、流動性共有、セキュアなメッセージのやり取りを実現する、目に見えないネットワークです。各ロールアップは孤立した存在ではなく、アプリはチェーン間で相互に通信でき、ユーザーはトークンやNFTなどの資産をシームレスに移動させられます。
ロールアップエンジンとメタレイヤーを組み合わせることで、共有エコシステムの利点を損なうことなく、柔軟なアプリケーション特化型チェーンを開発できます。
カルデラの仕組み
1. ロールアップをローンチ
開発者は、ロールアップエンジンを使ってロールアップの設定を選択します。
実行レイヤー:Arbitrum NitroやOptimism Bedrockなどのオプティミスティックロールアップの人気フレームワーク、またはzkSyncのZK StackやPolygon CDKなどのゼロ知識証明(ZK)ソリューションから選択可能。
カスタマイズ:パフォーマンス設定の調整、ソフトウェアアップグレードの実行、計算リソースをオンデマンドで拡張可能。
2. メタレイヤーへの即時接続
ロールアップを展開すると、自動的にメタレイヤーに接続され、以下の機能が利用可能になります。
インテントベースのブリッジ:USDCなどのステーブルコインをロールアップ間で移動させたい場合、システムは最も速く、最も安価な方法を自動的に検索する。これは、Across(クロスチェーンブリッジ)、Eco(効率的なトランザクションルーティングのプロトコル)、Hyperlaneといったブリッジパートナーによって実現される。
高速決済:メッセージングレイヤーはHyperlaneによって処理され、転送やクロスチェーン通信は数秒で完了する。
開発者向けツール:CalderaはAPI、SDK、すぐに利用可能なUIコンポーネントを用意し、カスタムブリッジングロジックを記述せずにクロスチェーンアプリを構築できる。
3. オンデマンドでの拡張
Calderaのモジュラーアーキテクチャにより、次のことを実現できます。
新しいロールアップのローンチ:DeFiアプリは高頻度トレーダー向けに専用のロールアップを起動でき、ゲームプラットフォームはさまざまなゲームの世界や地域に特化したロールアップをローンチできる。
ダウンタイムのないアップグレード:ユーザー体験を損なうことなく、新機能の追加や異なるデータ可用性レイヤーとの統合などのプロトコルのアップグレードを展開できる。
計算リソースの拡張:NFTドロップや大規模なゲーム内イベントなどで需要が増加した場合でも、パフォーマンスを維持するために演算処理能力を増強できる。
エコシステムの概要
Calderaネットワークは、DeFi、ゲーム、ソーシャルアプリ、インフラプロトコルなど多様なユースケースを持つ、50以上の活発なロールアップから構成され、発展し続けています。
Caldera上に構築された注目すべきチェーンをいくつか紹介します。
Manta Pacific:ZK(ゼロ知識)アプリケーションに特化したモジュラー型レイヤー2。
ApeChain:ApeCoinエコシステム向けに設計され、高速かつ低コストでNFTやゲームのトランザクションを実現。
InjectiveのinEVM:InjectiveエコシステムでEVM互換性を実現するロールアップ。
ERAトークン
ERAトークンは、Calderaエコシステムのネイティブユーティリティトークンであり、以下のさまざまな目的で使用されます。
ガス代:メタレイヤー上でのロールアップ間のやり取りに必要なトランザクション手数料の支払いにERAが使用される。
ステーキングとネットワークセキュリティ:バリデーターはERAをステーキングしてネットワークのセキュリティを強化するとともに、ロールアップ間のメッセージを検証し、ゼロ知識証明の生成などに関与する将来的なサブネットを支援する。
ガバナンス:ERA保有者はプロトコルの変更提案や投票、資金の付与、セキュリティ評議会などの役職メンバーの選出に参加できる。なお、初期のガバナンスはCaldera財団によって開始されるが、長期的にはオンチェーンのコミュニティ投票へと移行していく予定である。
Caldera(ERA)のバイナンスHODLerエアドロップ
2025年7月16日、バイナンスはバイナンスHODLerエアドロッププログラムの27番目のプロジェクトとしてERAを発表しました。7月1日~5日の対象期間中にSimple Earn商品またはオンチェーン・イールド商品にBNBを預けたユーザーを対象に、ERAエアドロップが配布されました。このプログラムでは、トークン供給全体の2%に相当する合計2,000万ERAトークンが割り当てられました。
ERAは、シードタグ付きで上場しており、USDT、USDC、BNB、FDUSD、TRYとのペアで取引できます。
まとめ
Calderaは、クロスチェーン接続を可能にするカスタムロールアップ機能を備えたモジュラープラットフォームで、ブロックチェーンアプリケーションを容易に構築・拡張できます。Calderaでは、ロールアップエンジンがアプリの展開(デプロイ)を自動で行い、メタレイヤーがチェーン間の通信を可能にします。これらの機能により、オンチェーンアプリの開発がより迅速でスムーズかつ柔軟に行えるようになります。
関連記事
免責事項:このコンテンツは、一般的な情報および学習機会の提供目的でのみ「現状有姿」で提供するもので、いかなる種類の表明または保証もありません。投資、法律、またはその他の専門的なアドバイスとして解釈されるべきではなく、特定のプロダクトやサービスの購入を推奨するものでもありません。適切な専門アドバイザーから独自のアドバイスを求める必要があります。こちらで紹介しているプロダクトは、お住まいの地域ではご利用いただけない場合があります。記事が第三者の貢献者によって寄稿されたものである場合、表明された見解は第三者の貢献者に属し、必ずしもバイナンスアカデミーの見解を反映するものではありません。詳細は、免責事項全文をお読みください。デジタル資産価格は、大幅に変動する可能性があります。投資価値が上下する可能性があり、投資した金額を取り戻すことができない場合があります。投資決定についてはお客様が単独で責任を負い、バイナンスアカデミーはお客様が被る可能性のある損失について責任を負いません。この資料は、投資、法律、またはその他の専門的なアドバイスとして解釈されるべきではありません。詳細は、利用規約およびリスクに関する警告をご参照ください。