免責事項:この記事は、学習目的でみを提供しています。バイナンスアカデミーで提供する情報は、投資や取引に関するアドバイスや推奨ではありません。バイナンスは、お客様のいかなる投資決定に対しても責任を負いません。資金面でのリスクを取る前に、自己責任による慎重な調査を行い、専門家からの助言を受けてください。
要点
ZKsyncは、ゼロ知識ロールアップ(ZKロールアップ)とゼロ知識証明(ZKP)を採用し、Ethereum上のトランザクションをより安く高速化するレイヤー2スケーリングソリューションです。
ZKsyncエアドロップでは、ZKsyncエコシステムへの積極的なネットワーク参加者と貢献者を中心に、総供給量の17.5%のトークンが配布されました。
ZKPの採用により、ZKsyncではオプティミスティック・ロールアップに比べセキュリティの向上および決済時間の短縮が実現しています。
はじめに
スケーラビリティは、ブロックチェーン技術の重要な課題の1つとなっています。ブロックチェーンにおいては、増加し続ける複数の同時トランザクションを実行するネットワークの対応能力を指します。保留中のトランザクションのバックログがトランザクションに追加されるにつれ、ネットワークの処理速度が低下し、手数料が高くなることが主な課題となっています。
ゼロ知識ソリューションは、スケーラビリティの問題に対する有望な解決策を提供するものです。この記事では、ZKsyncスケーリングソリューションについてとその仕組み、オプティミスティック・ロールアップとの相違点、そしてメリットについて説明します。また、ZKトークンの使用方法とエアドロップについても取り上げます。
ZKsyncとは
ZKsyncは、Ethereum上のトランザクションをメインのEthereumチェーンから切り離して処理することで、手数料の低減および高速化を目指して開発されたレイヤー2スケーリングソリューションです。ゼロ知識ロールアップ(ZKロールアップ)を採用することで、これを実現しています。ZKロールアップとは、複数のトランザクションをまとめてオフチェーン上で処理する手法です。
レイヤー2のソリューションを、混雑する高速道路での車線の拡幅に例えて説明するとわかりやすくなります。車(トランザクション)が走れるスペースを増やすことで、高速道路(Ethereum)全体の渋滞が緩和されます。拡幅により設けられた車線は、ZKsyncがZKロールアップで行うオフチェーン上のトランザクション処理に該当します。
ZKsyncの仕組み
1. トランザクションの集約
まず、ZKロールアップを使用してオフチェーントランザクションを収集し、バッチにまとめることからはじまります。ZKsyncでは、メインのEthereumチェーンの負荷を軽減するために、個別に処理せず一括処理します。
郵便局で例えるなら、それぞれの手紙を特定の住所に個別に郵送する代わりに、最初に手紙を収集してグループ分けした上でまとめて配達することにより配送処理効率を高めているの同様です。
2. ゼロ知識証明の適用
次に、ZKsyncはゼロ知識証明(ZKP)を作成し、まとめられたバッチを検証します。ZKPにより、その詳細は非公開のままバッチ内のトランザクションの有効性を検証できます。
ZKPとは、実際にパスワードを開示することなく、それが正しいことを証明する方法といえます。例として、パスワードを知っていることを証明する際、パスワードそのものを明かして答え合わせするのではなく、パスワードを知っている人だけが知り得る特定の質問に答えることで証明できます。
3. Ethereumメインネットへの証明を提出
これらのZKPはEthereumメインネットに送信され、綿密にチェックされます。検証され承認されると、トランザクションはEthereumブロックチェーン上で正式に記録および確定されます。
ZKトークン
ZKトークンは、ZKsyncガバナンスシステムでの投票権として機能し、意思決定プロセスに参加できるようになるものです。委任形式で投票権を行使することもできます。実際にその仕組みを見てみましょう。
ZKトークンの投票権を有効にするには、ZKsyncアドレスに委任する必要がある。委任先のアドレスは、自分自身でも他の誰かでも構わない。
そのアドレスの管理者は、ガバナンス提案に投票できる受任者になる。
委任してもトークンの所有権は変わらないが、委任先のアドレスの投票権が有効になる。
トークン所有者は受任者をいつでも変更でき、受任者は変更されるかトークンの所有権が他に移動されるまで維持される。
委任先を複数のアドレスに分けることはできない。1つのウォレットに保持されているすべての投票権は、単一のアドレスに委任される。
ZKトークンは、2024年6月17日にシードタグ分類にてバイナンスに上場しました。詳細は、公式上場発表をご覧ください。
ZKsyncエアドロップ
ZKトークンのエアドロップでは、総供給量の17.5%が対象ウォレットに配布され、ユーザーと貢献者に割り当てられました。
利用度によるエアドロップ
エアドロップ対象は、ZKsync Eraに資金をブリッジし、次の7つの基準のうち1つ以上を満たした参加者となりました:
ZKsyncネットワーク上で最低10の非トークンスマートコントラクトとのやり取り。
ZKsync Eraで5回以上のトランザクションにPaymastersを利用。Paymastersは、他のアカウントのトランザクション手数料をカバーする特別なアカウントで、特定のトランザクションが無料になる場合がある。
ZKsync Era上の分散型取引所(DEX)で10種類以上のERC-20トークンを取引。
トラッキング対象のDEXやZKsync Eraのレンディングおよび貸出プロトコルを利用し、流動性(規模問わず)を提供。
ZKsync Eraメインネット以前のZKsync Liteで3ヶ月以上のアクティビティを継続。
ZKsync Liteで開催されるラウンドを通じGitcoinに寄付。
ZKsyncエアドロップの割り当て
ZKsyncによると、割り当ては複数の手順によるバリュースケーリング式に基づいて行われました:
1. まず、各アドレスの日毎の暗号資産保有残高を確定。これには、ウォレット残高と分散型金融(DeFi)プロトコルに送信された暗号資産の両方が含まれる。
2. 次に、DeFiプロトコル上の暗号資産を額面価値2倍で評価。例えば、DeFiプロトコルで$100相当の暗号資産を保有していた場合、$200ドルとして計上。
3. 最後に、日毎の残高を合計し、スナップショット期間(366日)で割り、1日あたりの時間加重平均残高を算出。
例えば、スナップショットの30日前に$200相当の暗号資産をZKsync Eraに送信し、すぐにその1/4($50)をDeFiプロトコルに預け、残りの$150はスナップショットまでウォレットに保管したものとします。この場合の1日あたりの時間加重平均残高(TWAB)は次の通り計算されます。
TWAB=(($150×30日)+($50×2×30日))÷366日=$20.50
各入庫先アドレスには、実際のユーザーの利用状況やZKsyncへの貢献をとなる特定のアクティビティに基づき、割り当てに対して追加で倍率係数が適用されました。ここでは、倍率係数適用対象となったアクティビティをいくつか紹介します。
1. スナップショット時点で、Dudiez、Hue、Moody Mights、Webears、ZKPENGZ、zkSkulls、zkVeggiesのいずれかのZKsyncネイティブNFTコレクション1つ以上を保持。
2. ARB / OP / ENSエアドロップ請求後、90日間渡りエアドロップでの受領数量の50%以上を保持。
貢献度によるエアドロップ
ZKトークンのエアドロップには、ZKsyncエコシステムへの各種貢献者への特別な割り当てが用意されました。以下は貢献度によるエアドロップの詳細です:
1. ZKsyncネイティブプロジェクト:DeFiプロトコル、ゲーム、ZKチェーン、NFTコレクション、インフラストラクチャーなど、ZKsync Eraを基盤とするネイティブプロジェクトの貢献者とトレジャリー(プロジェクト基金)に対し、215,250,000 ZKトークンを直接割り当て。
2. ビルダー:開発、アドボカシー(提唱者、不急への貢献者)、啓蒙を通じてZKsyncエコシステムに貢献した個人、開発者、研究者、コミュニティ、企業に対し、86,895,375トークンを割り当て。
GitHub開発者:2024年3月24日までに対象となるリポジトリで25以上のコミットがあった開発者。
Protocol Guild:Ethereumの研究者と開発者。
ZKクエスト参加者:Istanbul Devconnect 2023またはETH Denver 2024でのZKクエスト開発者アクティベーションイベントへの参加者。
その他多数。
3. オンチェーンコミュニティ:以下に挙げるトークンやNFTの利用に向けた実験的なオンチェーンコミュニティの小規模グループに対し、102,375,000トークンが割り当てられました。
シーズン1のDEGENトークンエアドロップの受領者。
シーズン1のBONSAIトークンエアドロップの受領者。
Crypto The Game(CTG)のシーズン1と2の参加者とCTGチーム。
Pudgy PenguinとMilady Maker保有者。
ZKsyncエアドロップの請求方法
-偽サイトやフィッシング攻撃にご注意ください。確実に公式ウェブサイトとチャンネルにアクセスしていることをご確認ください。-
以下の手順に従って、エアドロップ資格を確認し、ZKトークンをご請求ください:
1. 公式エアドロップウェブサイトにアクセスし、エアドロップ資格を確認。ウォレットアドレスまたはGitHubユーザー名を入力し、[Check]を押す。
2. [Connect wallet]をクリックし、画面の指示に従い暗号資産ウォレットを接続。
3. 次に、ZKトークンの投票権を委任。委任先は、自分自身またはコミュニティメンバーのいずれも可。
4. 最後に、[Claim your tokens]を押し、画面の指示の通り操作。エラーが発生した場合は、もう一度[Claim your tokens]をクリック。
BinanceでのZKsyncエアドロップの請求方法
BinanceからZKトークンを請求するには、ZKsync Eraネットワーク上のホワイトリストに登録されたアドレスからバイナンスアカウントに最低0.02 ETHの入庫が必要です。このエアドロップの配布対象となるのは、実際にやり取りがあったZKsyncユーザーのホワイトリストにあるアドレスからの直接の入庫のみとなります。
ホワイトリストに登録されたアドレスバッチ:
ZKトークンは、条件を満たしたユーザーに先着順で配布されます。ZKトークンを請求できるのは、お1人様あたり1回のみとなります(バイナンスユーザーIDごとに1回のみの請求)。また、お1人様あたり200 ZKトークンが上限となります。複数のアドレスから1つのBinance UIDに0.02 ETHを入庫しても、エアドロップの請求は1回のみとなります。(200 ZKトークンが上限)
バイナンスでの初回ZKトークンエアドロップは、2024年6月25日より開始の予定です。バイナンスZKトークン配布プログラムの詳細は、公式のお知らせをご覧ください。
シビル攻撃とコミュニティからの批判
ZKsyncのエアドロップは、暗号資産コミュニティの間で論争を巻き起こし、運用方法と公平性に関する懸念が提起されました。
ZKsyncエアドロップは、シビル攻撃に対する効果的な対策が欠如していると批判を受けました。適格基準の悪用が簡単であり、基準をすり抜けて複数のウォレットの作成により不正にトークンを獲得できることが多くのユーザーに指摘されました。
これに対してZKsyncの開発者は、多数のオーガニックな(悪意を持たない)ユーザーを不意に排除しないよう、意図的に厳格すぎるシビル検出は実施しなかったと説明しています。代わりに、オーガニックなユーザーを優先しつつも潜在的なシビル攻撃の検出するため、バリュースケーリングと倍数を実装しました。
ZKトークンが公平に配布されていないと主張する人もいました。1アドレスあたり100,000 ZKトークンの上限は低すぎ、ZKsyncエコシステムに深く関わってきたユーザーへのリワードを不当に削減しているとの批判もありました。資格基準に従いZKsyncプロダクトを数年間利用しているにもかかわらず、何も得られなかったと主張するユーザーもいました。
こうした懸念に対処するため、ZKsyncはエアドロップ配布戦略を明確にし、積極的な参加者へのリワードに重点を置いていると改めて強調しました。ZKsync Eraに積極的に関与したユーザーに付与されたトークンは、エアドロップの89%に上っていることを指摘しています。
ZKsyncとオプティミスティック・ロールアップとの比較
セキュリティメカニズム
オプティミスティック・ロールアップでは、すべてのトランザクションは有効であることを前提して始まります。トランザクション処理後にトランザクションをチェックし、ノードに報酬を支払います。問題が見つかれば報告され、トランザクションは修正されます。この方法では、ミスを犯しやすい人間の運用に依存している点が問題となっています。
対照的に、ZKsyncではZKPによりトランザクションのセキュリティを確保しています。ZKPの精度は、オプティミスティック・ロールアップに比べ、より高くなります。
決済時間
オプティミスティック・ロールアップには、7日間のチャレンジ期間が用意されています。オプティミスティック・ロールアップではすべてのトランザクションが有効であることを前提としており、有効性に対し異議が提起された場合にのみ修正されるため、このチャレンジ期間が必要となります。この期間が終了するまでトランザクションは確定されず、そのため決済時間が遅くなります。
対照的に、ZKsyncはZKPを使用してトランザクションを検証します。トランザクションは、ノードによって検証されるとすぐに確定されます。この方法ではチャレンジ期間は不要となり、決済時間が短縮されます。
ZKsyncのメリット
スケーラビリティ
ZKsyncは、ZKロールアップを採用することでメインのEthereumチェーンのトランザクション処理を向上させ、Ethereumネットワークのスケーラビリティを向上させるものです。トランザクション手数料は削減され、トランザクション時間は短縮されます。ZKsyncにより、Ethereumエコシステムがより多くのユーザーと分散型アプリケーション(DApps)に対応できるようになります。
EVM互換
EVM互換であることから、すでに開発されたEthereum仮想マシン(EVM)向けのdAppを最小限の変更でZKsyncに移植できます。ZKsyncの知識習得にかかる時間が短縮され、ZKsyncスケーリングソリューションの導入が容易になります。
まとめ
ZKsyncは、ゼロ知識ロールアップ(ZKロールアップ)とゼロ知識証明(ZKP)を採用し、Ethereumネットワークのトランザクション速度の向上およびコスト削減を実現するレイヤー2スケーリングソリューションです。ZKsyncは、オプティミスティック・ロールアップと比べ、より優れたセキュリティとより速い決済時間をもたらします。さらに、EVM互換であることから、スケーリングソリューションの学習およびこれへの適応が容易になっています。
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