モジュラー型ブロックチェーンとは
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モジュラー型ブロックチェーンとは

モジュラー型ブロックチェーンとは

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公開済 Feb 27, 2024更新済 Jun 4, 2024
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要点

  • モジュラー型ブロックチェーンでは、ネットワークのスケーラビリティ、セキュリティ、カスタマイズを最適化する多層的なアプローチを採用しています。

  • モジュラー型ブロックチェーンは、実行、決済、コンセンサス、データ可用性などの個別の機能に特化することで、分散化とセキュリティを維持しながらより高いスループットを実現します。

  • Celestia、Dymensionなどのプロジェクトは、ブロックチェーンのトリレンマ(セキュリティ、スケーラビリティ、および分散化の間のトレードオフ)の解決策として、モジュラー型ブロックチェーン構造の可能性に焦点を当てています。

はじめに

ブロックチェーンはその誕生以来大きな成長を遂げており、開発者によりスケーラビリティ、セキュリティ、分散化を強化する方法が常に模索されています。単一のチェーンがすべてのタスクを処理する従来のモノリシックなアプローチでは、スケーラビリティ、アップグレード性、バリデーターノードのハードウェア要件などにおいて大きな課題が残されています。このような制約への対応として、モジュラー型ブロックチェーンのコンセプトが有望な選択肢として浮上してきました。

モジュラー型ブロックチェーンとは

モジュラー型ブロックチェーンは、モノリシックなブロックチェーンモデルから袂を分け、主要なタスクを個別に特化した機能に分割する多層アーキテクチャを選択しています。モジュラー型ブロックチェーンでは特化した機能を異なるレイヤーに割り当て、分散化やセキュリティを損なうことなく、よりスケーラブルでカスタマイズ可能なシステムを構築します。

モジュラー型ブロックチェーンの仕組み

モジュラー型ブロックチェーンは、多くの場合、実行、決済、コンセンサス、データの可用性からなる4つの主要な機能に特化して運用されます。実行はトランザクションの処理、決済はトランザクション先の保護、コンセンサスはトランザクションの真正性の検証、データの可用性は取引データの保存を指します。このモジュラー設計により、柔軟性と効率性が向上し、ブロックチェーンのスケーラビリティのトリレンマに対する有望な解決策となり得ます。

モジュラーネットワークの種類

モジュラー型ブロックチェーンの実装にはさまざまな方法があり、それぞれ特徴があります。注目すべき例に、ロールアップ、バリディウム、ソブリン(主権)ロールアップなどがあります。

  • ロールアップは実行レイヤーとして機能し、トランザクションを処理してレイヤー1ネットワーク(L1)にデータを公開します。

  • バリディウムは、ロールアップのバリエーションであり、データをレイヤー1に送信する前にオフチェーンでトランザクションを処理します。また、Proof of Stakeのバリデーターのネットワークにも依存しています。

  • ソブリンロールアップは、実行レイヤーと決済レイヤーの両方として機能し、データブロックをロールアップ上に直接公開することが大きな特徴です。ソブリンロールアップでは、検証処理にレイヤー1スマートコントラクトを必要としません。

モジュラーブロックチェーンの長所と短所

モジュラー型ブロックチェーンアーキテクチャは、拡張性、柔軟性、相互運用性の向上など、モノリシックな設計と比較して大きな利点があります。しかし、モジュラー型ブロックチェーンでの構築作業はより複雑になり、技術内容を十分に理解し習得するには大きな時間が必要になります。

長所

1. スケーラビリティの向上:モジュラーブロックチェーンではリソース集約的なタスクを別々のレイヤーに割り当て、分散化を損なうことなく全体的なスループットを向上させられる点で、スケーラビリティに優れています。

2. 柔軟性と相互運用性:モジュラーのベースレイヤーは高度な柔軟性を持っており、複数のレイヤー1およびレイヤー2チェーンの間で相互運用性を実現しています。この柔軟性により、Ethereum仮想マシン(EVM)やその他の仮想マシンを自由に実行できます。

3. 汎用性の高いアプリケーション開発:ブロックチェーンのモジュラー性は、より包括的なアプリケーション開発を促進し、ブロックチェーンエコシステムでのユーザーへの負担を軽減しています。この汎用性によって、より幅広く安全かつ効率的な分散型アプリケーション(DApps)を開発しやすくなります。

4. カスタマイズ可能な技術スタック: 開発ニーズに最も適した仮想マシンを自由に選択し、カスタマイズ可能な技術スタックが提供できるようになります。そのため、より適応性が高く、開発しやすい環境が実現します。

短所

1. 開発の複雑化:モジュラー型ブロックチェーンでの構築は、モノリシックなものに比べて困難を伴う場合があります。その複雑が、導入や開発の遅れを招き、普及がなかなか進まない可能性もあります。

2. 運用実績が不十分:モジュラー型ネットワークは、EthereumやBitcoinのようなモノリシックネットワークほど実働環境でテストされていません。実働環境下で既存のチェーンが経験してきた大規模なテストや検証は、モジュラー型ネットワークではまだ再現されていません。そのため、トラフィックが多い実働環境下での対応力については未知数といえます。

3. 開発の初期段階:モジュラー型ブロックチェーンの開発はまだ初期段階にあります。市場は好意的に受け止めているものの、モジュラー型ブロックチェーンネットワークが技術的に成熟するに当たって、まだ実際の運用環境でのテストや検証が欠けていると言えます。このような初期段階において、モジュラー型ブロックチェーンの長期的な安定性と有効性については不確定要素があります。

モジュラーブロックチェーンの例

Celestia

Celestiaは、パフォーマンスを損なうことなくブロックチェーンを安全に拡張可能なモジュラー型ネットワークです。ロールアップやレイヤー2ネットワークは、トランザクションデータにアクセスする際、Celestiaのモジュラー技術を導入することで、迅速で効率的なデータ利用のメリットを享受できます。Celestiaは、データ可用性サンプリングやソブリンロールアップなど、さまざまな機能を実装してこの機能を実現しています。データ可用性サンプリングにより、Celestiaはネットワーク上でノードが増えるにつれブロックサイズを増加させられます。

Dymension

Dymensionは、ロールアップと呼ばれるデプロイ可能性が高くスピードの速いモジュラーブロックチェーンから構成されるネットワークです。従来のフルスタックのウェブアプリケーションと同じように機能します。RollAppsネットワークはフロントエンド(ユーザーとのやりとり)として機能し、Dymensionはエコシステムを調整するバックエンド(訳注:決済レイヤー)として機能します。これに加え、データベースとして機能するデータ可用性ネットワークがあり、必要に応じデータが提供されます。

まとめ

モジュラー型ブロックチェーンがもたらす汎用性と相互運用性は、より効率的で安全な分散型エコシステムへの可能性を秘めています。モジュラー型ネットワークは、最終的にはより幅広いDAppsやユースケースに対応し、DeFiを新たな高みへと押し上げる可能性があります。スケーラビリティのトリレンマを解決することに注力し続ける中、暗号資産におけるモジュラー技術の応用は拡大すると予想されています。

参考文献

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