要点
Unichainは、オプティミスティックロールアップを活用し、より高速かつ低コストでのトランザクション処理を実現する、イーサリアム向けのDeFi特化型レイヤー2スケーリングソリューションです。
Uniswap Labsが開発し、OP Stack上に構築されたこのプラットフォームでは、複数のブロックチェーン上で分散型金融（DeFi）の円滑な取引を支援します。
ネットワークではローンチ時に1秒のブロックタイムを達成しているとされ、のちに約200ミリ秒でトランザクション確定を可能にするFlashblocks技術を導入しました。
Unichainとは？
Unichainは、オプティミスティック・ロールアップを活用し、高速かつ低コストでトランザクションの処理を実現する、イーサリアム向けのDeFi特化型レイヤー2スケーリングソリューションです。すべてのトランザクションをイーサリアム上で直接実行するのではなく、オフチェーンで処理した要約データを定期的にメインチェーンに送信します。その結果、高いセキュリティを確保しつつ、イーサリアムの混雑を軽減します。
Unichainは、分散型暗号資産取引所Uniswapの開発チームであるUniswap Labsによって開発されました。ローンチ時に1秒のブロックタイムを達成しているとされ、のちに約200ミリ秒でトランザクション確定を可能にするFlashblocks技術を導入しました。
UnichainはOP Stack上に構築され、インフラを共有しクロスチェーン通信に対応する相互運用可能なロールアップの集合体であるOptimism Superchainの一部となっています。
ユニチェーンの仕組み
オプティミスティック・ロールアップ
Unichainはオプティミスティック・ロールアップを採用しており、トランザクションをオフチェーンで処理し、処理結果の要約データのみをイーサリアムに送信します。このアプローチにより、イーサリアムの強固なネットワークセキュリティを活かしつつ、コストが削減されると同時に混雑が緩和されます。設計上、トランザクションは原則として有効とみなされ、7日間の異議申し立て期間中に問題がなければ確定します。
トランザクションの不正が疑われる場合、誰でも不正証明（Fraud Proof）を提出できます。不正証明とは、イーサリアム上で問題とされるトランザクションを再実行し、正しく実行されたかどうかを検証する手続きです。不正証明が認められた場合、無効なトランザクションは取り消され、ネットワークの状態（ステート）が修正されます。
この仕様により、Unichainからイーサリアムへの資金の引き出しには通常約7日間かかります。この遅延期間は、不正の異議申し立ての提出に十分な時間を確保するものです。多少の不便はあるものの、セキュリティを損なわずにスケーリングを実現する重要な保護手段となっています。
シーケンサーとバリデーターネットワーク
Unichainは、ユーザーからのトランザクションの回収、その順序付け、ネットワークへの配信にシーケンサーを利用しており、低遅延かつ迅速な確定を実現しています。しかし、現在シーケンサーは単一の組織（Uniswap Labs）によって運営されているため、ダウンタイムや検閲のリスクなど中央集権的な問題が存在します。これらのリスクを緩和するために、Unichainは（イーサリアム上に）バリデーターネットワークを導入しています。
バリデーターは独立したノードであり、シーケンサーの出力を検証してトランザクションがプロトコル規則を遵守しているかを確認します。ノード運営者として参加するには、UniswapプロトコルのガバナンストークンであるUNIをイーサリアムメインネット上でステーキング（預け入れ）する必要があります。
ステーキングの記録は、ネイティブブリッジを経由してUnichainに送られ、Unichain上のスマートコントラクトによって更新・管理されます。このバリデーター（検証）レイヤーを追加することで、単一の運営者への依存を軽減し、より透明性が高く責任体制が明確なシステムになっています。
Trusted Execution Environment（TEE：信頼実行環境）
Unichainは、ブロック生成とシーケンス処理の役割を分離して、より透明性の高いシステムを実現しています。ブロックは、Trusted Execution Environment（TEE、トランザクションの順序付けに関する規定が事前に決められており、その規定に従って順序付けが正しく行われているかを検証できる安全な計算処理環境）内で構築されます。
TEEを活用することで、Unichainはトランザクションの失敗や矛盾が生じるリスクを低減し、トランザクション順序の入れ替えといった不正操作を困難にしています。この仕組みにより、ユーザーやアプリケーションにとって、ブロックの生成プロセスはより一貫性があり、予測可能なものとなっています。
主な特徴
OP Stackについて
Unichainは、Optimism Collectiveによって開発されたモジュラー型オープンソースフレームワークであるOP Stack上に構築されています。OP Stackは、シーケンサー、ブリッジ、スマートコントラクトモジュールなど、ロールアップに必要な標準パーツを提供します。OP Stackの基盤をもとに、UnichainはEVM互換として設計され、既存のEthereumスマートコントラクトをほとんど手間なくUnichain上に移植できます。
また、OP Stackを通じ、UnichainはOptimism Superchainに参加しています。このSuperchainは、さまざまなLayer2ネットワークが共通インフラのもとで連携するエコシステムです。この仕組みは、将来的にネイティブなクロスチェーン通信を可能にし、OP MainnetやBaseなどの異なるOP Stackチェーン間でトランザクションや流動性をシームレスに移動できるようにすることを目指しています。さらに、UnichainはSuperchain外の他のブロックチェーンとの相互運用性も高め、異なるネットワーク間で資産をより簡単に移動できるようにすることを目指しています。
Flashblocks
Flashblocksは、トランザクションの承認前に約200ミリ秒ごとに事前承認できるシステムです。ユーザーは完全なブロックの生成を待たずに、自分のトランザクションが登録されたことをより早く確認できます。
この短い間隔により、トランザクションの結果が予測しやすくなり、遅延が減少します。これは、最新の価格情報が重要な市場で特に有用です。
Flashblocksは、トランザクションの順序付けや最大抽出可能価値（MEV）の影響を研究するFlashbotsと共同で開発されました。
ネイティブ統合
UnichainはUniswapエコシステムと直接統合されており、新たな設定なしで簡単に利用できます。Uniswapウォレットを使えば、Unichainに接続してトークンのスワップや非代替性トークン（NFT）の取引、分散型アプリケーション（dApp）とのやり取りが可能で、資産の管理権を失うことなく操作できます。
Uniswapインターフェースから直接送信でき、異なるネットワーク間で資産を素早く移動できるブリッジ機能も備わっています。
まとめ
Unichainは、メインチェーンのセキュリティを維持しながら、オプティミスティック・ロールアップを活用してイーサリアムのスケーリングを支援する、DeFi特化型のレイヤー2ソリューションです。トランザクションをほぼ瞬時に確定できるFlashblocksや、より透明性の高いトランザクション順序付けを可能にするTEEベースのブロック生成といった機能を備え、Unichainは取引や流動性提供の効率向上を目指しています。
ネットワークのEVM互換性により、開発者はアプリケーションの移行や新規立ち上げが容易になり、ユーザーはよりスムーズで信頼性の高い環境で利用できます。また、Optimism Superchainの一部として、Unichainはクロスチェーンの相互運用性を強化し、イーサリアムエコシステム全体の成長に貢献しています。
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