NEAR Protocol(NEAR)とは

NEAR Protocol(NEAR)とは

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公開済 Mar 9, 2022更新済 May 9, 2024
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要点

  • NEAR Protocolは、Nightshade 2.0シャーディングを搭載した極めてスケーラブルなレイヤー1ブロックチェーンであり、8種類のアクティブシャードと600ミリ秒のブロック時間を実現しています。

  • ユーザー、開発者、AIエージェントがチェーン・アブストラクション(抽象化)を通して1つのNEARアカウントを使用することにより、複数のブロックチェーン間での資産移動とやり取りが可能となります。

  • NEAR Intentsを通して、ユーザーとエージェントが実行したい内容を表明し、ソルバーがこれの処理を担当することにより、複雑なブロックチェーントランザクションを簡素化しています。

  • NEARでは、オープンエージェント型インターネットの構築により、AIエージェントに対し、実際のウォレット、検証可能な操作、非公開のデータ処理、マルチチェーンアクセスを提供しています。

  • NEARトークン(NEAR)は、トランザクション手数料、ストレージ、ステーキング報酬、エコシステムのガバナンスに用いられます。

はじめに

NEARは、AIに向けたブロックチェーンです。同ブロックチェーンは、アプリケーション、エージェント、ユーザーを世界規模で支えるため、ゼロから構築されたものです。NEARではシャーディングにより、大量の需要を処理するためのネットワーク速度と容量が確保されます。チェーン・アブストラクション(抽象化)により、ユーザーとAIエージェントが1つのアカウントを通して簡単に複数のブロックチェーンとやり取り可能となります。その中核をなすプライバシーと検証可能性により、エージェントは資産を保有、意思決定、独立して行動できます。

NEARの各設計(スケーラビリティ、マルチチェーンへのアクセス、非公開型AI)は相互に連携し、AIが単なる飾りではないオープンかつユーザー所有型のインターネットの実現を推進します。むしろAIが、NEARにおける中心的役割を担っていると言えます。

消費者向けアプリ、金融プラットフォーム、自律型エージェントのいずれを構築する場合でも、NEARでは、これらを高速かつ安全に各ブロックチェーン間で実行するためのインフラを提供します。

シャーディング

NEARでは、Nightshade 2.0と呼ばれるシャーディング設計を使用してそのインフラをスケール化しています。シャーディングにより、NEARのネットワークが複数の並列化されたシャードに分割され、各シャードが独立してトランザクションを処理する仕組みとなっています。つまり、同ネットワークの容量は需要に応じて拡張可能となります。

2025年現在、NEARでは8種類のアクティブシャードを実行しているほか、最近実施したアップグレードでは、Web3において最速規模となる600ミリ秒のトランザクションファイナリティを達成しています。

NEARでは、シャードの全状態を保存せずともトランザクションを処理できる「ステートレス検証」も導入しました。これにより、ハードウェア要件が軽減されるとともに分散性が高まります。

シャーディングにより、NEARがインターネット上で高スループットアプリケーション(AIエージェント、マルチチェーンプロトコル、消費者向けアプリなど)に対応できるようになります。同ブロックチェーンでは、OmniBridgeなどのクロスチェーンインフラの強化も併せて行っているため、NEARのネットワーク速度とスケーラビリティを活用しながら、主要ネットワーク間で資産を安全に移動できます。

チェーン・アブストラクションとNEAR Intents

NEARは、ブロックチェーンの使用に伴う複雑性を取り除けるように構築されています。その中核をなすイノベーションであるチェーン・アブストラクションとNEAR Intentsは、ユーザーにWeb3の存在を感じさせない一方、開発者とAIエージェントに強力な機能を提供します。

チェーン・アブストラクション

チェーン・アブストラクションにより、ユーザーと開発者は1つのNEARアカウントを使用しながら、複数のブロックチェーン(イーサリアム、ビットコイン、ソラナ、Zcashなど)とやり取りできます。ウォレットの切り替え、チェーンごとのガス代支払いトークンの管理、現在使用中のネットワークの種類の把握を行う必要はありません。これにより、Web2とWeb3アプリケーション両方に向けたシームレスな体験が創造されます。

専門的には、チェーン・アブストラクションは、NEARアカウントが対応している任意のブロックチェーンに署名してトランザクションを送信できるようにするマルチチェーン暗号化システムでるChain Signaturesにより支えられています。

NEAR Intents

NEAR Intentsにより、ユーザーとエージェントが実行したい内容(トークンのスワップやアイテムの購入など)を、手動で実行せずとも表明できる能力が備わります。こうしたインテント(意図)を最も効率的な方法で実行するため、eFiやクロスチェーン実行に伴う複雑性をユーザーから見えない形でオフチェーンソルバーが競い合います。

こうした仕組みにより、AIエージェント、ユーザー、サービスが、ブロックチェーンに関する深い知識を必要とせずともチェーン間のトランザクションと操作を調整できる、新しいクラスのアプリケーションを開発できるようになります。

併せて、チェーン・アブストラクションとNEAR Intentsにより、暗号資産の使用がインターネットの使用と同程度に簡単と感じられる環境となっています。

NEARのAI

NEARでは、トランザクションのスケール化に加え、AIエージェントの資産保有、意思決定、ブロックチェーン間での自律的な行動を実現するエージェント型インターネット用のインフラを構築しています。

NEARでは、AIエージェントはプロンプトに応答するだけではなく、ウォレットの保持、トランザクションへの署名、サービスの支払い、実際のユーザーと同様の操作などを行えます。これらが実現するのは、NEARのアーキテクチャが検証可能かつ非公開であり、ユーザー所有型のAI向けに設計されていることがその理由となります。

NEAR AIを支える技術は、以下の通りです。

  • チェーン署名:AIエージェントのNEARアカウントを使用し、あらゆるブロックチェーンとのやり取りが可能となる技術。

  • ステートレス検証と高速ファイナリティが実現します。

  • プライバシー保護技術:ユーザーのデータを保護する傍ら、エージェントがユーザーの代理で操作を実行可能にする技術。

  • オープン・エージェント・マーケットプレイス:開発者がオンチェーン上でAIエージェントを構築、デプロイ、収益化できる近未来的なエコシステム。

NEARでは、セキュリティとプライバシーを兼ね備えたAIエージェントに真の自律性を提供することにより、次世代のインテリジェントdAppに向けた基盤を構築しています。

まとめ

インターネットの未来は、単一のエコシステムのみが形作るのではなく、複数のブロックチェーンで動作するエージェント、アプリ、ユーザーにより推進されることが見込まれています。こうした未来を実現する基盤として、スケーラビリティ、プライバシー、ユーザー所有権が不可欠となります。

NEAR Protocolは、スケール化を目的としたシャーディング、ブロックチェーンを統合するチェーン・アブストラクション、検証可能なAIエージェントに向けたインフラの3種類の技術を兼ね備えたプロトコルとなっています。NEARでは、dAppとインテリジェントエージェントの普及を見据え、次世代型インターネットで開発、デプロイ、普及を行うためのツールを開発者とユーザーに提供しています。

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