マークル木
マークル木は、大量のデータを整理および構造化し、処理をより簡単にする手法です。
暗号通貨や
ブロックチェーンにおいては、少ないリソースでトランザクションデータを構造化するためにマークル木が使用されています。
暗号資産のトランザクションがマークル木構造で行われると、そのトランザクションはハッシュ化され、同等のハッシュ値が与えられます。各トランザクションがマークル木でハッシュされた後、生成されたハッシュ値は別のハッシュ値とペアになり、再度ハッシュされます。例えば、ハッシュ値「AB」と「AC」が組み合わされて「ABC」が作成されます。
このハッシュ値をペアにするプロセスは、最終的なハッシュ値が生成されるまで繰り返されます。最終的なハッシュ値であるマークルルートは、そこに含まれるすべてのトランザクションの概要となります。次に、マークルルートの概要がブロックヘッダーに挿入されます。
データセキュリティ
マークル木構造により、
ブロック内のトランザクション記録へのアクセスが簡単になります。そのため、ブロック内のデータが変更されたか、改ざんされたかを確認するのが非常に簡単になります。マークル木内のトランザクション(またはその他の関連データ)に変更が加えられると、対応するマークルートがまったく異なるものになるからです。
リソースの効率的利用
暗号資産でマークル木の手法を使用しない場合、検証リクエストのたびに膨大な情報データがネットワーク上に送信されることになります。トランザクションデータをマークル木で構造化することで、リソースをはるかに効率的に利用できます。ハッシュ化されたトランザクションデータをマークルルートで検証できるため、トランザクションを検証する際に元帳の完全なコピーを必要としません。ノード間で送信される情報データが大幅に減少し、その結果、データ全体の整合性を分析する際に必要とされる計算パワーの消費も削減されます。
マークル木は、Proof of Reserves(準備金の証明)に使用されています。Proof of Reservesの検証において、監査人は暗号資産取引所などのカストディアンが顧客の資金を全額保有していることを検証します。監査人は、取引所で扱う全アカウント残高のスナップショットを取得し、資産データをマークル木に変換します。
マークル木は、他の用途にも使用されています。マークル木構造では、ブロックチェーン全体をダウンロードせずとも、個々のトランザクションがブロックに含まれていることを検証できます。この技術は、暗号資産のトランザクションデータを整理し、効率的に活用する重要なツールとなります。マークル木を使用しなければ、リソースが圧迫され、ネットワークに参加する
ノードが減少する恐れすらあります。