Satoshi Testの概要、ならびにトラベルルール対応に果たす役割
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Satoshi Testの概要、ならびにトラベルルール対応に果たす役割

Satoshi Testの概要、ならびにトラベルルール対応に果たす役割

初心者
更新済 May 12, 2025
6m

要点

  • トラベルルールとは、暗号資産プラットフォームが暗号資産トランザクションに関する一定の情報を収集・報告するための規制基準を指します。国際的な資金洗浄防止(AML)規制に準拠することを目的としています。

  • バイナンスをご利用いただく際、特定のプラットフォームに対する暗号資産の送受信前に、ウォレットアドレスの所有者認証が求められるケースがあります。

  • Satoshi Testは、少額の暗号資産を送信することで、トラベルルール規制にスムーズに準拠するための認証方法です。一度認証を完了すれば、以降の入出庫のたびにウォレットアドレスを再度認証する必要はありません。

Satoshi Test CTAバナー

はじめに

トラベルルールとは、プラットフォーム間における暗号資産の送信に関する国際的な規制要件です。同ルールでは暗号資産サービスプロバイダーに対し、マネーロンダリングやテロ資金供与の防止を目的として、トランザクションに関する一定の詳細情報の共有を義務付けています。これにより金融上のセキュリティが強化される一方、暗号資産の日常取引の複雑性の増加にもつながっています。

Satoshi Test機能は、暗号資産トランザクションの実行時に、ユーザーがトラベルルールにスムーズに準拠できるようにするものです。Satoshi Testでは、少額のBTCまたはその他の暗号資産を受取人に送信してウォレットの所有権を認証することにより、効率的かつ安全性の高いユーザーエクスペリエンスを実現します。また、同機能とバイナンスのアドレス管理機能を併用することで、その効果がさらに増大します。

トラベルルールとは

正式には金融活動作業部会(FATF)勧告16号として知られるトラベルルールとは、VASP(暗号資産交換業者)に適用される世界的な基準を指します。同ルールでは、ユーザーが各VASP間で一定の基準を超えた暗号資産の送信を行う場合、送信者と受信者の両方に関する情報の収集・報告が義務付けられています。

対象となる項目は、以下の通りです。

  • 送信者名およびウォレットアドレス

  • 受取人名およびウォレットアドレス

  • アカウント番号または個別のトランザクション識別子

結果として、ユーザーがバイナンスから資金を別のVASPに送信する際、プラットフォームは受取人のアドレスを認証する必要があります。この点において、手動での対応、遅延の発生、アドレスの認証を伴うことが多くなっています。

Satoshi Testとは

Satoshi Testとは、暗号資産をトラベルルールに準拠する別のプラットフォームに送信する際に、アドレス認証プロセスを簡素化するための機能です。あらかじめ受取人のウォレット宛てに少額の暗号資産を送信することで、受取人のウォレット所有権を認証できます。

仕組み

  1. 出庫の開始:ユーザーが未認証のアドレスに暗号資産を出庫しようとすると、システムによりSatoshi Testの完了を求められる場合があります。

  2. 少額のテスト数量を送信:ユーザーは受取人に対し、ごく少額の暗号資産(例:0.00001 BTC)を送信します。

  3. 受取人による受領確認:受取人がプラットフォーム上で受け取り数量とトランザクションID(TXID)を確認します。

  4. アドレス認証:確認が完了すると、引き続き全額の出庫が再開されます。また、同アドレスへの以降の再出庫時、当該アドレスは「認証済み」としてマークされます。

Satoshi Testは手動での書類アップロードや煩雑な認証作業を省略でき、初めて暗号資産を送信する際に特に役立ちます。

Satoshi Testの意義

Satoshi Testにより、以下の通りユーザーエクスペリエンスが大幅に高まります。

  • 摩擦の軽減:受取人のウォレットに対する認証プロセスが簡素化されます。

  • セキュリティの向上:暗号資産を正しいウォレットアドレスに送信していることを確認できます。

  • トランザクションの迅速化:アドレスの認証が完了すると、以降暗号資産を速やかかつ簡単に送信できます。

  • コンプライアンスの改善:バイナンスおよびユーザーが規制要件と監督当局の求める基準に適合し続けられます。

バイナンスでのアドレス管理機能

アドレス管理機能は、バイナンス上でユーザーがウォレットアドレスを保存・ラベル付けできる機能であり、以降暗号資産を非常に簡単に出庫できるようになります。アドレスをホワイトリストに登録するとセキュリティが強化され、誤った受取人に暗号資産を送信するリスクや誤ったアドレスを入力するリスクが軽減されます。

必要に応じ、バイナンスユーザーはアドレス管理機能とSatoshi Testを併用してウォレットアドレスを認証できます。

アドレス管理リストに新規アドレスを追加する方法

バイナンスアカウントにログインし、アドレス管理ページにログインします。もしくは、[アカウント]→[セキュリティ]→[出庫ホワイトリスト]からもアクセスできます。

バイナンスでのアドレス管理

  1. [アドレスを追加]をクリックして新規の出庫ウォレットアドレスを追加します。

Satoshi Testアドレス帳にアドレスを追加

  1. アドレスにラベル名と必要な情報を入力します。

Satoshi Testアドレスを追加

  1. 場合によっては、アドレスの認証を求められる場合があります。

Satoshi Test認証リマインダー

  1. 指示に従い、Satoshi Testを完了します(必要な場合)。

バイナンスでのSatoshi Testの入庫

詳細は、バイナンスのよくある質問ページをご覧ください。

ユースケースの例

ユーザーがバイナンスから別のプラットフォーム宛てにBTCを初めて送信すると仮定します。トラベルルール規制に準拠するために、プラットフォーム上で受取人のウォレットを認証する必要があります。長い手順を踏む代わりに、少額のBTCの送信のみで完了するSatoshi Testにより対応することにします。受取人が暗号資産の受領を確認した後、ユーザーは全額の送信を完了し、以降も同様に使用できるように同アドレスをアドレス管理リストに追加します。以上の流れにより、同一のアドレスに対する次回のBTC送信もシームレスに完了できます。

まとめ

Satoshi Testは、バイナンスユーザーがトラベルルールおよびその他の国際的な資金洗浄防止(AML)規制に準拠するための実用的かつ効率的なソリューションです。Satoshi Testでは、少額の暗号資産の送信を通したウォレットの所有権の認証により、遅延を減らす一方で利便性とセキュリティを高められます。

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