要点
Newton Protocol(NEWT)とは、オープンでパーミッションレスかつプログラム可能なインターネット向けのコンピューティングレイヤーを提供するために開発された分散型プロトコルです。
同プロジェクトでは、コンピューティングサービスのグローバルレジストリを導入しており、ユーザーと開発者がトラストレス方式でコンピューティングリソースを検出、アクセス、構成できます。
同プロジェクトのアーキテクチャでは、DeFi、AI、バッチコンピューティング、プライバシー保護ワークフローなどの多様なユースケースが実現します。
Newton Protocolでは、ブロックチェーンが公共データインフラを民主化したのと同様に、コンピューティングを公共に対しアクセス可能なものにすることを目指しています。
はじめに
現在普及しているクラウドストレージなどのコンピューティングサービスの大部分は、少数の大企業により管理されています。これは一見問題ないように思えるものの、利用制限、選択肢の乏しさ、データ漏えい、場合によっては検閲など、ユーザーにとってさまざまなリスクを伴う可能性があります。Newton Protocolなどのプロジェクトでは、誰もが利用可能かつ使いやすいものであることを念頭に置きながら、同サービスをより優れたものにする方法を探っています。
Newton Protocolの概要
Newton Protocolは、インターネット用の公共コンピューティングレイヤーを作成する分散型プロトコルです。同プロトコルでは、コンピューティングタスクとサービスの公開、検索、構成方法の標準化を目的としたオンチェーン・サービス・レジストリを提供しています。
同レジストリはオープンであるため、個人、組織、開発者全員が、透明性の高いパーミッションレスな環境でコンピューティングサービスを掲載、検出、利用できます。
クラウドコンピューティング、AI、特殊なデータ処理などを誰もが透明性の高い方法で提供・利用可能なシステムの作成を目指しています。
Newton Protocolが開発された背景
中央集権型クラウドの問題
現在提供されている大抵のクラウドコンピューティングは極めて中央集権的であり、少数のプロバイダー集団により支配されています。柔軟性とスケーラビリティがもたらされている一方で、以下に挙げるものを例に複数の問題も生じています。
信頼性:ユーザーは、プロバイダーの完全性、安全性、運用上の確実性を信頼し前提する必要があります。
制限:プロバイダーは独自の裁量で、アクセスを制限、サービスを検閲、サービスを停止できます。
ベンダーロックイン:プロバイダー間でのサービスやデータの移行は、複雑かつコストが高額となります。
断片化:新しい分散型ソリューションの場合でも、お互いを組み合わせて利用することは通常困難です。
Newton Protocolのソリューション
Newton Protocolでは、コンピューティングサービスに関するオープンなオンチェーンレジストリの作成により、こうした問題に対処しています。また、Newton Protocolでは、生のコンピューティングリソース用のピア・ツー・ピア(P2P)マーケットプレイスを提供するだけではなく、以下を実現しながらシステムを構築しています。
ブロックチェーンレジストリを用いたコンピューティングサービスの検出
標準化されたAPIとインターフェースを用いた相互運用性の実現により、開発者はサービスを簡単に作成・照合可能
オンチェーンの照明と透明性の高い指標を介した、プロバイダーとユーザー間における誠実な行動の奨励
プロバイダーまたはユーザーとして、誰もが参加可能
Newton Protocolの仕組み
1. オンチェーン・サービス・レジストリ
Newton Protocolのレジストリサービスは、利用可能なコンピューティングサービスの公開および改ざん防止機能を備えたカタログとして機能します。各エントリには、以下に挙げる内容が含まれます。
サービスメタデータ(名前、説明、対応するインターフェース)
プロバイダーの詳細
価格情報
利用条件および利用規約
API仕様
パフォーマンスと信頼性に関する指標
誰もが以上の項目を確認し、自身のニーズに最適なサービスを見つけることができます。
2. 標準化されたインターフェースとAPI
Newton Protocolのコンピューティングサービスは、参加者全員が同一種類のインターフェースを使用できるようにするためのオープンな標準に基づいています。このため、特定のサービスで動作する機能を構築した場合でも、必要に応じて後ほど他のサービスと連携できます。
3. サービスの検索と構成
同プロトコルでは、サービスを検索して即座に利用することも、他のサービスと連携させてより高度なプロセスを作成することもできます。また、Newton Protocolではコンポーザビリティを重視しているため、個別のサービスをより大きなワークフローに統合することもできます。例えば、別の場所に位置する複数のプロバイダー間における一連の自動操作を実現できます。
4. オンチェーン認証とインセンティブ
Newton Protocolでは、暗号学的証明とオンチェーンメカニズムを採用し、サービスを実行および完全性の維持を認証しています。これにより、コンピューティング能力のプロバイダーには誠実な行動が動機付けられるため、中央集権型機関を介在せずとも信頼性を確保できます。
想定されるユースケース
DeFiの運用:多彩なサービスの利用により、取引を自動化および価格を更新できます。
分散型AI:公開AIサービスの活用または他のコンピューティングサービスとの併用により、より高性能なアプリを構築できます。
プライバシー:安全性の高いコンピューティングまたは機密性の高いコンピューティングを実装するプロバイダーを選択できます。
マルチチェーンのデータ処理:Newton Protocolのサービスの利用により、複数のブロックチェーン間でデータまたは処理を組み合わせられます。
科学研究:ビッグデータの解析やシミュレーションに特化したコンピューティングプロバイダーと連携させられます。
例
例えば、開発者が、複雑な数学的計算とAIを活用した分析の両方が求められる新規DeFiアプリを構築しようとしているとします。すべてをゼロから構築する代わりに、Newton Protocolプロトコルのレジストリを活用し、数学的計算を実行するプロバイダーとAIを提供するプロバイダーを見つけられます。また、これらを1件のワークフローに組み入れられるため、時間とリソースの節約につながります。
NEWTトークン
NEWTトークンは、Newton Protocolエコシステムのネイティブユーティリティトークンです。同トークンは主に、コンピューティングサービスにアクセスするための支払い(ガス代、レジストリの操作、プロバイダーに対する報酬付与など)に用いられます。NEWTはまた、ネットワークの保護を目的としたステーキングや、同トークンの保有者がプロトコルの意思決定に参加するためのガバナンスにも用いられます。
Newton Protocol(NEWT)のバイナンスHODLerエアドロップ
2025年6月23日、バイナンスはバイナンスHODLerエアドロッププログラムの24番目のプロジェクトとしてNEWTを発表しました。6月14日~17日の対象期間中にSimple Earn商品またはオンチェーン・イールド商品にBNBを預けたユーザーが、NEWTエアドロップ配布対象となりました。このプログラムには合計1,250万NEWTトークンが割り当てられ、トークン供給全体の1.25%を占めることとなりました。
NEWTは、シードタグ付きで上場しており、USDT、USDC、BNB、FDUSD、TRYとのペアで取引できます。
まとめ
Newton Protocol(NEWT)では、クラウドコンピューティングへのアクセス方法に変化をもたらすほか、これをオープンかつ大企業への依存性が少ないものにするために取り組んでいます。同プロトコルでは、コンピューティングサービスに関する公開レジストリの作成と、各サービス間の簡単な接続への注力により、開発者とユーザーがウェブアプリケーションを構築・利用するための新たな選択肢も提供しています。
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