トップ7位のNFTユースケース
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トップ7位のNFTユースケース

トップ7位のNFTユースケース

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公開済 May 29, 2021更新済 Oct 25, 2023
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概要

非代替トークンへ大きな関心によって、デジタルコレクションやNFTアートのブームが起きました。これらは、DeFiエコシステムにおける最も顕著な2つのユースケースですが、アプリケーションはこれらだけではありません。希少性と独自性を持つ非代替トークンは、現実世界の資産、ロジスティクス、音楽のロイヤリティなどとの相性が良いです。NFTの成熟に伴い、より実験的なユースケースの採用が進むことが期待されます。

はじめに

非代替トークンが登場するまでは、デジタルな資産に希少性を持たせることはほぼ不可能でした。著作権の保護はされていますが、消費者がデジタル作品をコピーしたり、海賊版を作ったりすることは比較的簡単です。

NFTの発展はクリプトアートとデジタルコレクションを可能としましたが、これらだけでは終わりません。多くのユニークな商品やコレクターズアイテムの真正性を証明するために、不動産から物流まで幅広い分野で、NFTを活用することができます。

NFTエコシステムの歴史はまだ浅いですが、興味深いプロジェクトがたくさんあり、すでにクリエイターや消費者に対して、大きな価値を生み出しているものもあります。



アートNFT

非代替トークンはデジタルアートにおける長年の希少性の問題を解決するのに役立っています。その問題とは、デジタルでコピーできるバーチャルアートの希少性をどのように保つかです。現実世界にも贋作はありますが、たいていの場合はそれらの真偽を見分けることができます。

クリプトアートの価値の大半は、その真正性と所有権をデジタルで検証できることから来ています。誰でもEthereumブロックチェーン上でCryptoPunkを見て、ダウンロードして、画像を保存することができますが、オリジナルを持っていることだけはNFTの所有者以外は誰にも証明できません。
例えば、匿名のデジタルアーティストであるPakは、名前以外には違いのないNFTのシリーズを作成しました。The Cheap、The Expensive、The Unsoldなどのタイトルで、Pakはそれぞれの作品に異なる価値を与えました。アートの価値はどこから来るのかを考えさせられるコレクションです。 

NFTの場合、その価値は必ずしもそのアート自身から来ているとは限りません。特定の資産の所有権を証明することがより重要になる場合もあります。この点こそが、クリプトアートを最も人気のあるNFTのユースケースの1つにしています。


NFTコレクション

PancakeSwap BunnyやバイナンスアニバーサリーNFTのような、デジタルコレクションには大きな需要があります。このユースケースは、NBA NFTコレクショントレーディングカードのNBA Top Shotによって、大流行しました。
デジタルNFTアートとともに、Opensea、BakerySwap、TreasurelandなどのNFTマーケットプレイスの売上のうち、こういったコレクション性のあるNFTがかなりの割合を占めています。クリプトアートとのクロスオーバーが多く、NFTがコレクションアイテムとアート両方の側面を持つ場合もあります。ここまで説明してきた2つのユースケースは現在最も開発が進んでいるものです。

Jack Dorseyの最初のツイートはNFTコレクションのわかりやすい例です。なぜなら、CryptoPunkはコレクションアイテムでありながら、芸術的な面もある一方、DorseyのNFTは純粋にコレクションアイテムとしての価値しかないからです。


Dorseyはツイートをトークン化するプラットフォームであるValuablesを使用して、NFTを販売しました。あらゆるツイートに対してオファーを出すことができます。そのオファーに対して、誰でもその金額を上回るカウンターオファーを出すことができます。そうしたら、そのオファーを受け入れるか、断るかはツイートを行った人物が判断します。受け入れた場合、ブロックチェーン上で、ツイートした人物のサインが就いている、1対1のNFTが発行されます。

それぞれのNFTは、認証された作成者のTwitterのハンドルネームで署名されているため、オリジナルの作成者だけが自分のツイートをNFTとして発行することができます。このプロセスにより、デジタルで希少性の高いコレクターズアイテムが作成され、トレードや保管が可能になります。ツイートを売るというコンセプトは理解するのが少し難しいかもしれませんが、NFTがどのようにコレクション性を生み出すかのわかりやすい例です。基本的には、直筆サインのデジタル版とも言えます。

ファイナンスNFT

忘れがちですが、NFTの価値が必ずしも曲や写真、コレクターズアイテムから来ているわけではありません。分散型金融 (DeFi) でも、NFTはユニークな金融上のメリットを提供しています。多くはなんらかの画像がついていますが、価値はそのNFTのユーティリティから来ています。
例えば、JustLiquidityはNFTステーキングモデルを提供しています。ユーザーは、あるプールにペアのトークンを一定期間預け、NFTを受け取って次のプールにアクセスすることができます。こういったユースケースにおける、NFTは入場券のようなもので、新しいプールに参加すると破棄されます。このモデルでは、NFTがどのプールへのアクセスを提供するかに基づいて、NFTの二次市場が形成されます。

もう1つの例は、BakerySwapのNFTフードコンボによって、このNFT保有者のステーキング報酬を増やすことができます。BAKEに貢献することで、様々な量のステーキングパワーを提供するNFTコンボを受け取ることができます。ユーザーはこれらのコンボを二次市場を売却したり、ステーキングに使用することができます。このように、NFTとゲーミフィケーションやDeFiを組み合わせることで、非代替トークンのもう一つの興味深いユースケースが生まれます。


ゲームNFT

ゲームでは、トレードでき、購入できるユニークなアイテムに対して、大きな需要があります。ゲームアイテムの稀少性は価格に直結しますし、ゲーマーにとっては、価値のあるデジタルアイテムというのは、すでに馴染みのあるものです。マイクロトランザクションやゲーム内課金は、数十億ドル規模のゲーム産業を生み出しており、ここにNFTやブロックチェーン技術を活用できる可能性があります。

また、NFTが何を表現するのかという点でも、関心の強い分野です。ビデオゲームのトークンはアート、コレクション、そしてプレイヤーにとってのユーティリティの3つの側面を組み合わせたものです。しかしながら、予算の大きいビデオゲームがNFTを実装するのはまだ先のことになりそうです。

一方で、他のプロジェクトでは、ブロックチェーン技術を積極的にゲームに組み込んでいます。Axie InfinityBattle Petsはどちらもトレード可能なペットとアイテムを使用したポケモンスタイルのゲームです。また、これらのトークンを外部のマーケットプレイス (P2Pセール) で購入したり、売却したりすることもできます。 

ゲームNFTは独特の見た目や衣装などですが、多くはなんらかのユーティリティもあります。それぞれのAxieペットにはバトル用の能力が設定されています。これらの能力はトレードされる時のそのペットの価値にも影響します。CryptoKittyは、需要の大きい繁殖用の属性だけでも非常に価値があります。それぞれのペットの価値を決めるのは、レアなルックスや特徴、実用性などの組み合わせです。以下の例として載せているペットは、需要の大きいレアな要素を1つだけでなく、複数持っています。


音楽NFT

画像ファイルや動画と同様に、NFTに音声を添付して、コレクション性の高い音楽を作ることもできます。レコードのデジタル「初版」のようなものだと思ってください。NFTに曲をつけるのは、アートの例と似ていますが、他にも使用例があります。

音楽家にとっての大きな問題はロイヤリティーの公平な分配です。そして、ブロックチェーンを使用してこれを実現するには、少なくとも2つの方法が考えられます。1つは、ブロックチェーンを使ったストリーミングプラットフォームで、もう1つはブロックチェーンによるロイヤリティのトラッキングです。ストリーミングサービスでAmazon MusicやYoutubeと競合することは、小規模なブロックチェーンプロジェクトでは困難です。2017年にSpotifyのような巨大企業がMediaChainというブロックチェーンのロイヤリティソリューションを購入したときも、アーティストにとっての実利はありませんでした。

その間、小規模なプロジェクトはインディーズアーティストを中心に活動することになりました。バイナンススマートチェーン上のRockiは、インディーズバンドなどがロイヤリティを販売したり、自分の音楽をストリーミングしたりするためのプラットフォームを提供します。このプラットフォームでの最初のロイヤリティNFT販売では、ERC721トークン規格を使用して50%のロイヤリティで40ETHを調達しました。

このモデルが普及するかどうかは、大規模なストリーミングサービスが採用するかどうかにかかっています。音楽とNFTの組み合わせは、ユースケースとしては素晴らしいアイデアですが、音楽レーベルのサポートがなければ成功は難しいかもしれません。


現実世界資産のNFT 

現実世界の資産をNFTと関連付けることで、所有権を証明する方法をデジタル化できます。例えば、不動産では通常、物理的な不動産証書、日本だと登記が必要です。これらの証書をトークン化したデジタル資産を作ることで、流動性の高いアイテム (家やランドなど) をブロックチェーン上に移すことができます。こういったユースケースに関しては、これまでのところ規制当局などによるサポートはあまり得られていません。このユースケースはまだまだ開発中ですが、将来的な発展に注目です。

2021年4月、Shane Dulgeroffはカリフォルニア州で販売されている不動産を表すNFTを作成しました。また、このトークンにはクリプトアートの作品の一部が付いています。オークションで落札した人がNFTとその家の所有権を受け取れます。しかし、売却の正確な法的な状態や、買い手または売り手の権利は不確かなものです。


宝飾品のような小さな品物の場合、NFTは転売の際に正当な所有者であることを証明するのに役立ちます。例えば、本物のエシカルダイヤモンドには、通常、証明書が付いています。この証明書が所有権を証明する方法にもなっています。この証明書がない状態で転売しようとすると、本物かどうかを確認することができず、購入者に自分が正当な所有者であると納得してもらえない可能性があります。

同じコンセプトをNFTで実現することが可能です。アイテムにNFTを関連付けることで、NFTを所有することが資産を所有することと同じくらい重要になります。さらに、物理的なコールドストレージウォレットを持つアイテムにNFTを埋め込むこともできます。Internet of Things (IoT) が発展するにつれて、NFTが現実世界の資産を表すために使われるケースはどんどん増えていくでしょう。

ロジスティクスNFT

ブロックチェーンテクノロジーは、特にその改ざん耐性と透明性から、物流業界においても有用です。これらの特徴のおかげで、サプライチェーンデータの真正性と信頼性が保証されます。食品などの生鮮品や日用品は、どこにどのくらいの期間置かれていたかを知ることが大切です。

また、NFTにはユニークなアイテムを表現できるという利点もあります。生産地やサプライチェーン、倉庫の位置などのメタデータを含むNFTを使用することで、ある商品を追跡することもできます。例:

  • 高級靴がイタリアの工場で作成されました。そのパッケージには、すぐにスキャンできるNFTが記載されています。

  • いつ、どこで、その靴が作られたのかがわかる、タイムスタンプ付きのメタデータがそのNFTには含まれています。

  • 製品がサプライチェーンを通過する際には、NFTがスキャンされ、タイムスタンプ付きの新しいメタデータが追加されていきます。そのデータには、倉庫の位置や発着時間などが含まれます。

  • その靴が最終目的地の店舗に到着したら、そこでスキャンをすることで、受領したことが記録されます。このように、NFTを活用することで、正確、かつ詳細な履歴を見ることができ、靴の真正性とどのようなサプライチェーンを辿って店舗まで着いたのかを確認することができます。

NFTのサプライチェーンの導入に関しては、多くの仮説があります。しかし、そのいずれもが、サプライチェーンのそれぞれのステージで同じインフラを使うことを要求しています。グローバルにはさまざまなプレイヤーやステークホルダーが関わっているため、これらのシステムを実際に導入するのは難しいかもしれません。このため、サプライチェーンにおけるNFTの活用例はごくわずかしかありません。 

現時点では、大規模なブロックチェーン物流ソリューションの例としては、MAERSKのTradeLensシステムとIBMのFoot Trustがあります。どちらも、NFTの使用をサポートするIBMのブロックチェーン「Hyperledger Fabric」を使用しています。しかし、これらのオペレーションにNFTが活用されているかは不明です。


まとめ

NFTの人気が高まっていることから、今後、さらに多くのアイデアやユースケースが出てくる可能性があります。現状、NFTのユースケースの多くは、まだ出てきた十分な時間が経っていないため、アイデアや小さなプロジェクトにすぎない場合が多いです。中には、実用的でなかったり、人気を得られなかったりするものもあるでしょう。しかし、美術品やコレクターズアイテムの希少性のような、より根本的でわかりやすい問題に対してはNFTは今後の活用され続けるでしょう。