Succinct(PROVE)とは

Succinct(PROVE)とは

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更新済 Aug 6, 2025
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要点

  • Succinctは、イーサリアム上で分散型の証明者ネットワークを管理・運営するプロトコルを構築し、あらゆるソフトウェアのゼロ知識証明(ZKP)を生成します。

  • 同ネットワークでは、独自の証明インフラを構築せずに、ゼロ知識証明を高速かつ低コストで利用可能にすることを目的としています。

  • プロトコルは二者間のマーケットプレイスとして機能し、依頼者(リクエスター)と証明者(プルーバー)をつなぎ、ブリッジ、オラクル、AIエージェントなど幅広いアプリケーションに対応します。

  • ネットワークでは、証明依頼と証明者をマッチングするオフチェーンの入札システムを採用しており、結果はスマートコントラクトを通じてオンチェーンで決済されます。

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はじめに

ゼロ知識証明(ZKP)は、内容の詳細を明かさずに何かが真実であることを証明する強力な方法です。ブロックチェーンからプライバシーツールまで幅広い分野で利用されている一方、証明を生成するには通常、高価なハードウェアと高度な暗号技術の知識が必要です。

Succinctは、イーサリアム上でこの処理を簡素化するプロトコルを構築しています。開発者は独自のインフラをゼロから構築するのではなく、証明者の共有型ネットワークに対して証明を依頼できます。これにより、専門的なハードウェアや高度な暗号知識がなくても、ロールアップやブリッジ、AIエージェント、ゲームなどのアプリケーションにZKPを組み込みやすくなります。

Succinctとは

Succinctでは、誰でもゼロ知識証明(ZKP)をリクエストし生成できる分散型の証明者ネットワークを構築しています。このネットワークでは、開発者やアプリケーションが証明のリクエストを提出すると、証明者同士が報酬を得るためにマーケットプレイスで競い合い、その証明を生成します。

ネットワークは検証可能なアプリケーション(vApp)として動作し、高速で応答性の高いウェブアプリのような感覚で利用できる一方で、内部は暗号学的にセキュアでオンチェーンで検証可能な構造になっています。

Succinct Processor 1(SP1)

SP1(Succinct Processor 1)は、Succinct Labsが開発した汎用ゼロ知識仮想マシン(zkVM)で、ゼロ知識証明の生成をより身近で開発者にとって使いやすくすることを目的としています。

複雑な暗号計算回路を記述する代わりに、開発者はRustC++など、すでに使い慣れたプログラミング言語を利用できます。プログラムを記述後、開発者はSP1を通じてコンパイルし送信できます。Succinctネットワーク上の証明者がそのプログラムを実行し、データを一切公開せずにすべてが正しく実行されたことを検証可能な証明として生成します。

カスタム設計されたZKスタックを必要としないSP1は、人工知能(AI)ツール、ゲーム、分散型インフラなど、より多くの実世界のアプリケーションにZKPを導入しやすくします。

Succinct Prover Network(証明者ネットワーク)の仕組み

二者間マーケットプレイス

Succinct Prover Networkは、2つのグループをつなぐ分散型プロトコルです。

  • 依頼者(Requesters):ゼロ知識証明を必要とする開発者やアプリケーション

  • 証明者(Provers):ゼロ証明を生成する、独立した参加者

ZK証明を必要とする依頼者がネットワークにリクエストを送ると、証明者間で競い合い、最良の価格や最短の納期を提示して仕事を請け負います。

オフチェーン:オークショニア(auctioneer)

依頼者と証明者のマッチングは、オークショニアと呼ばれるオフチェーンのオークションシステムを通じて行われます。すべては高速なリモートプロシージャコール(RPC)を通じて処理されるため、ブロックの承認待ちやオンチェーンの遅延に悩まされることはありません。これにより、証明者は提出された証明リクエストを即座に確認し、すぐに入札を開始できるため、ストレスのない迅速なやり取りを体験できます。

オンチェーン:イーサリアムでの決済

マッチングや入札はオフチェーンで行われますが、すべての決済と検証はイーサリアム上で行われます。オークショニアは定期的に、入札結果や証明の生成方法など、すべてが正しく処理されたことを示すZKPを提出します。資金はすべてイーサリアムのスマートコントラクトにセキュアにロックされ、資金管理を行う仲介者は存在せず、いつでも引き出せます。

この実行(オフチェーン)と決済(オンチェーン)の分離がSuccinctのアーキテクチャの大きな特徴です。これにより、ユーザーは最新のウェブアプリの速度を実現しながら、イーサリアムの透明性と信頼性の保証を享受できます。

バックエンドアーキテクチャ

バックエンドは、誰でもネットワークの状況を独立して検証できるよう設計されています。

オークショニアはユーザーの残高、証明リクエスト、完了済みのジョブの透明性の高い記録を保持しています。読み書きが発生するたびにすべてに対してマークル証明を生成し、定期的にイーサリアムにアップロードされるため、誰でもデータの正確性を確認できます。

専用の証明者サービスがこのデータベースを読み取り、SP1を使用してネットワークの新しい状態のZKPを生成します。これには残高の変更、ジョブの割り当て、証明の提出・完了が含まれます。これらの証明は定期的にイーサリアムにアップロードされ、オークショニア自体を信用しなくても、ネットワークが正常に機能していることを誰でも確認できます。

Succinctのユースケース

Succinct Prover Networkは、ゼロ知識証明(ZKP)を手軽にかつ効率的に生成でき、ブロックチェーンおよびオフチェーンの幅広いアプリケーションに対応できます。主な活用分野には、以下のものが挙げられます。

  • クロスチェーンブリッジ:信頼を必要とする仲介者に依存せずに、あるブロックチェーンから別のブロックチェーンへのデータやメッセージの検証を行います。

  • ZKロールアップ証明の生成を分散型証明者ネットワークに委ねることで、ロールアップのスケーリングを向上させます。

  • 計算処理による検証:AI推論やシミュレーション、金融関連の計算などのオフチェーン処理が正しく実行され、改ざんされていないことを証明できます。

  • ライトクライアント:ブロックチェーンネットワークの全履歴をダウンロードせずに、コンパクトなZK証明を用いてオンチェーンデータを検証できる軽量ブロックチェーンノードを実現できます。

PROVEトークン

PROVEトークンは、イーサリアム上で発行されるERC-20トークンで、Succinctプロトコルのネイティブユーティリティトークンです。このトークンは、以下のようなさまざまな用途に使用されます。

  • 決済:PROVEは証明の生成に対する支払いに使われます。ロールアップやブリッジ、dAppがネットワークに証明のリクエストを送る際、証明者(Prover)にPROVEで報酬が支払われます。

  • ステーキング:証明者はPROVEをステーキングしてオークションに参加し、仕事を獲得できます。ステーキング量が多いほど、より多くのリクエストを処理できるようになります。ただし、証明を提出できなかったり、不正な証明を提出した場合、ステーキングの一部がペナルティとして差し引かれる可能性があります。

  • 委任:トークン保有者はPROVEを証明者に委任でき、証明者の報酬の一部を受け取れます。Succinct財団では、早期参加を奨励するために、ステーキング報酬を上乗せしています。

  • ガバナンス:ローンチ時点では、セキュリティ評議会によってアップグレードは管理されています。将来的にはガバナンスがすべてオンチェーン化され、PROVE保有者の投票によってプロトコルの変更や資金配分、ネットワークの基本設定(パラメーター)が管理されるようになります。

Succinct(PROVE)のバイナンスHODLerエアドロップ

2025年8月5日、バイナンスはバイナンスHODLerエアドロッププログラム31番目のプロジェクトとしてPROVEを発表しました。7月9日~12日の対象期間中にSimple Earn商品またはオンチェーン・イールド商品にBNBを預けたユーザーを対象に、PROVEトークンのエアドロップが配布されました。このプログラムでは、トークン供給全体の1.5%に相当する合計1,500万PROVEトークンが割り当てられました。

PROVEは、シードタグ付きで上場しており、USDT、USDC、BNB、FDUSD、TRYとのペアで取引できます。

まとめ

ゼロ知識証明は、ネットワークのスケーラビリティ向上、プライバシーの実現、オフチェーン計算の検証を支援するブロックチェーンインフラの重要な要素となりつつあります。Succinctは、オープンなマーケットプレイス、高性能なzkVM、そしてセキュアなステーキングモデルを組み合わせることで、ゼロ知識証明を現実世界でより実用的なものにしています。

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