移動平均線エンベロープは、中心となる移動平均線（通常は単純移動平均線）の上下に2本の線（これにより形成されるバンド幅）を追加することにより構成されます。この2本の線は、中心となる移動平均線の上下に一定の乖離率で引かれることにより、エンベロープ（バンド幅）として表示されます。例えば、中心となる移動平均線が50日単純移動平均線、乖離率が5％に設定されている場合、アッパーバンドは同移動平均線を5％上回り、ロウアーバンドは同移動平均線を5％下回るものとなります。
中心となる移動平均線は新しい価格データに基づき調整され、これに合わせてバンドも推移します。こうして、移動平均線エンベロープ上に市況が動的に反映されます。具体的には、価格上昇によりバンドが上向きに推移し、価格下落によりバンドが下向きに推移します。
移動平均線エンベロープは、市場のトレンド分析に活用できます。価格がエンベロープ内に留まっている状態、またはどちらかのバンドに接触している状態かを確認することにより、上昇トレンド、下降トレンド、横ばいかどうかの判断が可能となります。
また、移動平均線エンベロープは、市況における「買われすぎ」および「売られすぎ」の可能性の判断にも用いられます。価格がアッパーバンドに達した場合、市況における「買われすぎ」の可能性があり、潜在的な売りの機会となります。一方、価格がロウアーバンドに達した場合、市況における「売られすぎ」の可能性があり、潜在的な買いの機会となります。
テクニカルインジケーターの1つである移動平均線エンベロープは、中心となる移動平均線と、その上下を囲む一定の乖離率で引かれた2本の線から構成されています。トレーダーは、移動平均線エンベロープを用いて、市場のボラティリティ、市況における「買われすぎ」「売られすぎ」、市場のトレンドなどを判断できます。