Ethereum Cancunアップグレードとは
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Ethereum Cancunアップグレードとは

Ethereum Cancunアップグレードとは

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公開済 Nov 13, 2023更新済 May 6, 2024
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要点

  • EthereumのCancunアップグレードでは、Ethereumネットワーク内のスケーラビリティ、セキュリティ、効率性の向上にむけて、プロト・ダンクシャーディングという概念が導入されました。

  • ダンクシャーディングは、データ管理とトランザクション処理を向上させるEthereum 2.0(Serenity)アップグレードの最終段階に当たります。

  • Ethereum Cancunアップグレードは、トランザクション処理時間の短縮、トランザクションコストの削減、データ管理の最適化を目的としたものです。潜在的なリスクとして、既存のスマートコントラクトへの影響や、新しいデータストレージ技術の統合に関連する問題などが挙げられます。

  • Ethereum Cancunアップグレードは、当初2023年10月に行われる予定であったものの、その後2024年前半に延期されました。最終的に、2024年3月13日にEthereumメインネット上で実施されました。

はじめに

EthereumのProof of Stake(PoS)への移行とステーキングの導入は、Ethereum 2.0アップグレードにおける中心的な更新内容でした。PoSによりマイナーがバリデーターに取って代わられ、エネルギー消費量は削減されました。ステーキングしたETH数量に基づき、バリデーターが新規ブロックの作成者に選択されるようになりました。

一方、シャーディングはEthereumネットワークを小さな断片(シャード)に分割し、それぞれに個別取引やスマートコントラクト処理機能を持たせることで、トランザクション速度を向上させるものです。PoWからPoSへの移行により、バリデーターに対してシャードをランダムに割り当てられるようになり、安全で効率的なシャーディングが実現します。その結果、不正操作を防止し、パフォーマンスを向上されられます。

Ethereumブロックチェーンの重要な前進となったEthereum Cancun(カンクン)アップグレードは、ネットワークのスケーラビリティ、セキュリティ、全体的な効率性の向上を目的としたものです。今回のアップグレードでは、Ethereumエコシステムにおけるデータ管理の最適化とトランザクションコストの低減への重要な一歩となるプロト・ダンクシャーディングの概念が導入されました。

EthereumのCancunアップグレードでは、斬新なデータストレージ技術を活用し、ネットワークのトランザクション処理に大変革をもたらします。これにより、よりアクセスしやすく、ユーザー体験の向上が期待されています。

Ethereum Cancunアップグレードについて

Ethereum Cancunアップグレード(「Cancun-Deneb」、「カンクン・デネブ」アップグレードとも呼ばれる)は、インフラの強化、さらには上海アップグレードで未解決となった問題に対処する包括的な取り組みです。

Cancunアップグレードは、EIP-4844、EIP-1153、EIP-4788、EIP-6780の4つのイーサリアム改善提案(EIP)に基づいています。これらのEIPの実装は、スケーラビリティの向上、データストレージと可用性の向上、トランザクションコストの削減など、多くのメリットをもたらします。

Cancunアップグレードは、実行レイヤー(レイヤー1)の最適化に主眼を置いています。これはEthereumネットワークの長期的な開発戦略に重要な役割を果たす、将来のフルデータシャーディング実装に向けた準備段階になります。

シャーディングとは、ブロックチェーンデータベースをシャードと呼ばれる小さな部分に分割して効率を高めることを指します。Cancunのアップグレードでは、プロト・ダンクシャーディング(後述)と呼ばれるシャーディングが導入されています。

Cancunのアップグレードでは、Ethereumの長期ロードマップの「サージ」フェーズに合わせて、ネットワークのトランザクション毎秒処理量(TPS)を向上させることを目標としたものです。

Cancunのアップグレードは、それに続くDeneb(デネブ)アップグレードとともに、分散型金融プラットフォームのリーダーとしての地位を確立するとのEthereumにとっての重要なマイルストーンになります。

ダンクシャーディングとプロト・ダンクシャーディング

ダンクシャーディングとプロト・ダンクシャーディングは、Ethereum用に開発されたシャーディング技術の異なるイテレーション(ソフトウエア開発サイクル)です。Ethereumの研究者であるDankrad Feist(ダンクラッド・ファイスト)にちなんで名付けられたダンクシャーディングは、Ethereum 2.0(Serenity、セレニティ)アップグレードの最終段階となります。この段階では、Ethereumネットワーク内のロールアップデータ稼働率の最適化に注力しています。

技術的に言えば、ダンクシャーディングは設計において市場手数料統合の概念を導入しています。従来のシャーディングでは、シャードごとに異なるブロックとブロック提案者が存在していますが、ダンクシャーディングにはブロック提案者が1人のみとなります。ダンクシャーディングは、シャーディング構造を簡素化しデータ管理を優先させることでトランザクション処理を向上させ、データストレージを効率化します。

アップグレードとしては、プロト・ダンクシャーディング(EIP-4844で導入)はダンクシャーディングのプロトタイプとして機能します。ロールアップ関連のガス代を大幅に削減する、ダンクシャーディング・フレームワークを完全に実装する前の一時的なソリューションになります。

Blob-carryingトランザクション

ガス代削減に向けて、プロト・ダンクシャーディング(EIP-4844)とともに、Blob-carryingトランザクションが導入されました。Blob-carryingトランザクションは、オフチェーンデータの一時的な保存と取得を可能にします。つまり、より費用対効果の高い方法でEthereumトランザクションにデータを追加できます。

Ethereum Cancunアップグレードのメリット

これまで述べてきたように、Ethereum Cancunアップグレードでは、トランザクション処理の高速化、トランザクションコストの削減、データ管理の最適化、クロスチェーン通信の改善など、さまざまなメリットをもたらします。Blob-carryingトランザクションの概念の導入により、アップグレードではデータ処理の合理化、およびネットワーク全体の効率の向上がはかられます。

1. スケーラビリティの向上:プロト・ダンクシャーディングにより、一時的なデータストレージ容量が導入され、レイヤー2ロールアップ(およびネットワーク全体)のトランザクション毎秒処理量(TPS)が向上します。

2. トランザクションコストの削減:blob-carryingトランザクションにより、Ethereumトランザクションにデータをより低コストで追加できます。

3. データ管理の最適化:EIP-1153がブロックスペースを最適化し、オンチェーンデータストレージコストを削減できます。

4. クロスチェーン通信の改善:EIP-4788は、Beaconチェーンを実行レイヤーに公開することで、異なるブロックチェーンネットワーク間の相互運用性を向上します。

5. セキュリティの向上:EIP-6780は、SELFDESTRUCTコードを無効化し、スマートコントラクトの終了リスクを低減させ、ユーザーデータと資金のセキュリティを強化できます。

Ethereum Cancunアップグレードの潜在的リスク

アップグレードによって、既存のスマートコントラクトに及ぼす影響や、複雑な新しいデータストレージ技術の統合に関連する潜在的リスクが考えられます。関係するすべてのEthereumユーザーが円滑に移行できるよう、実装段階で広範なテストと慎重な検討が必要になります。

Ethereum Cancunのローンチ日

Ethereum Cancun-Denebアップグレードは、当初2023年10月に行われる予定でしたが、その後2024年前半に延期されました。同アップグレードは、2024年3月13日にEthereumメインネット上で実施されました。(エポック数:269,568)ノード運用者およびステーキング参加者は、公式発表に記載されているバージョンにソフトウェアをアップグレードする必要があります。

まとめ

EthereumのCancun-Deneb(Dencun、デンカン)アップグレードは、スケーラビリティ、効率性、ユーザー体験の向上においてEthereumが大きく進展することを意味します。Cancunアップグレードは、プロト・ダンクシャーディングを導入し、将来に向けた基礎固めになります。これは、Ethereum分散型金融とブロックチェーン技術の分野を大幅に充実させることになるでしょう。

参考文献


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