このツールは、フィボナッチ数列(直前の2つの数の合計値が続いていく数列)に基づいたものです。この数列から導き出される特定の比率(23.6%、38.2%、50%、61.8%、100%)は、トレンドが反転または保合いに入る可能性がある水準の目安とされています。
フィボナッチ数列は0と1から始まり、後に続く各数値は直前の2つの数値の合計値になります。数列の値を最初から並べると、次のようになります:
0、1、1、2、3、5、8、13、21、34...
取引では、この数列の値を直接用いるのではなく、数値間の数学的関係から導き出される比率(23.6%、38.2%、50%、61.8%)が利用されます。とりわけ61.8%の比率は「黄金比」と呼ばれ、金融市場では特に重視して参照されています。
フィボナッチ・リトレースメント・レベルは、サポート(価格の下げ止まり)またはレジスタンス(価格の上げ止まり)の可能性がある価格帯を示す水平線として価格チャート上に引かれます。
トレーダーは、このレベルを利用してトレンドの転換点を予測します。以下に一般的な仕組みを示します。
価格チャート上で、高値と安値を特定します。
高値から安値(下降トレンドの場合)または安値から高値(上昇トレンドの場合)までドラッグし、フィボナッチ・リトレースメント・ツールを描画します。
ツールは、自動的にチャート上にフィボナッチのキーレベルを追加します。
この例では、価格は$471.30の安値から$793.86まで上昇しました。フィボナッチ・リトレースメント・ツールは、選択した範囲(上昇トレンドの場合は安値から高値)を基に揺り戻しの目標レベルを計算します。分析の結果として引かれる破線は、以降サポートまたはレジスタンスになる可能性を示唆しています。ツールが提示するすべてのレベルがその候補となるものの、トレーダーの間では黄金比となる0.618がより重視されています。この場合、黄金比と重なるのは$594.52水準であり、これがサポートまたはレジスタンスとして機能する可能性のある主要なレベルであることを示唆しています。
フィボナッチ・リトレースメントは、変動の激しい暗号資産市場において、潜在的なエントリーポイントとイグジットポイントの想定に活用できます。とりわけ、以下の状況で効果を発揮します。
フィボナッチ・リトレースメントは一定の意義を持つものの、万能ではありません。精度を向上させるため、移動平均線、RSI、トレンドライン、出来高分析などの他のテクニカルツールと組み合わせて用いられることが多くなっています。例えば、フィボナッチのレベルが移動平均線や主要トレンドラインと一致している場合、その価格レベルで反発する可能性がより高くなります。