EIP-3074

EIP-3074とは

2024年8月時点で、IP-3074はEthereumメインネット上には織り込まれていないものの、2024年末までにPectraのアップグレードとともに導入される見込みです。

EIP-3074の仕組み

EIP-3074では、Ethereumネットワーク上でのトランザクション処理にAUTHとAUTHCALLという2つの主要な機能が導入されます。

AUTH

AUTHはトランザクションの権限を持つ送信者を設定する機能です。通常、トランザクションを送信する際、送信者自身が送信する権限を持ちます。AUTHを使用すると、トランザクションを送信する権限を送信者自身ではなく他者に付与できます。

AUTHCALL

EIP-3074のメリット

1. セキュリティの向上：EIP-3074は、トランザクションの権限と送信を分離することによりセキュリティを強化し、不正トランザクションのリスクを軽減。
2. 柔軟性の向上：EIP-3074のアップグレードにより、トランザクションを異なる関係者で管理ができるようになり、管理の共有が求められる利用環境では非常に便利なものとなる。
3. ユーザー体験の向上：EIP-3074はEthereumブロックチェーン上でのやり取りを簡素化し、ユーザー体験が向上。複数の署名や承認回数が削減され、分散型アプリケーション（dApp）が簡単かつ効率的な利用が実現。
4. 複雑なトランザクションへの対応：EIP-3074では、より複雑なトランザクションとスマートコントラクト間でのやり取りを実行でき、高度な分散型金融（DeFi）プロトコルの開発に貢献。

EIP-3074の実用例

1. ガスレストランザクション：ETHのガス代を心配せずにトランザクションが実現。EIP-3074ではガスレス（ガス代なし）でのトランザクションが実現し、初心者にとってEthereumがより身近なものになります。

2. 自動決済：手動での承認手続きを必要とせず、定期的な決済が可能に。EIP-3074により自動化が実現され、時間と労力が節約されます。

3. DeFiでの技術革新：このアップグレードが提供する柔軟性とセキュリティにより、DeFiをより大きく発展させ、一層洗練された金融商品の開発が促進されることに。

セキュリティに関する懸念

EIP-3074には期待が寄せられているものの、それなりにリスクが伴います。他人に権限を付与してやりとりを任せるには、十分な信頼が求められます。Ethereumコミュニティでは、権限の付与に時間制限を設定したり、付与された権限を制限するなどの提案が出され、リスクの軽減について慎重に検討されています。

EIP-3074関連提案

EIP-3074は、単体で提案されているわけではありません。EIP-2930（アクセスリスト処理）やEIP-1559（手数料の仕組みを変更）といった他の提案と並び、EIP-3074はEthereumをより効率的なものにし使い勝手を向上させる大局的な取り組みの一部です。EIP-3074を他のアップデートと合わせて理解すれば、Ethereumの将来の方向性がより明確になるでしょう。

まとめ

EIP-3074は、AUTHとAUTHCALL機能を導入し、Ethereumトランザクションをよりセキュアなものにし、その使い勝手を向上させるものです。これらの変更は、Ethereum上でのやり取りが大幅に改善され、DeFi分野でより高度で強力なアプリケーションの利用が促進される可能性があります。