EIP-4844（Ethereum Improvement Proposal、Ethereum改善提案4844の略語）は、Ethereum Cancunアップグレードにおいて大切な役割を担っています。EIP-4844の導入により、トランザクション速度の向上およびコストの削減が見込まれます。EIP-4844の詳細およびこれによりユーザーが受けられるメリットについて解説します。
EIP-4844（別名プロト・ダンクシャーディング）とは、いわばEthereumの開発者が同ネットワークを向上させるために活用できるツールボックスです。Ethereumが1秒ごとに処理できるトランザクション数量の増加と、その手数料の削減を目的に提案されました。これを実現するために、EIP-4844では、「blob」と呼ばれる新しい形式のデータ格納庫を導入しています。
Ethereumをコンピューターであると仮定すると、EIP-4844の導入は、コンピューターをより効率化するための機能のインストールに等しいと言えます。EIP-4844により、より多くのデータを処理可能なblob-carryingトランザクションが利用できるようになります。同トランザクションは、Ethereumを実行するコンピューターに負荷をかけすぎない方法で処理されるため、スムーズな動作が継続します。
簡単に言うと、EIP-4844はこうしたblobをEthereumブロックに接続する役割を担っています。EthereumのコントリビューターであるBen Edgingtonは、「EIP-4844はblobをブロックに接続する」と述べています。これにより、ブロックが処理できるデータ量が増え、トランザクションの高速化かつ効率化が実現します。
多くのブロックチェーンプラットフォームと同様、特にネットワークトラフィックが増加した場合、Ethereumでもトランザクション手数料の増加やトランザクション速度の低下などのスケーラビリティ問題に直面しています。EIP-4844は、スケーラビリティ問題に対する解決策の1つとなります。実用化されると、主に以下の2つの面での改善が見られるでしょう。