たとえば、トークン1単位の価格が5ドル、プロジェクトの最大供給量が1億トークンであれば、FDVは5億ドルとなります。FDVはプロジェクトの最大潜在価値の全体像を見る指標です。
FDVは、将来的にトークンが市場へ流入した際にプロジェクトの価値がどのように変動するかを予測する上で有用な指標です。トークンはしばしばロックされており、ステーキング報酬やチームメンバーのベスティング(権利確定)スケジュールを通じて時間をかけてゆっくりとリリースされます。
投資家にとってFDVは、将来起こり得る状況を垣間見るような指標といえます。もしFDVがプロジェクトの実態に見合わないほど高い場合、将来のトークンの希薄化によって価格が下落するリスクが考えられます。
たとえば、1,000万トークンが市場に流通しており、1トークンあたり5ドルであれば、時価総額は5,000万ドルになります。一方、最大供給量が1億トークンの場合、FDVは5億ドルとなります。時価総額とFDVの間に大きな差がある場合、まだ多くのトークンがロックされていることを示しており、将来的に市場へ大量のトークンが流入する可能性があると捉えられます。
FDVは万能ではなく、時にプロジェクトの価値についてゆがんだ評価をもたらします。以下、FDVを活用する際の注意すべき点を挙げます。
FDVの数値だけでなく、プロジェクト全体の計画を評価することで、そのFDVが妥当かどうかを判断するのも有用です。
FDVは新規トークンがリリースされても価格が変動しない前提で成り立っていますが、必ずしもそうとは限りません。実際、暗号資産市場は非常に変動が激しく、ほとんどのトークンは価格が大きく変動します。ただし、長期的には、需要がトークンの供給増加に追いつかない場合、価格が下落する可能性が高いといえます。
また、トークンの供給量が非常に多い小型プロジェクトやミームコインを評価する際には、時価総額やFDVといった指標が必ずしも有効とは限らない点に留意する必要があります。
したがって、FDVや単一の指標だけに頼るべきではありません。プロジェクトの可能性をより正確に把握する上で、プロジェクトのチーム、トークノミクス、技術的な価値、トークンの普及状況など、さまざまな要素を総合的に評価することが欠かせません。
FDVはプロジェクトの将来的な可能性を理解するのに役立つものの、数あるツールの一つにすぎません。有益な視点を得てリスクを抑えるには、FDVや時価総額、その他の指標を組み合わせて暗号資産プロジェクトを評価するのが効果的です。