Space and Time(SXT)とは

Space and Time(SXT)とは

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更新済 May 9, 2025
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要点

  • Space and Time(SXT)は、ゼロ知識(ZK)暗号技術を活用し、データ処理の検証を可能にする分散型プロトコルである。

  • これにより、スマートコントラクトやAIエージェントは、中央集権的なサービスに依存せずに改ざん不可能なSQLベースのデータにアクセスできる。

  • 中核技術であるProof of SQLにより、オフチェーンのクエリ結果をゼロ知識証明によりオンチェーン上で検証できる。

  • SXTはエコシステムを支えるガバナンスおよびユーティリティトークンであり、ノードオペレーターへの報酬として利用される。

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はじめに

正確で改ざん不可能なデータにアクセスできることは、トラストレス環境で動作する分散型アプリケーション(dApp)、スマートコントラクト、およびAIエージェントにとって不可欠なものです。従来のデータシステムでは多くの場合、透明性を制限し、脆弱性をもたらす可能性のある中央集権型ソースに依存しています。この課題への対処として、Web2規模のシステムとブロックチェーンネットワークのギャップを埋める新たな分散型データインフラが登場しています。

Space and Timeとは

Space and Timeは、オンチェーンアプリケーション向けに検証可能なオフチェーンデータ処理を可能にする分散型データプラットフォームです。開発者は外部のデータセットに対してSQLクエリを実行し、その結果をProof of SQLと呼ぶゼロ知識プロトコルによりオンチェーン上で検証することで、暗号学的な整合性を保証できます。

このプラットフォームは、DeFi、AI、エンタープライズアプリケーションなどのユースケースに対応し、dAppやAI エージェントによる大量のデータへのセキュアなアクセスおよびその処理を可能にしています。Microsoftが後援する同プロジェクトはマルチチェーン環境での利用を念頭に設計されており、現在はイーサリアムやBaseなどのネットワークに対応しています。

主な構成要素には、以下のものが挙げられます。

  • Proof of SQL:オフチェーンSQL計算のためのゼロ知識証明システム

  • 分散型データウェアハウス:構造化データの取り込みと保存

  • マルチチェーン対応:イーサリアム、Base、その他のネットワークに対応

  • ノードインフラ:分散型クエリ処理と検証

Space and Timeの仕組み

Proof of SQL

Proof of SQLは、Space and Timeの検証可能な計算レイヤーを支える暗号学的エンジンです。Proof of SQLは、特定のデータセットに対してSQLクエリが実行され、得られた結果が改ざんや捏造されていないことをゼロ知識証明として生成します。生成された証明はブロックチェーンに提出され、検証済みの外部データに基づいてスマートコントラクトのロジックを起動できます。

この設計により、開発者は複雑なデータクエリをオフチェーンで実行しつつ、オンチェーン上で完全な透明性と監査可能性を維持できます。

分散型データウェアハウス

Space and Timeは、ブロックチェーンネットワーク、オフチェーンAPI、企業のデータソースからのデータ取り込みに対応しています。取り込まれたデータは分散型SQLエンジン内で構造化およびインデックス化され、使い慣れたクエリインターフェースや開発者ツールを通じてアクセスできます。アプリケーションのニーズに応じ、アクセス権限を定義したりデータを公開したりできます。

ブロックチェーン相互運用性

このプロトコルはブロックチェーン依存型ではなく、イーサリアムやBaseにデプロイされたコントラクトを介したマルチチェーン検証に対応しています。

  • イーサリアムスマートコントラクト:0xE6Bfd33F52d82Ccb5b37E16D3dD81f9FFDAbB195

  • Baseスマートコントラクト:0xA2c22252cDc8b7cDdEe1B0b2E242818509fCf7b8

この相互運用性により、データが処理された場所に関係なく、どのdAppでもクエリ結果をチェーン上で検証できます。

ユースケース

  • DeFiプロトコル:預かり資産(TVL)、取引量、流動性データのクエリと検証

  • AIエージェント:意思決定のための暗号学的に証明された入力の受け取り

  • 企業向けレポート:ZK検証による監査可能なコンプライアンスおよび分析

SXTトークン

SXTはSpace and Timeエコシステムのネイティブユーティリティおよびガバナンストークンです。バリデーターへのインセンティブ付与、ネットワークのセキュリティ確保、コミュニティガバナンスの実現に重要な役割を果たします。

トークンエコノミクス

  • 総供給量:50億 SXT

  • 初期循環供給量:14億 SXT(総供給量の28%)

  • ローンチプール報酬:1億2500万 SXT(総供給量の2.5%)

  • マーケティング割り当て

    • 上場後のキャンペーンに2500万 SXT

    • 上場6か月後のキャンペーンに5000万 SXT

ユースケース

  • データアクセス:クエリ処理と検証の支払いに使用

  • ステーキング:バリデーターがSXTをステークしてクエリ検証に参加

  • ガバナンス:SXT保有者はエコシステムの意思決定に投票可能

  • 報酬:ノードオペレーターや貢献者にSXTを配布

SXTのバイナンスローンチプール

2025年5月5日、バイナンスはバイナンスローンチプールの69番目のプロジェクトとしてSXTを発表しました。ファーミング期間中にBNB、FDUSD、USDCをロックしたユーザーが、SXT報酬の配布対象となりました。このプログラムには、同トークンの総供給量の2.5%に相当する合計1億2500万SXTが割り当てられました。

ファーミング終了後、SXTはシードタグ付きでバイナンスに上場しました。同トークンは、USDT、USDC、BNB、FDUSD、TRYとのペアで取引可能です。

まとめ

Space and Timeによって構築された分散型インフラは、検証可能な計算とゼロ知識データ処理を提供し、スマートコントラクトやAIで必要とされるトラストレスなデータアクセスの課題を解決します。Microsoftの支援、マルチチェーン統合、さらにインセンティブ付きノードネットワークを活用し、Web3全体でスケーラブルかつ透明性の高いデータフローを実現しています。SXTトークンは、本プロトコルにおけるガバナンス、セキュリティ、エコシステム拡大の重要な役割を担う中心的なメカニズムとなっています。

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