ホーム
用語集
GDPデフレーター

GDPデフレーター

中級者

GDPデフレーターの概要

暗黙の価格デフレーター(IPD)としても知られるGDPデフレーターとは、ある国において生産されたすべての財・サービス価格の経時的な変動率を示す指数を指します。同指数は、GDPの変化のうち価格の変化と生産量の変化に起因する割合の理解に役立ちます。

GDPデフレーターの仕組み

GDPデフレーターは、経済におけるインフレ率を測定するものです。GDPデフレーターでは、名目GDP(インフレによる影響を受けるGDP)と実質GDP(インフレによる影響を取り除いたGDP)の比較により、物価水準の変化が示されます。

計算方法

GDPデフレーターは、以下の計算式により算出されます。

GDPデフレーター=(名目GDP÷実質GDP)×100

  • 名目GDPとは、ある国において生産されたすべての財・サービスの価格であり、現在の価格を用いて算出されます。
  • 実質GDPとは、ある国において生産されたすべての財・サービスの価格であり、基準となる年の価格を用いて算出されます。

全体的な価格水準の変化は、以下の計算式により算出されます。

全体的な価格水準の変化(%)=GDPデフレーター−100

解釈

GDPデフレーターの結果は、以下のように解釈できます。

  • GDPデフレーターの値が100の場合、基準となる年と比較して価格水準の変化が生じていないことを示しています。
  • GDPデフレーターの値が100を上回る場合、全体的な価格水準が基準となる年と比較して上昇していること(インフレ)を示しています。
  • GDPデフレーターの値が100未満の場合、全体的な価格水準が基準となる年よりも下落していること(デフレ)を示しています。

ある国の2024年の名目GDPが1.2兆米ドルであり、同国の実質GDP(2023年を基準年とする)が1兆であると仮定します。GDPデフレーターの値は以下の通りに算出されます。

GDPデフレーター=(1.2÷1)×100=120

算出されたGDPデフレーターの値は、同国における全体的な価格水準が2023年と比較して20%上昇していることを示しています。

暗号資産分野におけるGDPデフレーター

GDPデフレーターは従来型の経済にとって便利な指数であるものの、暗号資産分野で直接的に利用するのは難しくなっています。一方、概念としては有用です。例えば、暗号資産市場全体の成長率を測定したい場合、類似の指数を用いて、成長率のうち暗号資産価格の上昇に起因する割合(価格の上昇)とブロックチェーン技術の普及率の上昇に起因する割合(実質的な成長)を確認できます。

まとめ

GDPデフレーターとは、国内で生産される財・サービスのインフレ率の測定に用いられる経済における指数の1つです。暗号資産において直接的に利用されるものではないものの、この指標は暗号資産市場の成長に関する背景理解に役立ちます。

関連記事:経済の仕組み