弾力性

弾力性の概要

経済における概念の1つである弾力性は、ある変数が別の変数に対してどのように反応するかを示す概念です。弾力性は、需要と供給の関係性に関する分析をはじめとする多くの経済事象の解釈においてよく用いられます。弾力性には、需要の価格弾力性、供給の価格弾力性、所得弾力性、交差弾力性などの幅広い種類があります。

弾力性の仕組み

ここでは需要の価格弾力性を取り上げ、弾力性の仕組みについて詳しく見ていきます。弾力性が1.0を上回る場合、需要が価格変動に対して大きく反応しており、財・サービスの弾力性が高い状態であると判断できます。反対に、弾力性が1.0を下回る場合、価格変動に対する需要の反応は比較的鈍く、弾力性が低い状態であると判断できます。弾力性が1.0の場合、需要の変化率が価格の変化率と正確に比例した状態となります。

例えば、ガソリンは弾力性が低い製品の1つと言えます。ガソリンは多くの人々にとって日常的な移動に欠かせないものであり、価格変動が生じた場合でも消費行動が大きく変化する可能性が低いのがその理由です。こうした場合、価格変動に対する需要の反応が比較的鈍く、弾力性が低い状態であると判断できます。

高級ブランド品は、弾力性が高い製品の一例です。これは、高級ブランド品を購入せずとも多くの人々の生活には影響しないためです。高級ブランド品の価格が上昇すると、消費者は代替品となるより安価な製品を購入するか、高級ブランド品に費やす全体的な支出を減らす傾向があります。こうした場合、価格変動に対する需要の反応が比較的繊細となり、弾力性が高い状態であると判断できます。

取引における弾力性

日常生活における弾力性

弾力性の概念は、日常生活における幅広い場面にも応用できます。例えば、建設業界においては材料の弾力性が重要となります。建設技術者は建築物の安全性および耐久性を確実にするために、材料の応力とひずみの関係性を理解する必要があります。

加えて、ヘルスケアおよび環境科学分野においても弾力性の概念が取り入れられています。例えば、ヒトの皮膚の弾力性の理解は、効果的な治療法の開発において重要となります。環境科学部分野では、研究者は生態系の弾力性の概念を取り入れることで、気候変動や生息地の破壊などの幅広い環境変化に生態系が反応する仕組みを予測できます。

まとめ

弾力性は、ある変数が別の変数の変化に対してどのように反応するかを示す数値です。取引および日常生活の両方において用いられる弾力性の概念は、より効果的な意思決定を行う上で役立つものとなっています。