それ以後、多くの研究者と開発者がMWプロトコルの可能性を研究してきました。そういった人たちの中には、このプロトコルをビットコイン(Bitcoin)に実装するのは技術的には可能なものの、相当困難になると考えています。Poelstraと他の支持者はミンブルウィンブル(Mimblewimble)は最終的にはビットコイン(Bitcoin)のサイドチェーンソリューションとして、ビットコイン(Bitcoin)ネットワークを改善するかもしれないと信じています。
ミンブルウィンブル(Mimblewimble)の機能
ミンブルウィンブル(Mimblewimble)はこれまでのブロックチェーントランザクションのモデルを変えます。これによって、ブロックチェーンが保有する履歴はよりコンパクトになるので、ダウンロード、同期、そして承認がより簡単、かつ早く行えるようになります。
MWブロックチェーンでは、特定可能、もしくは再利用可能なアドレスはなきので、当事者にしかトランザクションデータは見えず、当事者以外の人から見ると、全てのトランザクションはランダムデータのようにしか見えません。
そのため、ミンブルウィンブル(Mimblewimble)ブロックはたくさんのブロックの組み合わせというよりは、大きな1つのトランザクションのような構成になっています。つまり、ブロックの検証と承認は可能ですが、そこからそれぞれのトランザクションについての詳細はわからないようになっています。それぞれのインプットとそれに関連するアウトプットをつなげる方法はありません。
例を出して、説明をしていきます。アリスは5MWコインを彼女の母親から受け取り、さらに父親からも5MWコインを受け取りました。それから、彼女はそれらの10コインをボブに送りました。このトランザクションは承認されますが、詳細は公開されません。ボブがわかることはアリスが彼に10コイン送ったことだけで、アリスが誰からそのコインを受け取ったのかはわかりません。
ミンブルウィンブル(Mimblewimble)ブロックチェーン上でコインを転送するためには、送金者と受取人は検証情報を交換しなければいけません。そのため、アリスとボブがコミュニケーションは必要ですが、トランザクションを実行する時に、同時にオンラインである必要はないです。
また、ミンブルウィンブル(Mimblewimble)はカットスルーと呼ばれる機能も採用しており、この機能は重複するトランザクション情報を取り除くことで、ブロックデータを減らします。そのため、それぞれのインプットとアウトプットを記録する代わりに(アリスの両親からアリスへとアリスからボブへ)、そのブロックは1つのインプットとアウトプットのペアのみを記録します(アリスの両親からボブへ)。
ミンブルウィンブル(Mimblewimble)vsビットコイン(Bitcoin)
これ以外だと、ミンブルウィンブル(Mimblewimble)では、ビットコイン(Bitcoin)にあるトランザクションの構造化方法を定義する指示のリストであるスクリプトシステムがないです。スクリプトをなくすことでMWブロックチェーンのプライバシーとスケーラビリティを強化することができます。アドレスをまったく追跡できないため、よりプライベートであり、ブロックチェーンデータが小さいため、よりスケーラブルです。
つまり、もう1つのビットコイン(Bitcoin)とミンブルウィンブル(Mimblewimble)の主要な違いは、先ほど述べたカットスルー機能と関連する、ブロックチェーンに関係するデータのサイズです。不必要なトランザクションデータを除くことで、ミンブルウィンブル(Mimblewimble)で必要とされる計算リソースはより少なくなります。
アドバンテージ
ブロックチェーンサイズ
前述のとおり、ミンブルウィンブル(Mimblewimble)はデータの圧縮を可能にすることで、ブロックチェーン全体のサイズを削減します。ノードはトランザクション履歴をはるかに早く検証でき、必要となるリソースも相当少なくなります。また、新しいノードがMWブロックチェーンをダウンロードして同期するのが簡単です。
スケーラビリティ
プライバシー
限界
トランザクションスループット
コンフィデンシャルトランザクションは大幅にトランザクションのスループットを減らします。プライバシー機能がないシステムと比べた時、CTを使っているブロックチェーンはよりプライバシーが保護されますが、TPS(1秒あたりに処理できるトランザクション数)のレートは下がります。それでも、MWのコンパクトなサイズは、コンフィデンシャルトランザクションによるTPSの限界に対応できると言えるかもしれません。
量子耐性がない
まとめ
これまで、ライトコイン(Litecoin)チームを含む、いくつかのブロックチェーンプロジェクトがミンブルウィンブル(Mimblewimble)のデザインに取り組んでいます。グリン(Grin)とビーム(Beam)は他の有名なミンブルウィンブル(Mimblewimble)に取り組んでいるプロジェクトです。グリン(Grin)はMWプロトコルの軽量な概念実証に取り組んでいるコミュニティ主導のプロジェクトですが、ビーム(Beam)はスタートアップのようなアプローチを採用しています。確かに、両方のプロジェクトともミンブルウィンブル(Mimblewimble)に基づいていますが、技術的には全く別のもので、それぞれが独自の方法でMWデザインを実装しています。
今のところ、未解決の問題は、ミンブルウィンブル(Mimblewimble)がかなりのレベルの信頼性と普及を実現できるかどうかです。ミンブルウィンブル(Mimblewimble)は刺激的で有望なアイデアですが、非常に若いものでもあります。そのため、潜在的なユースケースはまだ研究中であり、ミンブルウィンブル(Mimblewimble)の将来は依然として不透明です。